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秋の夜長を
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初秋に差し掛かったとは言えどもまだまだ残暑厳しい陽射しの下、
中之条 靖史
は愛車のボンネットに腰を下ろす。片手にはすぐそこのパン屋で買ったばかりの特製スモークサーモンのサンドイッチ。
(あ、うまいうまい)
ふかふかもちもちのパン生地に、桜チップで冷燻したサーモンと自家栽培の採れ立てハーブ入りタルタルソースがよく合う。これは他のパンも期待だと思いつつ、もう片手で持った愛用のスマホを操作し午後からの予定を確認する。
(夕方まで編集さんと打ち合わせ、)
夜の予定は真っ白に空いたまま。
(そうだ、くらちゃんを誘おう)
落神伝説の情報を追い始めてからある程度が経っている。集めた情報を作家仲間の
南戸河 蔵人
に話してみよう。勿論、飲みながら。
早速スマホで呼び出しを掛けてみれば、そこはお互い自由業の強み、幾度目かのコール音の後、
『おっと、やっさんか』
蔵人の明るい返事があった。
「ああもしもし、くらちゃん?」
『どうよ、アレから。なんか面白い話あった?』
スマホを通して聞こえるのは、街頭の賑やかな物音。どうやらご同輩はネタ探しの探索に町へ出ているらしい。
「くらちゃんの方はどうなんだ?」
『私もアレをネタにちょっと温めてるんだよね』
お互いのネタについてまず訊ねるのは、二人の間では最早挨拶のようなもの。
「ま、その辺も兼ねて。今夜空いてる?」
『空いてる空いてる』
軽快な返事に靖史は思わず笑みを零す。
此方は神話や伝説を扱うルポライター、向こうは冒険や童話を扱う小説家。作り出すものは違えど文字を扱う畑は同じようなもの、蔵人の情の厚さからくる人懐っこさもあって、暇があれば酒酌み交わす仲が随分と続いている。
「この前行った焼き鳥屋あんじゃん?」
『ハナさんの所ね。あの日以来たまに行くけど、良いよね、ああいう店』
打てば響くノリの良さもありがたい。
「ああ、話が早くて助かるわ。じゃあ夜に、また」
現地での待ち合わせ時間を決め、通話を終了する。まだまだ厳しい陽射しを遮ろうと帽子の縁をつまんで角度を調整する。昼飯代わりのサンドイッチの残りを綺麗に食べ切り、ボンネットから立ち上がって大きく伸びをする。
「よし」
夜の予定は埋まった。蔵人との酒を楽しみに、午後の打ち合わせも張り切って行こう。
飲みの誘いがあった昼頃の残暑の厳しさとは打って変わった晩秋の寒さ帯びた風に、どれだけ歩き回っても痩せない肉のついた背中を押され、蔵人はいきつけの居酒屋の縄暖簾を潜る。
「や、どうも、おかみさん」
「いらっしゃい、南戸河さん」
客のいないカウンター上の金色招き猫を磨いていた割烹着姿の女将が喜色満面で常連客を迎え入れる。
「いつものお連れさんは? 中之条さん。こないだ取材してくれたのよねえ」
「やっさんもすぐ来るんじゃないかなあ」
大らかな笑みを浮かべて手近な席に着き、店員から熱くしたお絞りとお通しのわけぎと烏賊の酢味噌和えを受け取る。
先に注文を通しておくか迷っているうち、靖史が北風を連れて店内に入って来た。寒い寒いと眼鏡の奥の一重の目を顰め、ひょいと片手を上げる。
「よう、お待たせ」
「大丈夫、待ってないよ」
連れが隣の席に着くのを待って、蔵人はまずは冷酒を注文する。
「それと適当にお勧めの串を」
「いい肝が入ってますよ」
「あ、じゃあ俺もレバーを」
蔵人と店員の会話を耳に、靖史もついでにお勧めらしい肝をとりあえず頼む。それにしても冷える、と女将に渡されたお絞りで冷たくなった手を包む。
「こんだけ寒いとやっぱり熱燗だな」
品書きを眺めて呟き、女将を呼ぶ。まずはかけつけ一杯。
「この前飲んだ地酒を燗してくれませんかね」
「お燗ね、はいはい」
「ああ、がっつり熱くしてください」
「ここのとこ冷えるものねえ」
昼間の残暑との落差を考えつつ、靖史は品書きを眺める。評判の良いグルメレポも手掛けるライターの注文を待ち受け、熊じみた容貌の店員がカウンターを挟んで張り切って前に立つ。
「……つまみは……」
旨い酒には旨いつまみが必要だ。此処が焼き鳥の看板を掲げるのなら尚更のこと。
「かしらにねぎま、なんこつとししとうで」
「塩で?」
「はい、塩で」
お待ち下さいと店員が引っ込んで、代わるように女将が硝子製徳利に入った冷酒と、お燗用アルミカップでがっつり熱くした地酒を運んでくる。
「そんじゃあ、ま」
「乾杯ッと」
冷酒は硝子製のぐい呑みに、熱燗はコップに、それぞれに素早く手酌し、まずはとばかり軽く縁と縁を重ねる。
冷えた身体を暖めようと、靖史は乾杯した酒をきゅっと口に流し込む。舌を焼き、喉を過ぎ、胃に落ちる燗酒の熱さと強い香りに思わず笑みを滲ませる。 隣を見遣れば、冷酒を一口含んだ蔵人もふくよかな頬を似たように笑ませている。
「さて、くらちゃん」
「はいよ、やっさん」
お通しの小鉢をつついて焼き鳥の串を待ちつつ、もうひとつの酒の肴であるいつもの話を持ち出す。
「やっぱり、今年はどうも変だわ」
首を捻り真剣な口調で言葉にするも、神話系統の記事執筆を本業とする靖史の眼は心底楽しげに輝いている。
「島を回ってみても例年と雰囲気が違うって話も聞くし……」
島を巡ったついでにネコッターにあげたグルメレポートが例によって好評だったのは秘密にしておいて、靖史は熱い酒で唇を温める。
「姪っ子や従妹もこの島に居るんだけどさ」
ネコッターにアップされた靖史の寝子島グルメが多くの人々からお気に入り登録や情報拡散を受けて居たことには触れず、蔵人は靖史の言葉を継ぐ。
「なーんかね、ちょっと最近……」
言い掛けてうまく言葉に出来ず、作家である蔵人はもどかしげに癖毛の頭を掻く。
「……違うんだよな。雰囲気が」
今日もやけに寒いし、と呟く蔵人に、靖史は大きく頷く。
「この店の周りに踏み入れた瞬間、季節が変わったみてぇに気温が下がったよな」
「実際そういう不思議な出来事、多いからねぇ……」
島に起こる不思議について話せば話すほど、
「やはりこれも落神伝説とやらが関わってるのかな」
「落神様ねぇ……」
話はいつもそこに辿り着く。
注文の品が届けられ、二人は焼き立ての串を取る。話の合う者同士が酒席を組めば、酒は調子よく進む。
店の外、季節はずれと言うには余りにも冷たすぎる風が格子戸を鳴らす。夜闇に灯る赤提灯を揺らす。
「やっさんは神様は居ると思う?」
「神様、か」
風の音に呼ばれて店の外へと視線を投げ、靖史はこの島に伝わる落神様を思う。この国に伝わる様々の神話や伝説を思う。
仕事柄、神々に纏わる話に触れる機会は多い。それ故に、思う。確信していると言ってもいい。
「神様はいる」
そりゃそうだ、と酒を舐め、
「ここは八百万の神が住む国だしな」
言い切っておいて、おどけるように小さく肩をすくめる。
「くらちゃんの言葉を借りれば、『素敵』な事さ。至極浪漫がある」
あっけらかんと笑う。だから、と杯を掲げる。
「落神様に」
「ゴッドよきたれー」
己に応じて磊落に笑い、美味そうに酒を飲み焼き鳥を食う輩に、靖史は笑みを向ける。
「くらちゃんは、神様についてどう思う?」
「ふむ、」
落神伝説を追う作家仲間の問いに、蔵人は僅かに考え込む。
神様との接し方について。神様について。
『神様』は、信じてくれる人が少なくなると力をなくしていくと聞く。
逆も然り。信仰が強いと力も強くなる。
信じる者は救われる、というのはその辺りから来ているのかもしれない。
「私はね、やっさん」
グラスをカウンターに置き、蔵人は少年の心を忘れぬ大人の瞳で靖史を見る。
「夢のある話を子供達に伝えて行く事で神様達に力を、……」
いや、と首を捻る。ちょっと違うかな、と言い直す。
「そうやって神様を信じる事で人に力を与えていきたい」
人である蔵人は、『神様』の在不在ではなく、そのあり方を求める。
「人それぞれの心に、力をくれる。そういうのが神様の力であり、役割なんじゃないかと思ってる」
思うように売れずとも、少年少女に向けた冒険小説や幼い子供達に向けた童話を書き続ける作家は眼鏡の奥の瞳を淡く笑ませる。
「子供の方がそういうのは強いからね。そんな子達が大人になった時、……ちょっと、力が欲しいとき。そんな時に神様の事を思い出せるような。そんな手助けがしたい」
夢見る瞳で、夢ではなく現実を語る。そうして、ふと照れたように酒を口にする。
「……ちょっと熱くなりすぎたかな」
神様の話からずれちゃったかな、と頬を引っ掻く。もう一度冷酒を飲もうとして、グラスが空になっていることに気付いた。店員に同じものをもう一杯頼み、靖史に横顔を向けたまま笑う。
「ま、子供向けの本書いてるってのはそんな理由」
熱くなりすぎた心を冷まそうとするかのように、小さく息を吐く。
「やっさんは?」
「うん?」
「ルポライターをやってる理由」
臆面もなく問われ、靖史は眼を丸くする。正面切って誰かから問われたことはなかった。
「……そりゃ神話とか伝説とか好きだしさ……」
自身を語ることに慣れないルポライターは繰り返し瞬きをする。ぶっきらぼうな言葉を紡ぐ。
「それに、……」
最後は酒の力も借りて、ずっと考えてはいたものの言葉にしたことのなかった思いを言葉にする。
「いつか歴史に埋もれちまって、伝えていく人間がいなくなったら寂しいじゃねぇか」
空になったコップを片手でゆらゆらと弄ぶ。
「向こうから、……神様とかからしてみりゃヨケーなお世話かもしんねぇけどさ、ってうわ?!」
「いいなぁ、それこそ素敵だ」
言葉の途中で有無を言わさず蔵人から抱きつかれ、靖史は思わず声を上げる。そう言えば抱きつき癖があったかな、と思い出す。
話を聞かせてもらった感激のあまり飲み仲間に抱きつきながら、蔵人は楽しげに笑う。
「ま、うまい酒とうまい飯。それがあれば問題ない、か」
「……ま、そうだな」
「神様も、私達も同じさ」
お代わりがそれぞれに届く。神を語り、人を語る宴はまだまだ続く。
人である作家二人は、酒の満ちた杯を掲げて笑み交わす。
「乾杯」
「乾杯ッと」
――乾杯
もう一人、誰かの声を聞いた気がして、――けれど、時ならぬ寒さに包まれた居酒屋の客は、目に見えるものは、二人きり。
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あとがき
担当マスター:
阿瀬春
ファンレターはマスターページから!
お待たせいたしました。
夜更けの居酒屋での一幕、お届けさせていただきます。
賑やかなお酒も、静かなお酒も、色々の場面が描けてとても楽しかったです。みなさま、それぞれにとても良いお酒でした。
とても楽しく書かせて頂きました。ありがとうございました。
読んで頂きましてありがとうございました。
少しでもお楽しみ頂けましたら幸いです。
ハナでのお話を書かせて頂きますと、うっかりいつもお酒が飲みたくなってしまいます。今日は熱燗にしちゃいましょう、熱燗ー。
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阿瀬春
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シルバーシナリオ★(150)
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3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年11月12日
参加申し込みの期限
2014年11月19日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年11月19日 11時00分
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