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- 00月00日生 00歳
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月のお散歩
同じころ、勇者一行も兎の群生と遭遇していた。
「未知の生物発見！ ＵＭＡだね！」
「兎だよ」
謎の掛け合いをする二人を尻目に、いおねは兎ににじり寄った。
「月には本当に兎さんがいたんですねー」じっと、餅をつく兎を見る。「軽い重力の中でもぺったんぺったんできるなんて、器用ですねぇ……」
兎がたじろぐ勢いで、見つめる。
「ところで、月と地球の兎さんの、骨格には違いがあるのでしょうか……ありそうですねぇ」
稲井いおねのろっこん『レントゲン・ラブ』。
視界内の生物が骨の状態で見えるという、骨フェチ垂涎の奥義。
この機をのがすまいと、いおねはろっこんを発動させようとする。
こつん。
いおねの指が、ヘルメットに当たる。
「ＮＯＯＯＯＯ！！！」
解説が必要だろう。
いおねのろっこんは、眼鏡の蝶番を掴むことで発動する！
つまり、宇宙服を着ていては、発動できないのだ。
「何ということでしょう！ 月の兎の骨格だなんて、もう二度と見れないかもしれないのに！」がつんがつんと、自分のヘルメットを小突く。「なんたる不覚ぅ！！ ＯＨ ＭＹ ＧＯＤＮＥＳＳ！！」
ヘルメットを人差し指で連打するいおね。
すごく自己主張の強い人みたいだ。
「この！ ヘルメットが！ ヘルメットが！」自分のヘルメットを殴りつけるいおね。「まさにムーン！ ムーンリベンジ！ ムーンプリンセスハートアタック 」頭を抱えて意味の分からない英語を連発する。近くの石柱に頭を激突させる。
どよどよと黒いオーラを漂わせるいおね。
円と姫音。二人のツワモノあいてにドン引きさせる発狂ぶりをみせる。
「ヘルメット脱いだら、死ぬって！」
「そうだ、宇宙服の中から手を回せば……ごぶっ！」
排水パイプを、宇宙服の中で引きちぎるいおね。
ヘルメットが、水で満たされていく。
「むむ、なんとかしないと！」
「姫音は勇者だから、なんとかするよ！」
水のない月面の海で『溺死』しそこなう。
なかなかの荒業。
なんとかそれを回避したのは、二人ならではだろう。
どうやって回避したか……勇者だから。
「残念です……でも切り替えの早いのがいおねの長所なのです！」ふたたび立ち上がるいおね。
「たとえろっこんがつかえなくてもいおねには！
今まで沢山の骨格を見てきた経験で！
動きから骨格の把握することだって可能なのですよ！」
そう言って、観察を開始するいおね。
いつの間にか一緒に餅つきをしたり、ジャンプ勝負を始めている。
ここまでか……。ついに探検隊に脱落が出た。
最良の友を置いて、姫音と円はその場を去る。
彼女たちに未練はなかった。
超常現象も目にしたことだし。
姫音と円が、兎たちと離れるにつれ、全景があらわになっていく。
「おー、この骨。地球の恐竜とは違うのですよ！」兎を抱え、歓喜するいおね。
石柱と思われたのは、肋骨。
背骨、それから巨大な頭蓋骨。
兎の群生がいたのは、巨大な化石。
月の恐竜。ルナ・ザウルス。
功名心に満ちた生物学者がそこにいたら、どれほど驚いただろう。
とうに滅びたそれは、さびしく化石となり、兎を見守る。
その秘密を開示する相手は、世俗の価値に目もくれぬ探検隊。
肉を切らせて骨を断つ。ナチュラルボーンフリーク、いおねの真骨頂であった。
そして、姫音と円。
恐竜程度の怪異では、ふたりは満足しない！
きゃぴきゃぴガンガン宇宙旅行！
その後も二人のミステリーツアーは続くのだが、残念ながら詳しく述べるには、あまりにも紙面が足りない。
ナスカの地上絵をおもわせる、謎の瘢痕！（月面車の轍だった）
待ち受ける陰謀団の手先！（さっきの旗のところに戻ってきただけだった）
そして、砂塵の彼方に霞む、黒曜石のピラミッド……。
円の有人機動ユニットが、ガスとともにオーロラの様なエネルギーを噴射する！
「とーう！！」
視界の端に地球をとらえ、その美しさに見惚れるものの、円は気を取り直す。
――時間がいつまであるのか、わからないのだから。
（誰かにつたえる気も、信じてもらえる気もないけど、
自分の目で見て、確かめてみたい。
学術的な意味はないかもしれないけど、好奇心を埋めるだけで……
……ボクにとっては、充分）
充分な感動に値するはずだから。
索漠とした真実よりも、ロマンを選ぶ。夜の夢こそ真。
後悔のないように。
砂塵のかなたに、蜃気楼のように消え去る構築を、円はカメラに収めた。
後日談をひとつ。
円がとった写真は『メー』に投稿されたが、その号は「寿司ネタで読み解くノストラダムス」の特集があり、ほとんど注目を集めなかった。
ガチガチの懐疑主義で有名な学者が「どう考えても本物だ」と言ったことが、話題になったくらいだった。
円は、満足である。
「未知の生物発見！ ＵＭＡだね！」
「兎だよ」
謎の掛け合いをする二人を尻目に、いおねは兎ににじり寄った。
「月には本当に兎さんがいたんですねー」じっと、餅をつく兎を見る。「軽い重力の中でもぺったんぺったんできるなんて、器用ですねぇ……」
兎がたじろぐ勢いで、見つめる。
「ところで、月と地球の兎さんの、骨格には違いがあるのでしょうか……ありそうですねぇ」
稲井いおねのろっこん『レントゲン・ラブ』。
視界内の生物が骨の状態で見えるという、骨フェチ垂涎の奥義。
この機をのがすまいと、いおねはろっこんを発動させようとする。
こつん。
いおねの指が、ヘルメットに当たる。
「ＮＯＯＯＯＯ！！！」
解説が必要だろう。
いおねのろっこんは、眼鏡の蝶番を掴むことで発動する！
つまり、宇宙服を着ていては、発動できないのだ。
「何ということでしょう！ 月の兎の骨格だなんて、もう二度と見れないかもしれないのに！」がつんがつんと、自分のヘルメットを小突く。「なんたる不覚ぅ！！ ＯＨ ＭＹ ＧＯＤＮＥＳＳ！！」
ヘルメットを人差し指で連打するいおね。
すごく自己主張の強い人みたいだ。
「この！ ヘルメットが！ ヘルメットが！」自分のヘルメットを殴りつけるいおね。「まさにムーン！ ムーンリベンジ！ ムーンプリンセスハートアタック 」頭を抱えて意味の分からない英語を連発する。近くの石柱に頭を激突させる。
どよどよと黒いオーラを漂わせるいおね。
円と姫音。二人のツワモノあいてにドン引きさせる発狂ぶりをみせる。
「ヘルメット脱いだら、死ぬって！」
「そうだ、宇宙服の中から手を回せば……ごぶっ！」
排水パイプを、宇宙服の中で引きちぎるいおね。
ヘルメットが、水で満たされていく。
「むむ、なんとかしないと！」
「姫音は勇者だから、なんとかするよ！」
水のない月面の海で『溺死』しそこなう。
なかなかの荒業。
なんとかそれを回避したのは、二人ならではだろう。
どうやって回避したか……勇者だから。
「残念です……でも切り替えの早いのがいおねの長所なのです！」ふたたび立ち上がるいおね。
「たとえろっこんがつかえなくてもいおねには！
今まで沢山の骨格を見てきた経験で！
動きから骨格の把握することだって可能なのですよ！」
そう言って、観察を開始するいおね。
いつの間にか一緒に餅つきをしたり、ジャンプ勝負を始めている。
ここまでか……。ついに探検隊に脱落が出た。
最良の友を置いて、姫音と円はその場を去る。
彼女たちに未練はなかった。
超常現象も目にしたことだし。
姫音と円が、兎たちと離れるにつれ、全景があらわになっていく。
「おー、この骨。地球の恐竜とは違うのですよ！」兎を抱え、歓喜するいおね。
石柱と思われたのは、肋骨。
背骨、それから巨大な頭蓋骨。
兎の群生がいたのは、巨大な化石。
月の恐竜。ルナ・ザウルス。
功名心に満ちた生物学者がそこにいたら、どれほど驚いただろう。
とうに滅びたそれは、さびしく化石となり、兎を見守る。
その秘密を開示する相手は、世俗の価値に目もくれぬ探検隊。
肉を切らせて骨を断つ。ナチュラルボーンフリーク、いおねの真骨頂であった。
そして、姫音と円。
恐竜程度の怪異では、ふたりは満足しない！
きゃぴきゃぴガンガン宇宙旅行！
その後も二人のミステリーツアーは続くのだが、残念ながら詳しく述べるには、あまりにも紙面が足りない。
ナスカの地上絵をおもわせる、謎の瘢痕！（月面車の轍だった）
待ち受ける陰謀団の手先！（さっきの旗のところに戻ってきただけだった）
そして、砂塵の彼方に霞む、黒曜石のピラミッド……。
円の有人機動ユニットが、ガスとともにオーロラの様なエネルギーを噴射する！
「とーう！！」
視界の端に地球をとらえ、その美しさに見惚れるものの、円は気を取り直す。
――時間がいつまであるのか、わからないのだから。
（誰かにつたえる気も、信じてもらえる気もないけど、
自分の目で見て、確かめてみたい。
学術的な意味はないかもしれないけど、好奇心を埋めるだけで……
……ボクにとっては、充分）
充分な感動に値するはずだから。
索漠とした真実よりも、ロマンを選ぶ。夜の夢こそ真。
後悔のないように。
砂塵のかなたに、蜃気楼のように消え去る構築を、円はカメラに収めた。
後日談をひとつ。
円がとった写真は『メー』に投稿されたが、その号は「寿司ネタで読み解くノストラダムス」の特集があり、ほとんど注目を集めなかった。
ガチガチの懐疑主義で有名な学者が「どう考えても本物だ」と言ったことが、話題になったくらいだった。
円は、満足である。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2014年11月22日
- 参加申し込みの期限
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- 2014年11月29日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2014年11月29日 11時00分
