月のお散歩｜リアクション

月のお散歩

　手水洗いに立った輝夜は、そこにかぐや姫の姿を認めた。
　満ちてくる、何かの予感。
　輝夜は、言った。

　月を見ると、懐かしい気持ちになる……。

　それを聞いたかぐや姫はほほ笑む。
　その唇が、このように動いたような気がした。

（わたしもかぐや。あなたもかぐや）

　それがどのような意味を持つのかわからない。
　単に名前が同じというだけなのか、それとも……。

　我に返ると、輝夜はただひとり。
　手元には、先ほど作った、雪のような兎の餅。
　輝夜は空を見る。今度のお月見に、お団子と一緒に飾ろう。

　庵から出た修は、自分についてくる兎を見つけた。
　さっき、もちをくれた兎だ。
「礼といってはなんだが、これをプレゼントしよう」
　新聞部の部証を取り出し、修は若そうな兎数匹に括り付ける。
「月面特派員だ」修はニッと笑う。「今から君たちは、名誉新聞部員だ」
　兎たちはそう呼ばれると、一瞬きょとんとしたが、すぐに背筋を伸ばした。好奇心旺盛な兎の事、早くも新聞部としての使命に燃えているらしい。
　
　彼方でエメラルドの光が突き立つのを、修は見た。
　誰かが、何かの力をスパークさせたのだろう。
　ここが本物の月で、神魂で変容したものか。
　それとも、幻想のつくりものか。

　真央の言葉が、答えでいいような気がした。

　地上に帰ったら、真央に連絡しながら、月を見上げてみるか……。
（何か変わったものが、見られるかもしれない）

　瑠奈は、足元にちょうどいい大きさの石ころを見つける。
（月の石……）瑠奈はそれをそっと、ふところに入れる。
　地上に戻れば、他の石と見分けがつかないかもしれないが、自分だけのお守りにしたい。
「こんな石でも、地球のとは違うらしい、よねえ……」
　瑠奈はそっと、掌の石を転がしてみる。
　内側から、石がほの蒼く光ったような気がした。
（あたしも、特別？）

　満月になる前の月を『宵待月』などと言ったりする。
　まだ満ちる前の、半人前の月。
　それが見事に望月となるかは、余人のあずかり知るところではない。

　庵から出た刀は、頭上に地球があるのを認める。
　不意に、よく言い表せない気持ちが、刀の胸に満ちた。
　すごい美人にあったからか。
　地球。寝子島。友人たち。かぐや姫に負けないくらいきれいで、大切な女の子。
　会いたい……。
　無性に慕わしい気持ちが、刀の中で弾ける。
　
　彼方に立つ緑の光柱。それは輝きをまし、やがて翠緑に空を染めるだろう。
　それは覚醒の合図。ありえない、エメラルドの夜明け。

（土産話もできたし……帰ろう）刀は、夜明けに向けて、一歩足を踏み出した。

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あとがき

担当マスター：ぱーすぺ
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ありがとうございました！

バラエティに富んだアクションありがとうございます。
月に託した様々な思いが伝わってきました。
月に関しては種々のＨＰや、ブルーバックスを参考にいたしました。
拾い読み程度で、とても書面などを出せる段ではございませんが、記して謝意と変えさせていただきます。

それではまた、熱いアクションをいたしましょう。

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