グッドモーニング・ハグハグ☆｜リアクション

グッドモーニング・ハグハグ☆

●ジレンマと苦悩と楽しみ

「何故か、今日は男子生徒が女子生徒に抱き着く事案が多い。……まったく……風紀が乱れすぎてるんじゃないのか？」
　風紀委員としてこの事態は看過できません！　とハグしている生徒を引き剥がすべく動き出す矢萩咲。
「咲にハグしたな？　生まれたことを後悔させてやろう！」
　タックルのようにいきなり抱きついた男子生徒を、説教しながら風紀委員として鉄拳制裁。
「……でもハグか……」
　かつて、咲も異性に恋心を抱いていたことがあった。騙され、弄ばれたと気付くまでは。
　辛く、苦い過去がトラウマとなり、不純異性交遊や破廉恥行為を認めなくなった。
（もうあんな思いはしたくない……だから、咲は……）
　過去を思い出したことで胸が苦しくなったが、ハグもいいかも……と一瞬考えてしまう。
「……いや、やめよう。今の咲には必要のない……必要のないこと……」
　必死にハグしたい気持ちを振り払おうとするが、　ふたりの異性に告白されたこと、そのふたりに同時に頬にキスされたことを思い出し、顔を赤らめた。
「咲は……どうすれば……」
　自覚しつつある欲求に困惑しながらも、咲はハグしている異性を引き離し続けた。
「駄目だ……咲は風紀委員……寝子高の風紀を乱すことはできない！　校内での不純異性交遊は……咲が絶対にさせない！」
　咲が苦悩している頃。哀坂極夜は、教室でひとり思い悩んでいた。
　別の神魂の影響で咲に迫り、頬にキスまでしてしまった。
　それ以来、咲のことが気になり、愛しく思えて仕方がない。
（……それまでは気付かなかった。いや、気付かないように自分で誤魔化していたのかもしれない……やはり私……いや俺は……）
　窓から外を見ると、ハグしほわ～ん状態の男女（一部同性）が。
（咲先輩を抱きしめたい……）
　神魂の影響に流されるか、理性を保つべきか。どうすべきか悩む極夜だった。

　風紀とハグに板挟み状態の咲。咲の思いに苦悩する極夜に対し、ハグな状況を楽しもうとする生徒が。
（にゃんこやわんこは抱きしめて可愛がってあげたいっていつも思っているけど、今日はもっともっと可愛がってあげたいきぶんー）
　なんでだろうねえと思いつつ、好みの猫ちゃん、わんちゃんがいないかなあと校内を探し回る羊飼依津。
「ハグするとしたら、見た目かわいい子がいいねえ。思いっきり抱きしめちゃお～」
　依津は鞄から首輪を取り出すと、ハグする可愛いペットを探しに向かった。
（ハグを嫌がったら、厳しく躾するけどねえ）

「何か面白い状況になってきてるぜ～！」
　ろっこんで酔っ払い状態の酒浸朱蘭は、酔っ払ってハグする幸せを皆に体験してもらおうと動き出す。
　校内で酔って大丈夫なのか？　というツッコミ無用。彼女が持っている瓢箪の中身は、本物の酒ではない。
　登校初日。
　酔っ払いながら正門を歩いていると、高野先生にばったり。
「高校生が酒を飲むな！」
　怒鳴られたが、酔ったフリをしていると誤魔化し。
　更に瓢箪に入っている水を飲ませ、飲酒していないことを証明。
「酒臭くないな、疑ってすまない」
　朱蘭に謝った後、高野先生は顔がカーッと熱くなってきた。
（夏風邪でもひいたか？）
　他の教師、風紀委員にも飲酒を疑われたが、高野先生と同じ手段で切り抜けた。
　飲酒は20歳になってからと固く誓っているが、実際に酔っても問題なく行動できるのはある意味すごい。
「皆で酔っ払おうぜ～！　誰を酔わせようかな～？」
　飲み友達を探し、一緒に楽しむことにした朱蘭。

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