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秋の夜長を
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白く降る月光の下、ぽつり灯る赤い光を視界の端に捉えた。妙に冷たい風に氷蒼色に染めた髪を乱され、
ライレエ・アーレンス
は豊かな胸を抱え込むように腕を組む。
(もう秋か……)
陽がある間に感じた夏の熱はどこへやら、胸元に紛れ込む風は、夜も更けた今は確かに秋の気配を宿している。
(夏もあっという間に終わったな)
瞳を彩る蒼のコンタクトレンズに、折に触れて通う居酒屋の赤提灯と電光看板の光を映す。『やきとり ハナ』と書かれた電光看板の上の黄色いパトランプは、こんな時間だというのにまだ元気に回っている。
風になびく縄暖簾の奥、店内に満ちる温かな光。
風に背中を押され、光に誘われるように、ビールケースに半ば隠れた格子戸を開ける。
「よぉ、女将さん」
半分開けた戸から顔を覗かせる。誰も居ないカウンターを布巾で磨いていた割烹着の老女将が笑み浮かべた顔を上げた。
「店はまだやってるかい?」
問えば、もちろん、と元気な応えが返って来る。いらっしゃい、と店員が迎えの声を張るのに合わせ、座布団を敷いた木製の長椅子に腰掛ける。幾度も通う内に気に入った手羽先と軟骨の塩焼きを頼む。
「あとは日本酒だな」
「お燗する?」
「そうしてもらえるか」
「冷えるものねえ」
女将から手渡された熱いお絞りを使い、お通しの鯛と塩昆布の和え物を突いているうちにアルミカップで温められた熱燗が届く。女将の酌をグラスに受け、人肌に温められた日本酒で舌を湿す。
喉を甘く香りながら通り抜けて胃を熱くする酒の美味さに、男勝りな強い瞳が和む。そうするうちに店員から焼き鳥の皿が届く。
炭火の熱に脂を弾けさせる手羽先を頬張る。炭と塩の香りを放つ軟骨を噛む。
「んー。やっぱりハナの鳥はうめぇな」
瞳を細める常連客に、女将と店員が嬉しげに笑う。
馴染みの居酒屋で酒と肴を楽しんでいて、ふと顔を出入り戸へと向ける。外の道を駆ける風音に混ざって、
「雨か」
アスファルトの道や屋根を叩く雨音が聞こえてくる。
「さっきまで晴れてたのに、可笑しな天気だな」
唇に酒の熱を帯びたグラスを押し当てる。これも、と口の中で呟く。
(これも神魂の仕業か?)
胡乱気に顰めた眉は、けれど喉に流れ込む酒の味に緩く解ける。
もし神魂の仕業だとしても、雨の音を聞きながらのんびり酒を飲むのもいいかもしれない。
雨音に耳を傾けグラスを傾けていて、不意にカラリ、戸が引かれた。雨の匂いと北風が足元に流れ込む。横目に見れば、白髪にスーツ姿の男が重たい足を引き摺るように雨音を連れて店に入って来ている。
混じる色の一切ない真白のその髪とその足取りに、やけに背筋の伸びた爺さんだなと思うも、
「まーたこんな時間までやってんのか」
女将と店員の挨拶に片手を上げて応える男の声には低い張りがある。こちらの視線を感じて巡らせる少々眠たげな瞳の奥にも、鋭い光が宿っている。
僅かな視線の交錯の後、雨に追われるように店に入ってきた男は素知らぬ顔で戸口近くの椅子に腰を下ろした。
「ま、小腹もすいてたし丁度いいけどな、何か寒いし」
スーツの肩についた雨粒を黒手袋で覆い隠した手で払う。
「雨ねえ」
「傘持ってなくてな」
女将が奥から出してきた大きめのタオルで濡れた白髪を拭く。体に詰まった冷たい空気を大きく吐き出し、店内に籠もる炭火と暖房器具の熱を胸に満たす。
「遅くまでお疲れ様、今日は何のお仕事?」
「しょっぺえ浮気調査」
面倒くさそうに呟き、探偵を生業とする
本田 宗次
は煤けた壁に貼られた品書きを疲れた眼で見遣る。
「ったく、最近の狂いっぷりったらないぜ」
「可笑しな天気だよな」
独りごちた言葉に、思いがけず笑み含んだ言葉を返され、年季の入ったカウンターに肘をついたまま視線だけを向ければ、薄青い色の髪と瞳の女が薄い笑みを刷いた唇にグラスを当てている。
「この島は本当に飽きない」
小さく付け足して、今度は楽しげに笑う。
「飽きない、か……」
(天気もおかしいし非常識な生き物は闊歩するし、)
引き締まった身をスーツに隠す女を窺いつつ、宗次は心中にぼやく。
(……おまけに猫が喋るわ、)
生まれは本土ではあるものの、高校時代以降を寝子島に過ごし、けれど事情あって五年前に島を離れ、――戻ってみれば、島は何だか妙なことになっていた。
(カラスも喋るわ……)
島に戻ってこっち、次々と巻き込まれた事件を思い起こし、宗次は思わず眉間を揉む。
「未だに現実って実感がわかねぇなあ……」
低く呻く相席の男の言葉に、ライレエは愉快気に瞳を細める。偶然会ったこの男も、どうやら島の異変に気付いている側らしい。
(私が来る前は普通の島だったみたいだが)
女将からお通しを受け取り、一人酒を酌み始める男を見るともなしに眺めながら、ライレエも一人酒をあおる。
以前は『普通』であったはずの島が騒がしくなった原因は、『神様』とやらが空から落ちてきたことらしい。そうして散らばった『神魂』が島のあちこちに異変をもたらしているらしい。
(『普通』とは程遠い島となったわけだ)
そうでなくとも、この島には面白い連中が多い。
知り合いに呼ばれてこの島を訪れ、滞在を決めるまでや、決めてから出会った人々の顔を思い浮かべる。
(島に来て色々あったよな)
時間の流れは相も変わらず早いもので、何となしに過ごしていればあっという間に一日が終わる。
仲のいい酒飲み友達がくっついたりもした。
神魂による異変に巻き込まれ、何処かの世界で魔王になったりさえもした。
普通をぶち壊そうとする者、普通を守ろうとする者、神様から島を守ろうとしている者。色々な思想が混ざり合うその様が面白かった。それぞれの目的のためにぶつかり合う様も、見ていて悪くなかった。
その最中に己が入って行けることが、何より楽しかった。
「俺は今の島が好きだぜ」
憂鬱気な瞳した男に挑むように笑いかけても、
「俺は出来るだけ平穏に暮らしてーよ」
男は投げやりな返事で応じるばかり。
風貌や佇まいから鑑みるに、相当の修羅場を潜って来ているように見えるが、本人はどうやら厄介ごとは御免蒙りたい性質らしい。
つまんなくねえかなぁとグラスを見て、酒が尽きていることに気付く。もう一杯、と女将に空のグラスを差し出して頼みつつ、
「なぁ、女将さん」
退屈を何より厭う女は問う。
「あんたは今の寝子島は好きかい?」
「そうねえ」
常連客のグラスに酒を注ぎ、昔からこの店を守り続けてきた女将はおっとりと笑う。
「昔も今も、この島が大好きよ」
「そりゃいい」
楽しげに笑いあう女達の声を、雨音と共にどこか遠くの出来事のように聞きながら、宗次は熱い酒を胃に落とす。
風に流され地面に散る雨の音が、あの日に聞いた雨音に少し似ていて、
(……そういや、そろそろあいつの命日か……)
手袋に覆い隠した己が手を見下ろす。
あの日奪われた己の指先と、
――女を、思い出す。
酒を含む。女が死んでから過ぎた年月を辿る。
(はえーもんだ、もう五年か)
女が死んでからの年月と、己がこの島を離れてから再び戻るまでの年月は同じ。
それが長かったのか短かったのか、今の宗次には分からない。
ただ、たった五年でこの島に帰ってこれるとは思っていなかった。
結果として一人の女が死に、己がこの島を出るはめになったその事件の起こりを、
(ちょっとした不幸な巡り合わせだった)
当人である宗次はそう断じている。
初秋のその日は、朝から空の底の底にまで落ちてゆけそうにいい天気だった。
その日。
その日も、探偵としての仕事に追われていた。危険な連中に関わる危険な仕事ではあったが、それはそれでいつものことだと思っていた。
だから、たまたまだった。
たまたま、その日にその女の特異な生い立ちを知った。
たまたま、その日にその女からの電話に出ることができなかった。
その日、夜になって急に降りだした秋雨の中、女が電話に出なかった己を待つために自宅を訪れるとは思ってもいなかった。
己の自宅に、性質の悪い連中が張り込んでいるとは思いもしなかった。
(ただ、ちょっとした不幸な巡り合わせだった)
そう思わなければ、五年が過ぎた今でさえ平静ではいられない。
己に少しばかり自分の生き方を考えるきっかけをくれた女の、散々に陵辱された挙句、命を奪われて尚も弄ばれる女の無惨な姿を見たあの時は、言うまでもなく。
逆上した。己が頭に血が上る音を聞いた。それがいけなかった。
冷静さを失ってしまえば、暴力のプロである彼らに、しかも複数人である彼らに、敵うはずもなかった。袋叩きに遭い、面白半分に近く手酷い拷問を受けた。
――殺せよ、おい
幾度も思い、実際に口にもした。
それが故に殺されなかった。もっと苦しめとばかり半殺しに止められ、女を喪った己だけがおめおめと生き残った。
島を離れたのは、その直後。
馴染みのあった任侠の頭に宥められ、ほとぼりが冷めるまでと勧められ、満身創痍の身で這い蹲るように島を離れた。
島を離れ、本当はそのまま戻らぬつもりだった。
島を離れたその足で、死ぬつもりで海に向かった。飛び降りれば死体も上がらぬとされる岩壁に立ち、そこから眼前に広がる水平線とどこまでも落ちてゆけそうな青空を見て、
――自棄になって楽な道に逃げてんじゃねぇ
辛い思いをしていたあの頃の女に、毎日のように言っていた己の言葉を思い出した。
生と死の崖縁にへたりこみ、そうして、女を喪って以来始めて笑ったのを、あれから五年が過ぎた今もはっきりと覚えている。
「本田さん?」
「……ああ、」
店員に呼ばれ、宗次は眼に灯る暗い光を瞬いて消す。いつの間にか空になっていたグラスを軽く掲げる。
「もう一杯、くれねぇか」
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阿瀬春
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シルバーシナリオ★(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年11月12日
参加申し込みの期限
2014年11月19日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年11月19日 11時00分
参加キャラクター一覧
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