寝子島少年探偵にゃん！｜リアクション

寝子島少年探偵にゃん！

　赤羽勇樹はほんのりと泣きそうな顔で、数点の新品の靴を握り締めていた。
（事件解決のためとはいえ、くぅっ、懐が痛い）
　お小遣いをはたいて買った靴は、男女取り混ぜて、サイズもまちまちだ。
　公園はいまのところ平穏そのものだが、勇樹は公園のいたるところに靴を置いてみる。
　茂みの中、滑り台の下、ブランコの横、ジャングルジムの真ん中などなど。
（何故、猫は『子供用』の靴を盗んでいくのか……の為に真相を解明して頑張るぞ）
　靴を買った時に一緒に買っておいた、あんパンと牛乳を握り締め、勇樹は物陰に潜んだ。

「ふむ、ネコが靴を持っていくとはフシギだね」
　エルカディア・シュルツはねこったーの情報に青い目を細める。
「ネコが多くいる場所っていったら、ネコジマでも公園や自然の多い場所なのかな」
　ネコジマに来て日の浅いエルカディアは、ドイツでのネコの習性を思い浮かべていた。
　ドイツの猫たちは、人が多くいる街中では警戒心を強め、逆に木漏れ日の眩しい緑の多い公園などでは、のびのびとくつろぐ姿を見せてくれたのだ。
（とりあえず、公園にいってみるかな。それと、ネコジマの地理に詳しい人に出会えたりしないかな）
　公園はすぐにわかる。
　地理に詳しい人に出会えるかどうかは、運次第だけれど。
　エルカディアはきゅっと帽子をかぶり直し、公園に向かった。