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秋の日の海は、なんだかとても水色で
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夕陽さす海岸、BGMは静かな波音、ふたりの影は、すっと長く伸びています。
よりそう影、そのひとつは
伊予 祐
の影で、もうひとつは
雪代 伊織
のものなのでした。
彼が誘って彼女が従って、それは砂浜のデートです。
でも伊織に対し、祐と恋人同士なのかと問えば、きっと彼女は頬を染め、しばし考え込んでしまうことでしょう。恋心というのは彼女には、まだ漠然としていて遠い、雲か霞のような存在なのです。己の胸の中にそれがあるのか、それすらも自覚できていません。
けれど彼と歩いているこの時間、それがたまらなく愛おしいものであること、それだけは伊織も断言できるのです。
一方で祐は理解しています。自分の心がもう、彼女の虜になっているということを。
思えば祐がこの島で、伊織と出逢ったのは初夏のことでした。
あれからひとつの季節が過ぎました。あっという間のようでいて、そのすべてが貴重で濃密な時間だったとも彼は思います。
たくさん作りました。思い出を。ふたりで。
他愛もない会話が途切れ、少し間が生まれました。
それを埋めるように、
「そういえば……」
「そういえば」
ふたりは同時に口を開いていました。声が男女混成のハーモニーを生み出しています。
「あ、えっと……」
「祐さん、どうぞ」
「いや伊織さんこそ」
「いえ他愛もない話なので……」
「俺だって」
気恥ずかしいけれどなんだか、くすぐったいような譲り合い、やがて祐が折れました。
「じゃあ、俺から話すけど……この夏、伊織さんとすごした色んな出来事を思い出していたんだ」
「偶然ですね」
と伊織は声を弾ませました。
「私もです。夏休みはたくさん思い出を作りましたね」
「ああ。たとえば……夏風邪引いたとき、献身的に看病してくれたっけ。あのときは本当に嬉しかった」
思い出しただけで頬が緩みそうな記憶です。
慣れない手つきで包丁を扱う伊織の姿……それは今もあまり変わらないけど、彼女が優しくいたわってくれたこと、それがなによりの見舞いとなりました。
「……どういたしまして。でも、あまりうまくはできなかったのが恥ずかしいです。で、でも、今はもう少しうまくできますよ!」
ここまで力強く言って、そして伊織は囁くように付け加えました。
「だから……次は倒れる前に、誰かに……私に、頼ってくださいね?」
「それを聞くと、病気になるのも楽しみになるな」
ははっと祐は笑いました。
すると伊織は照れ隠しのように言いました。
「そういえば落ちる夢も見ましたわね」
「空高くから落ちていった先が、懐かしい病院の屋上だったな」
奇妙な夢でした。とても、現実味のある夢でした。これもいわば、夏の思い出です。
――君といるとあったかいのは、初めて恋したあの子によく似ているから……いや、あの日の少女が君だからなのかもしれない。
言いたいけど言えない、その言葉。祐は口を閉ざし、かわりに微笑します。
――夢の中で落ちたとき、祐さんが私の手を握ってくれたから……安心したんです。
伊織もやはり、その言葉を口にできません。せっかくの夢が、消えてしまうような気がしたから。
「一緒に清里へ出かけたね」
「ええ、ワイナリーに遊びに行ったときですね。私、いつもいつも迷惑ばっかりかけてしまって嫌われてないか心配でしたの……でもやっぱり祐さんは優しくて……お日様みたいにあたたかだなって、そう思いました」
「だったかな。いつもと違う場所ですごす時間は特別で、笑顔ひとつが眩しいくらい、輝いてみえた」
それは伊織さんが一緒だったから――とまでは、言い出しづらいもどかしさがあります。
「そして花火大会」
と祐は言ったものの、伊織は耳まで紅潮して、応じる言葉が出せませんでした。
残暑の花火、宵闇に映える浴衣姿……あのときの伊織の姿は、今でも祐の記憶に焼きついています。
素敵でした。
――子供みたいに純粋にはしゃぐ伊織も、大人びた表情で花火を見上げる伊織も、そっと心に留めてある。
初めて頬に落とされたキスの感触、それを忘れる日は、きっと祐には来ないでしょう。
そんな祐の心を読んだかのように、
「そ、その節は……!」
失礼しました、と、ゴニョゴニョと伊織は言うのです。そして声を絞り出すようにして、
「親しい人の頬にキスするのは日本では普通のことではないのですね、ちゃんと勉強して来ました!」
大きな声にすると、あとは黙って下を向いてしまいます。
「伊織、こっちにきて」
思い切って、祐は彼女を呼び捨てにしていました。
もっと近くにいたいんだ――それが彼の気持ちのすべてです。
夏は短くて、消えてしまいそうなくらい儚い。
夢じゃないと確かめたくて仕方ない。
「あの日触れた、そして今目の前にあるぬくもりもすべて、俺の宝物だ」
はっきりと彼は口に出しました。
彼女は顔を上げます。
「そ、そう仰られると面映ゆいばかりでございますが……私が少しでもあなたの支えになれるのなら、私は幸せです」
その目は熱を帯びて潤み、声はわずかに掠れていました。
うなずいて、祐は伊織の手を握りました。
伊織は、拒みませんでした。
冷たい手が熱を帯びていきます。
彼女の手のかすかな震えが、彼の手に伝わっていきます。そうして、
「花火のお返し、させてほしい」
祐は伊織を見つめ、その頭をなでたのです。さらに肩を抱き寄せてそのまま、額と額をくっつけました。
強引かもしれません。
けれども恋をする者は、ときとして強引にならなければならない。
今だけは――祐は思いました――今だけは、俺にください。
「好きです」
と祐は告げ、目を閉じてそっと、伊織の唇にくちづけたのです。
それは鉄の塊ですらとろけてしまうほどに、情熱的なキスでした。
伊織はやはり拒みませんでした。
そればかりか目を閉じ腕を彼の背に回して、彼の求めに応えたのです。
長い、長いキスでした。
赤い夕陽も顔を隠してしまうような、愛し合うふたりのキスでした。
唇と唇が離れても、祐の腕は伊織を包み、彼女もまた、彼を離しませんでした。
「祐さん……」
「君と出逢えて本当によかった。精一杯のありがとうを伝えるよ」
伊織はついに、自分の中の恋心を見つけていました。それはずっと前から、ひょっとすると彼と出逢ったときから、彼女の中に咲いていた一輪の花でした。
「私からも言わせて下さい、お礼を」
――私は幸福な人生を歩んでいると思います。それも図書館のみんなと、そしてこの人のおかげです。
誰か、聞いてほしい。彼女の心の中の声を。
――次は私が、優しくてあたたかでどこか淋しいあなたに寄り添っていきたいから、なんて少し差し出がましいかもしれませんが。
「これからも私と一緒に、たくさん思い出を作ってくださいね」
ふたりの夏は終わりましたが、ふたりの物語は、まだ始まったばかりなのです。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ★(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
動物・自然
定員
20人
参加キャラクター数
21人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年12月12日
参加申し込みの期限
2014年12月19日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年12月19日 11時00分
参加キャラクター一覧
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