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【心のありか】
朝鳥 さゆる
は、腕にはめた時計をちらと確かめてから、その立て看板へと視線を寄せます。
旧市街へと出かけた帰り。用事を済ませて浮いた時間を、はてどうしたものか、とちょうど思案していたところでした。今から真っ直ぐに自宅へ戻るにしろ、繁華街へと繰り出し、誰かしら適当な退屈しのぎの相手を見繕うにしろ。どうにも時間は中途半端……かといってぼんやりと時を持て余してしまうのも、いかにも芸が無くて。
そんな時に目に付いたのが、絵画展の看板だったのです。
「……ま、時間つぶしには、いいかもね」
さゆるはつぶやくと、扉をくぐり、館内へ足を踏み入れました。
企画展示のコーナーにはそれなりの数の人がいて、静かに作品を鑑賞しています。
ひっそりとしたこんな空気は、さゆるも嫌いではありません。それなりに楽しみながら、順に作品を見ていくと……やがて。
特にさゆるの目を引く、一枚の絵が現れました。
『灯台と秋雲』。エノコロ岬とそこに立つ灯台、波に打たれる岸壁に、青空に浮かぶ雲たち。その精緻さはさておき、モチーフとしては、一見何の変哲も無い風景画。
けれど、やけにその絵が、さゆるの心を揺さぶるのです。
(……あの、頃……あの時の……)
そっと目を閉じれば。蘇ってくるのは、あの頃、あの時。十にも満たなかった、幼いさゆるの記憶。
両親はいつも仕事に忙しく、どちらも留守がちでした。だだっ広い家の中、一人きりで過ごす毎日……随分と寂しい思いをしていたことを覚えています。
そんな二人が、珍しく揃って休みを取ることができた、貴重な休日。とある秋の日。
両親は一人娘を連れ、海岸へと散歩に出かけました。
(あたし、ずいぶんとはしゃいでいたっけ)
家族が揃っての、楽しい一時。両親の手をきゅっと握り、並んで見た、あの時の風景。
岬に立つ灯台。青空の真っ只中、ゆったりと流れ行く、秋雲。
(そう……あの頃、あの時に見た、あの景色が……)
目を開けば、そこに。
額に飾られ、静かに佇んでいるのです。
表情には出さないままに、さゆるは噛み締めます。もう二度と、あの頃は戻っては来ないのだということを。
さゆるも、自覚してはいるのです。寂しさを紛らわせるため、逃れるために、今の自分が、進んで破滅的な選択をしていることを。
過ぎ去ってしまった時を巻き戻すことなど、誰にできるわけもなく。仮に戻すことができたとしても、今という時にどっぷりと浸ってしまった自分が、あの純粋だった日々へと還ることなどできるわけもなく。
ただ、胸に刻み込まれたたった一つの事実に、かき乱されるのみ。
三年前。さゆるの両親は、飛行機事故に巻き込まれ、帰らぬ人となりました。
北美浜 薫子
にとっても、正直それほどに、他人を気遣う余裕があったとは言えません。
「なあ、あんた……大丈夫かのう?」
「!」
それでも思わず声をかけてしまうほどに、さゆるは、打ちひしがれて見えたのです。
「……ええ。別に、大したことじゃないわ。ただ、少し……見覚えのある風景だっただけ」
「そうか、それならいいんじゃが」
一転してクールな顔を取り戻し、さゆるはそっけなく言いました。
それが取り繕った表情であることは、薫子にも分かります。けれどそれ以上、聞き質すことはありませんでした。きっと、芯には強い意思を持っているのだろう……そんな気がしたのです。
そのまま、二人。黙したままに、『灯台と秋雲』を眺めます。
「良い絵じゃな。やっぱり……プロの作品は、凄いのう……」
「ええ、そうね。……?」
さゆるもまた、気付いたようでした。一見して明るい人柄に見える薫子の表情が、少しばかり、翳ったことに。
「……うちなぁ。ちょっと、意固地になっちょったんじゃ」
初対面のさゆるへ、そんなことを語りたくなったのは、何故だったのでしょう。
きっと、どこか。何かしら、近しいものを感じたからかも知れません。
「うちの、義父様なんじゃがな。彫刻家をやっとってな」
「! 義理の……」
「義父様のようになりたくて。義父様の子なんじゃと、目に見えるような繋がりが欲しくて。さすがは北美浜さんの娘さんじゃ! なんて、言われるようになりたくて……」
そんな娘に、なりたかった。それが、薫子がいつからか抱いてきた、何よりの夢でした。
母に捨てられた薫子。あの時に味わった、思い出したくも無い感覚。
そんな苦しさ、寂しさを、より大きく深い愛で埋めてくれた、義父母。
大好きな育ての親、けれど親子であっても、顔は似ていませんし、色々なものが違います。だからこそ、薫子が欲した繋がりは、誰の目にも見えるもの。
つまりは、著名な彫刻家である義父の足跡をそのままなぞり、自身も彫刻家になることでした。
「けど……やはは。当の義父様に、否定されてしもてのう」
「どうして?」
さゆるの疑問はもっとも、けれど今の薫子には、義父がその夢を認めなくなかった理由が、良く分かりました。
芸術家を専攻し、必死に勉強し、技術を学び。いっぱしの目利きの腕をも身につけた薫子の、美術や芸術についての造詣は深く、その知識量たるやかなりのものです。
けれど。
「つまり、この絵。これなんじゃ。うちにはこの絵を描くのにどんな技法が使われてるか、用いた道具は何か。なぜこの絵が、そんなにも評価されちょるか。そんなことが分かったとしても……ただ、描けそうには無いけんのう」
彫刻もまた同じだと、彼女は言います。
今やさゆるの目にも、薫子は、いくらか境遇の近しい相手と映ったかも知れません。共に両親を亡くしながら、今を生きていて……けれど二人の間には、決定的に違うところがありました。
「うちな、小さい頃から美術館だの個展だの、義父様に連れて回ってもらってたけん。こういうモノを見る目には、自信あるんよ。だから……」
その目は、紛れも無く義父からもらった、大切な薫子の財産。
「……美術館の、学芸員になる! それがうちの、今の目標なんじゃ」
薫子は気付いたのです。義父の想いに。
無理に自分の跡をなぞる必要は無いのだと。娘には、自分の目指す自分の道を歩んで欲しい、そう願っているのだと。
義父は薫子に、そう伝えたかったのだということに。
つまらない話を聞いてくれてありがとう、と笑ってから、薫子は去って行きました。学芸員を目指すなら、作品だけでなくその展示方法など、まだまだ美術館で見るものがあるのだそうです。
辛い過去を背負いながらも、薫子の表情は、どこか輝いて見えました。
彼女はどうにか立ち直り、その瞳は既に、前を向いているのでしょう。時折悩みながらも、それでもああしてしっかりと地に足を付け、歩み出しているのでしょう。
(……あたしは……)
自分は、どうなのだろう。どうすべきなのだろう。
複雑な想いを抱えながら、さゆるもまた、『灯台と秋雲』に背を向けます。
胸の中には、あの時の風の音……波のさざめき。そびえる灯台の威容。青空の向こうで、白く淡い、飛行機雲がたなびいていました。
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担当ゲームマスター
墨谷幽
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ブロンズシナリオ★(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
コメディ
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年10月28日
参加申し込みの期限
2014年11月04日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年11月04日 11時00分
参加キャラクター一覧
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