寝子島少年探偵にゃん！｜リアクション

寝子島少年探偵にゃん！

　結緑一色は、メガネの奥の黒い瞳をキラッと光らせた。
　愛車のBMXから降りる。
　その目線が捕らえているのは、一匹の白猫。
「靴をくわえた猫発見！　さっすがオレさまちゃん、捜索開始早々かんっぺきだなっ！」
　少年探偵団として、日課のパトロールをしていた甲斐があったというもの。
　この辺の道なら、完璧に頭に入ってる。
　そう、猫が通れるような狭い隙間もだ！
「ふふふっ、オレさまちゃんに通れない道などないのだよ」
　白猫が潜り抜けていった狭い塀の隙間を、一色は結構強引に身体を滑り込ませて、犯人ならぬ犯猫を追いかけていく。

「しろちゃん、くろちゃん、任せましたよ？」
　抱っこしていた飼い猫のくろちゃんとしろちゃんを、夢月姫は地面に下ろす。
　くろちゃんとしろちゃんは、姫の足に擦り寄って、ごろごろと鳴き出した。
「うれしいですけど、今回は、遊びじゃないのです」
　お散歩だと思っている二匹に、姫はいい聞かす。
「よいですか？　くつを盗っていってしまった黒猫を探してほしいのです。くろちゃんじゃないですよ？」
　名前のとおり、くろちゃんは黒猫、しろちゃんは白猫なのだ。
「上級生のくつが盗まれてしまったようなのです。くろちゃんとしろちゃんなら、きっと、猫同士、わかるものがあるかもしれません」
　靴を盗んでいった黒猫と、くろちゃんとしろちゃんが知り合いかどうかは不明だ。
　でも、くろちゃんとしろちゃんは顔を見合わせて、にゃぁんと鳴いた。