ワニかみパレード☆｜リアクション

ワニかみパレード☆

【ワニさんの思い出】

　一夜明けて、翌日にはワニさんの姿はなく。
　寮で目覚めて、庭に出た御巫時子は、寂しそうに瞬きを繰り返した。
「ワニさん……、どこかへ遊びに行ってしまったのか、それともおうちに帰ったのでしょうか……」
　昨日の様子が嘘のように静かになってしまった庭に、小鳥のさえずる音がする。
「あ……、写真……」
　ふと思い出して、カメラを確認してみれば、ワニさんと共に撮った写真が確かに残っている。
「きっとまた、会えますよね……？」
　かわいらしい鳴き声を思い返して、時子は微笑む。

　同様に、飼育小屋を訪れた屋敷野梢も、がくっと肩を落としていた。
「……やっぱりいなくなってましたか」
　もっとじっくり観察したいと期待していたのだが、ワニさんは幻だったかのように行方をくらましてしまった。
「神魂関連の生物は、これだから……」
　ぶつぶつぼやきながらも、飼育小屋を見てみれば、ワニさんのいた痕跡がまざまざと残っている。
「これは、柱に噛みついた跡ですね。こっちは、乱闘の跡、水をこぼした跡、食い散らかした跡……」
　ファイルを開けば、観察記録とともに、撮影した写真もしっかり残っている。
「まったく、資料だけ残っていても、ねえ」
　肩をすくめて、梢は小さく笑いをこぼした。
「次は、もっと念入りに観察してやりますからね！　待っていてくださいよ……」

　ワニさんの不在を悲しむ人、再会を望む人、思い出にひたる人――。
　それぞれの心の中に足跡を残し、小さいワニさんはどこかへ消えた。
「わにー」
「にー、にー……」
　猫ヶ浜海岸に聞こえていたはずの鳴き声は既に無く、波の音だけが響いている。
　浜辺には、ワニさんの名残が強く残る。

「わにー！　強いんだわにー！」
　ワニさんの物真似をして、子供たちが浜辺を元気に駆けていった。
　そんな、ある日の出来事。

END

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あとがき

担当マスター：瀬野とうこ／笠井　月子
ファンレターはマスターページから！

皆様こんにちは。瀬野です。
すっかり秋ですね？

ワニさんとたわむれようシナリオをお届けします。
お待たせして申し訳ありません。
そして、笠井マスターを期待されていた皆様、代打ですみません。

小さいワニさんと過ごすひととき、いかがでしたか？
わりとほのぼのとした雰囲気だったかなと思っています。

かわいいワニさんのこと、たまには思い出してあげてくださいね。
秋の砂浜で衣服を破いてしまったときにでも。

それでは、このたびはご参加まことにありがとうございました。
失礼したします。

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