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【おいしい】
「星ヶ丘に買い物にきてたんだけど、そろそろ昼ご飯の時間だなぁ……って、さすがにこっちの飲食店は高っ!」
星ヶ丘まで来た旧市街出身の
猫島 寝太郎
は、ついでとして星ヶ丘にあるファミリーレストランを金額比較対象として、昼食のお財布に痛くない程度のお店を覗きまわって来たのだが……
流石、セレブの集う星ヶ丘である。ファミリーレストランであろうとも、値段もそれに見合っていて旧市街との大きな違いに寝太郎は眩暈すら覚えてしまった。
その中で寝太郎が星ヶ丘のフード類の金額におののきながら、のんびり足を進めていると、ふと星ヶ丘のお店の中では決して大きくはない赤い屋根のお店を見つけた。
香ばしく焼けるパイのバターの匂い。
値段も確認すれば、うっかり他のお店より入ってしまうよりは、遥かに良心的だ。
「よし、ここにしようか」
確かに身近のの1個100円+税のアンパン売ってる商店街のパン屋さんと比べたら、それなりのお値段だが、パイ自体が何となく高級そうな感じがする寝太郎。ここは奮発してハイソな高級感気分に浸るのも良いかもしれない。
寝太郎が足を踏み入れると、レジカウンターには先客がいた。
そんなに年の離れていない眼帯をした少女、
大天使 天吏
は無言でメニューを見つめていた。
「……店内で」
元から大きくは無いのか、小さな声でブレンドティーとザクロのパイをメニューの中から指差して「お願い」と呟くように言った。
しかし、店員が後から来た寝太郎の姿も目に留めて、申し訳なさそうに告げる。
「お客様、ただいま店内大変込み合っておりまして、今のお時間相席となってしまいますが宜しいでしょうか?」
店員である優しい雰囲気をかもし出す、レジ対応をしているお店の人であろう女性が二人に声を掛ける。
「あ、はい」
寝太郎は即答にも近い間で返答をしたが、天吏の方は心の中が見えない無表情でじぃっと寝太郎の顔を見てから、
「………………はい」
と、長い沈黙の後に喜びでも落胆でもない不思議な返事をして、再びメニューに目を通したのであった。
窓際の2人席。食事を待っている間に話題を振っても反応のない、天吏に困った様子を向けながらも、寝太郎も割り切ったように店内を見渡した。
レジカウンターの傍に陳列されていた、こんがり焼きたての狐色のパイが、ここからでも尚誘惑してくる。
お財布を守る為、決死の思いでテイクアウトは断って、きのこのシチューのパイ包みを頼んだが、待っている間にもテイクアウトの注文をしてしまいそうだ。
幸いにして、相席となった天吏は物静かな様子で窓から見える鳥に目を向けている。
寝太郎ものんびりと話すのが好きで、忙しないのが得意な訳ではない。
注文が来るまでの間、寝太郎はこれはこれでと、ゆっくりと店内を見渡した。
大きくとった窓から見えるのは、星ヶ丘特有の整った街並みが、旧市街に住む寝太郎からすれば、とても美しく見えた。
ただ、少しだけ旧市街も温かみがあって悪くない──と心の中で改めて思い感じる。
その辺りに思考を巡らせている間に、頼んだアイスティーが届いた。天吏の方はブレンドティーだ。
手に取ったティーカップから紅茶を一口。それでも無言かつ表情ひとつ変えない天吏に、おそらくそういう少女なのだろうと、ストローのささったアイスティーを口に、のんびり店内を観察する事にした。
真っ先に目に入ったのは、レジカウンターにいる、紳士ベストが似合う青年と、白のフレアスカートが柔らかな女性の姿だった。
その二人の間の温かなものを見れば、その関係は明らかもしくは決まったようなものだろう。
寝太郎は自分の身近に交友関係がある女子とともに一緒に食べに来たところを想像してみたのだが、
「………………(いつかはリア充したいよねぇ……)」
──遠い目をした寝太郎。
現実とは、かくも残酷なものであった。
「(目の前の女の子は……先輩、なのかなぁ?)」
現実逃避先として目に入ったのは、届いたパイを、まるで機械等の無機物が処分するかのように、どうでも良さそうに少しずつパイを食べていく少女の姿。
「(この店のパイ、そんなに美味しくないのかなぁ)」
不思議そうに見つめながら、自分の元に来たこんがり狐色で染まったパイをスプーンで崩していく。
スーパーでも、レンジで温めれば似たような物は食べられるが、これはスプーンを入れた瞬間から、そのふんわりカリッとした高級感、パイを崩した瞬間に漂うシチューの匂い──全てが、スーパーにあるものとは「美味しそう!」と心躍る感覚がまるで違う。
ある程度パイを崩してから、スプーンでシチューと一緒に食べる。
「うっ、むちゃくちゃ美味しい!」
「──……この味が、おいしい?」
小声で呟いたはずの感動。しかしそこで、食べ掛けのパイを共に天吏は初めて意外そうに寝太郎を目にして口を開いた。
天吏の心の中には特別なヒエラルキーがある。鳥を最上位として、人間は自分を含め、最下層に限りなく低い。余談だが最下層は「猫」になる。
天吏も鳥の為ならば死ねるが、何もしていない時に空腹で死にたいとは流石に思えない。
そして、天吏は今シーサイドタウンにあるマンションで一人暮らし。実母との仲は更に良くなかった為、まともな夕食と言うものを食べた記憶が無く、夕食にケーキ一つで過ごす事にも躊躇いはない。
そんな日常の中で入ったパイ屋で、味など関係無くただ空腹を癒すために、味など関係無しにパイを食していたが。
「この味が、おいしい?」
「不味いとは思えないけどなぁ。
2口目、食べてみる? まだ一口目を食べたばかりだからねぇ。
その、スプーンもう一つあるから、それを使えば間接キスにもならないだろうし……」
慣れない、少し特殊な女の子相手に、非常にたどたどしく答えながらも、自分が美味しいと思った感情を是非相手にも持ってみてもらいたくて。
寝太郎は余っていたスプーンの柄の方を相手の方へと差し出した。
天吏は、スプーンに手を伸ばして、それでパイシチューを口に運ぶ。
ふわりと広がるきのこの味、柔らかな香り、クリーミィなまろやかさ。
「これが……おいしい」
「不味くないなら良かったよぉ」
寝太郎は自分が勧めたものが不味かったらどうしようかと思っていたが、まんざらでもなさそうな天吏の様子にほっとした。
天吏は誰かに美味しいと言われるまで、食物の味など気にした事はなかった。
感じなかった訳ではない。感じるつもりすら無く、心にも届かなかっただけで。
「なら、これも……『おいしい』のかもしれない……」
一人心地に呟く天吏の姿に、安心しつつ寝太郎はこっそり彼女の食べていたパイが気になって、それをお土産にする事に決めた。
天吏も夕食にと、この店のパイを購入する事に決めた。
店員らしき年下の女の子に尋ねたら、手際良く注文を受け付けテイクアウト用にしてくれた。
頼んだものは「ほうれん草とベーコンのキッシュ」と「レモンパイ」の2種類。
晩御飯としては多かったかも知れない。そう思いながらも、手に持つパイとキッシュが同じように「おいしい」のならば、それも悪くないと思える。
向かいに座っていた存在も、恐らく同じ寝子高に通っていそうだった。
天吏は思う。
彼が、自分よりも人間や猫ではない上位種の、もし、何でも食べられる犬というものだったとしたら。
それならば、自分が食べていたざくろのパイを喜んで進呈したのに──と……
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
冬眠
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ★(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年11月28日
参加申し込みの期限
2014年12月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年12月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
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