希望戦士ニャンダム・レクイエム｜リアクション

希望戦士ニャンダム・レクイエム

●宇宙要塞ジーマ・ネコ宙域　ラクシーン公国軍　サガミ艦隊　

「脱出艇、もうすぐ戦闘区域外へ到達します」

　部下の報告を受け、アレイは静かにうなずいた。

「ありがとう。では、本艦の搭乗員も退避してくれ。ここから先は私一人で行く」

　しかし、出ていく搭乗員は一人も居なかった。

「船は一人では動かせませんよ。それに我々はあなたの部下です。
　あなた一人で行かせるわけにはいきません」

「すまない。我がままに付き合わせてしまって」

　アレイと搭乗員たちは揃って敬礼を交わし、戦艦を戦場で一番戦闘の激しい区域へと向かわせる。

「少しでもいい、脱出艇が戦闘区域を抜けるまで時間稼ぎをするんだ」

　荒れ狂う暴風のような砲火の中、アレイは限界まで指揮を執った。
　腕に揺れるキーホルダーを見て、遠く離れた脱出艇に乗る一人の少女を思いやる。

（俺の人生は偽物で……とても短かったけれど、
　誰かを好きになって、その人を助けて、未来を繋げただけでも本望……だ）

「満足だよ……」

　敵艦に船をぶつけた最後の瞬間、アレイの顔には微笑みが浮かんでいた――