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所詮この世はラーメンなのさ
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ところで、カウンターで天利の隣にいたのは、
城山 水樹
である。
某雑誌では読者モデルとして活躍中の彼女においても、ラーメンは特別な食べ物である。
ラーメンとは脂とカロリー、塩分とコレステロールの塊である。もちろん、美容の面からアプローチするならば、その影響は最悪と言えるであろう。
しかしながら人々の心を捉えて離さないのもラーメンの魅力である。どんなに我慢しても、いや我慢すればするほど耐え難く、時に悪魔のように、時に天使のように心にある想念を湧き上がらせる。
ああ、ラーメン食べたいなぁ、と。
人は弱い生き物だ。いくらラーメンの美容と健康に関する害悪を説いたところでその魅力の一片をも損なうことなどできはしない。いやそれどころか自らの心に禁じれば禁じるほど、炭水化物が、肉が、脂が、暴力的な欲望となって襲いかかってくる。
モデル稼業の水樹にとってもそれは例外ではない。
いやむしろ彼女、ラーメンは好きなのだ。好物なのだ。しかしその稼業のうえでは迂闊に食べるわけにはいかない。とはいえ一度手にすればそれは禁断の果実、その後を引く美味さにあっという間にスープまで完食してしまうだろう。
そこで彼女が取っているのは、『月一ラーメン』制度。完全にラーメンの魅力を絶つことはできないならば、スケジュールを完全に管理して、カロリーの収支を合わせるしかないと判断したのである。月一回はラーメンを食べてもいいと自分に許すことで、その頻度を下げる。
そんなわけで今日は、その月に一回ラーメンを食べる日なのだ。
彼女は濃厚ホタテスープの海鮮ラーメンとチャーシュー丼をオーダーした。
モデルにあるまじき食事風景だが、食べた後は2週間ほどかけて調整する。ダイエットや食事制限のコツは、比較的長いスパンで調整し、自分が我慢しているという意識を薄くすることである。
「……いただきます」
まるで久しぶりに会う友人と対面したかのような心持ちで、水樹はラーメンを眺めた。
熱い。まるで間欠泉から吹き出たかのような熱いスープが細麺と海鮮の具を浮かべている。
ホタテ、エビ、イカが丼の中に盛り付けられ、こちらを見ているような気さえする。
いいのか、こんなに乗っていて。
いいのだ、海鮮ラーメンなのだから。
水樹がラーメンとの月に一度の邂逅に浸っていると、隣に座った男の声が耳に入ってきた。
「何しろ、この世はラーメン、人生はラーメンさ」
一瞬、耳を疑った。
この世はラーメン? この男は何を言っているのだ。
水樹は目の前の丼から視線を横に移し、隣に座った男を見た。
その視線に気付いているのかいないのか、天利はテーブルに座った学生たちにいかにラーメンが世界であり、人生とはいかにラーメンであるかを言葉少なに語っている。
……何なんだろう、このおじさん。
水樹は思った。至極まっとうな感想であった。
極力関わるべきではないのだろうかと水樹が思ったとき、ふいにその天利が水樹に話しかけてきた。
「食事中に失礼、えーと学生さん。仕事でこのネコを探してるんだが、見なかったかい?」
ラーメンと猫の相関関係がさっぱり分からない。とりあえずその猫に見覚えはなかった。
「……見てないですね」
「……そうか、邪魔したね」
天利は写真を懐にしまった。水樹がまだ天利の顔を眺めていることに気付き、天利は言葉を繋ぐ。
「……どうかしたかな?」
「今、ラーメンとか世界がどうとか」
「ああ、ここのラーメンがあんまり美味いモンでね」
「……だからって、世界は言いすぎじゃ?」
ここのラーメンが美味しいのには同感だけど、と水樹は言葉を飲み込む。
だが、天利はそんな反論にはビクともせずに続けた。
「いいや、今なら言える、ラーメンは世の中を如実に現していると。例えば学生さんが食べているラーメンは一杯、たったの一杯さ。けれど、その一杯のためにラーメン屋がどれほどの時間と労力をかけてきたか想像したことはあるかい?」
「……そういえば……」
確かにラーメンは美味い。しかし、その味に到達するまでの気の遠くなるような時間に比べて、自分達がラーメンを食べてしまう時間の、なんと短いことか。
「言うなればスープは七つの海、チャーシューは、ホタテは大陸だ。それらが麺という民族、文明の絡み合う様はまさに無限の可能性を秘めている。その一杯だけでは、ラーメンという世界の片鱗を味わっているのに過ぎないのさ」
「でも、人生とラーメンは……」
水樹はさらに食い下がった。しかし天利は譲らない。
「いいや、確かにラーメンは人生さ。その箸に絡んだ麺はまるで縁のようなもの。切っても切れない因縁、才能や努力、幸運や不運は絡み合って、決してひとつは成り立たない。自分と他人という麺が、スープという想いの深みの雫をすくい取ったとき、初めてひとつの味を完成させる……そしてそれは具という偶然に出会い、その味わいを増していく……これが人生でなくて、何なんだ」
「……知らなかった……ラーメンこそがこの世の真実そのものだったなんて……」
水樹は愕然とした。確かにラーメンは美味い。だからこそ今まで月に一度の楽しみとしてラーメンと付き合ってきたのだ。
しかし天利との会話で水樹の中に新たなラーメン観が芽生えてしまった。もう、今までのようにラーメンを食べることができないかもしれない。
「私は……私はこれからどうラーメンと接したらいいの?」
水樹は呟いた。天利は立ち上がり、水樹の肩に軽く手を置く。
「何も心配することはねぇ、学生さん。美味いラーメンを食ったなら、やるこたぁひとつ……あんたもそれは知ってる筈さ」
いつの間にか水樹は海鮮ホタテラーメンとチャーシュー丼を完食していた。いつも通りの美味さ。その向こう側に、料理人の笑顔が浮かんだ気がした。
何か考えたわけではない。しかし天利と水樹は自然に、そっと両手を合わせた。
そして呟く。誰に言うでもない。自分に言い聞かせるでもない。しかし、しっかりと。
「ごちそうさまでした」
と。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
まるよし
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ★(100)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
16人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年10月10日
参加申し込みの期限
2014年10月17日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年10月17日 11時00分
参加キャラクター一覧
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