和装パーティへようこそ！｜リアクション

和装パーティへようこそ！

「おばあちゃん！」

笠原ひびきが店主のもとに走り寄ってきた。

「おばあちゃん、ありがとうね、あたしこんな風に女らしい恰好ってあんまりしたことがなくて、それで」

そこまで一気に言ってから、ひびきは自分が注目の的になっていることに気づく。
周りの視線を感じながら、言いかけてしまった言葉の続きを紡ぐ。

「あ、あの……おばあちゃんの着物着こなせてないかもだけど、こうやって着物が着れて嬉しいんだ！」

言い切った……！という思いに浸るひびき。
そんなひびきに続いて、聖や天馬ひびき、瑠歌も同意の声をあげる。

「私も、普段から着物を着るような生活はしていなかったのですが、これを機に普段から着物を着てみたいと思いました」
「私は部活もあるし、普段に着物っていうのは難しいけど、小物とかそういうのはすごく好き！おばあちゃんも！」
「店じまいというのは本当に残念でなりません。どうにか閉めない方法はないのでしょうか？」

それぞれの言葉に店主は驚いたような表情を見せたが、くしゃくしゃな笑顔を見せてありがとうね、とつぶやいた。

さて、お待ちかね本日のメインイベントが始まろうとしていた。
弥生先生の周りに集まったのは夏神零、八重崎五郎八、桜井ラッセル、獅子尾優華、シダ美穂戸、八神修の計６名。
そのうち零と五郎八の２人は読み手として立候補していた。

「じゃあこうしましょう」

弥生先生が提案する。

「前半50の札を八重崎さん、後半50の札を夏神くんにお願いするわ」
「任せて」
「承知いたした」

紺地に桜の絵柄が入った着物を纏う五郎八と、飴色に朱雀と羽の舞う女性物の着物を纏う零の２人は、手早く札を混ぜると絵札を並べていった。

「八重崎先輩のプレーは見れないんですかあ、残念」
「また後で。私が混ざったりしたら面白くないでしょう？」
「そりゃそうっすけどー」

ラッセルと五郎八の歌留多同好会メンバーはやる気満々のご様子。
一方、

「シンチャオ！シダだよ！着物綺麗すごく。
でも動きにくいのな」

自慢の美脚をぱたぱたしているのはシダ。モスグリーンに桜の絵柄の着物を着ている。

「やるからには優勝を狙わせてもらうわ」

袖をまくって臨戦態勢の優華。

「よろしくお願いします」

至ってクールな修は翡翠色に風と波の模様が描かれた着物を纏っていた。

「さて、それじゃあ準備はいいかしら？」

弥生先生の一言に4人が絵札に向き直る。

「百人一首大会、スタート！」