北欧から来た少女　～うさぎさんオーヴァードライブ～｜リアクション

北欧から来た少女　～うさぎさんオーヴァードライブ～

【一方その頃、裏山では……？　中継その１】
　

「お昼―！」
　木々をかき分けながらシーリ・ハユハは走る。
　履きなれたスニーカーに相棒のサバイバルポーチもある、お腹がすいて若干力は出ないが、こうなったら意地でもうさぎを捕まえる。
　逃げる獲物に狩猟民族の血が騒いだのか、街を抜けて裏山まで来たがむしろここからが本番である。
　そんな、シーリを必死で追いかけるのは、たまたま外でお昼を食べようと思っていたが、見慣れない子がうさぎを追いかけるのを見て心配してやって来た七海真帆である。
「ねぇ、待って！　待ってよー！」
「モイ！　あなたもお昼の前の運動なのですか？　負けないのです！」
　そう言ってまさに疾風のように山をかけるシーリ。目指すはうさぎである。
「ちょ、と。まっ……」
　次第に離されていく距離、無理もない制服に革靴。
　この装備で山の中の道なき道をダッシュするのだ。
　だんだんと自分の息が上がっていくのが真帆も分かった。
「きゃっ！」
　その瞬間、不幸にも足をもつれさせて、真帆はすっ転んだ。
「はうっ！？　だ、大丈夫なのですか？　あ、捻ってるのです！」
　くるっとシーリは引き返してくると、真帆の状態を素早く確認して、何やら塗り薬のようなものを取り出した。
「あ、よかった止まってくれた」
「薬草なのですよー？」
「あ、どうも」
　思わず、素で受け取ってしまう真帆。
「うさぎー！」
「えっ」
　薬草と包帯らしき何かを渡すだけ渡したら、シーリは回れ右でダッシュしていったという。
　ぽかーんとする七海を残して、シーリはうさぎを追ってさらに奥へと入り込んでいくのであった……。
　ちなみに、後で駆けつけた梢らによって真帆は無事に発見され、後に保健室へと即刻送られたという、怪我はそれほど大事にならなかったのが救いと言えば救いだろう。

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