和装パーティへようこそ！｜リアクション

和装パーティへようこそ！

茶器の周りには数名の経験者と、同じく数名の未経験者の人だかりができていた。
経験者なのは丑都渡紗姫、御巫時子、弓弦原譲、獅子尾優華の４人。
時子が野点の用意をしてくれていることもあり、紗姫達３人と水無月雅、水都乃れいは
外へと降りて行った。

空五倍子色に裾にラインの入った着物を着た弓弦原譲と紫の着物の獅子尾優華がそれぞれ
茶器を用意してお茶を点てはじめる。
ピシッと姿勢の揃った２人見て、佳奈はため息を漏らした。

「優華ちゃんかっこいい……」
『そうですね』

隣で小淋が同意する。

番茶とおせんべいが用意されていたテーブルの上には、パーティ参加者が持って来たお菓子が並んでいる。
佳奈の持って来た塩チョコや小淋の持って来たアップルグラッセと干しリンゴの他にも、
金平糖の入った籠や羊羹、焼き菓子の詰め合わせ、もなか、一口サイズのお饅頭や大福、栗饅頭
落雁などが並べられ、お菓子の隣に持ってきてくれた生徒の名前が書かれていた。

点てあがったお茶を飲みながら、優華と佳奈、小淋の３人はクラスのことを話題に話し始める。

「一緒にお茶点ててたの、譲くんだよね。なんか２人ともかっこよかったなあ」
『お茶もとても美味しいです。ありがとうございます』
「どういたしまして。そう言ってもらえたら嬉しいわ」

一瞬話題に上った譲は、萌黄色の着物を着た千鳥雅人に点茶の指導をしているところだった。
難しいのか、雅人の頭上には物理的に「？」のマークが浮き上がっていた。

「……器用よね」

そんな雅人の主に頭上を見ながら優華がぼそりと呟いた。

「優華ちゃんは、譲くんみたいな人がタイプなの？」

視線の先を勘違いしたのか、佳奈が無邪気に尋ねる。
予想していなかった問いかけに思わず、えっ、と声を漏らす優華。

「どうしてそうなるのかしら」
「いやあ似た者同士だからいいのかなって」
「世の中には同族嫌悪という言葉もあるのよ」

優華は小さくため息をつく。譲のことが嫌いというわけではないが、恋愛対象というわけでもない。
真面目であるだけ、優華の敵にならないことは確かだ。
そんな２人のやり取りをみて小淋はにこにこと笑う。

『伊藤さんは、どんな方が好みなのですか？』

小淋の差し出したメモ帳を見て、今度は佳奈がうーんと考え込む。

「やっぱり、剣道が強い人かな！私に勝つぐらいじゃないと」
「あなたらしいわね」
「小淋は？好きなタイプとかあるの？」