希望戦士ニャンダム・レクイエム｜リアクション

希望戦士ニャンダム・レクイエム

●共和国軍パイロット　マオ・ウシロギ

　マオ・ウシロギ（後木真央）は軍学校入学してすぐに学徒動員され、スペースサンマーのパイロットになった。

<< 弾薬が残り少ないのだ一回帰投するのだ >>

　戦場で弾を使い果たしたマオは、スペースサンマ―を補給艦に着艦させた。

「スペースサンマ―は良い機体なのだ？　こういう小惑星帯での機動性なら簡易型よりずっと小回り利くのだニャクやブチには負けないのだ」

　訓練の時とはケタ外れの実戦のプレッシャーを打ち消すために、マオは敢えてハイテンションを装っていた。

「テオルが居るのだ負けるわけないのだ大丈夫なのだ……大丈夫、だと思うのだ」

　気丈に装っていても、マオはまだ年若い。押し寄せる不安に胸が押しつぶされそうになる。

　そんなマオの視界の隅を良く見知った先輩兵士の姿が横切った。

「何も言わないで出撃して死んじゃったら……やっぱりそんなの嫌なのだ」

　スペースサンマ―の操縦席を飛び下り、その姿に駆け寄ってショルダーアタックを仕掛ける――
　そのまま両者絡まるように倒れる。

「あれっ？　……えいっ！」

　先輩兵士の上に馬乗りの様になったマオは勢いに任せて叫ぶ。

「センパイのこと好きなのだ！　言わずに出撃したくなかったのだ！」

　先輩兵士は驚きの表情の後、フッと目を細めて何かを口にしようとするが、マオは相手の口を手で遮った。

「でも、今お返事聞いちゃうと、どっちの答えでも帰ってこれなそうな気がするのだ。
　だから………戻ったら答えを教えて下さいなのだ……」

　そういい残し、マオは後を振り返らずにスペースサンマ―の操縦席に飛び乗った。
　補給の確認を取ると、名残惜しさを振り切って機体を発進させる。

<< スペースサンマー、マオ・ウシロギ、行くのだ！ >>

　再度戻った戦場でマオは獅子奮迅の活躍を見せる。

<< よぉっし、ニャク３体撃破なのだっ！　戻ったらセンパイに褒めて貰うのだ！ >>

　だがその時、マオは視界の隅で動くニャクがいる事に気が付いた。その機体が狙う先には補給艦が。

<< あのニャク……あの船にはセンパイが……ダメなのだ～！ >>

　気が付いた時、マオはスペースサンマ―をニャクに体当たりさせていた。
　激しい衝撃と共にへしゃげる二つの機体。
　そして一瞬遅れて両機ともに爆発した――