【らっかみおろし】第３区間：町から海へ｜リアクション

【らっかみおろし】第３区間：町から海へ

「……せーの！」
　勘助が投げ入れた、さび猫チームのらっかみさまは、しぶきと共に沈んでいった。
　優勝争いには加われなかったものの、たくさんの人たちにらっかみさまのご利益をお裾分けしてあげた、さび猫チーム。
　周りには、たくさんの島民の皆さんが集まっていた。もちろん、ちびっこやオバチャンも。
「せっかくだから、皆さんでお願い事してみましょーか」
「お願い事？　でも、それは優勝したチームだけが叶うんじゃなかった？」
　梢の提案に、円は言う。
「願う分にはただですよー」
「俺もいいと思います。お祭りですし……せっかく、こんなにたくさんの人が集まったんですから……」
「勘助くん……。うん、してみよっか。もしかしたら、気まぐれにらっかみさまが聞いてくれるとも限らないし」
「ふふふ、神様の考えてることなんて、さっぱりわかりませんからねー」

「……後木、ホントに飛び込むのか？」
　同じく大分遅れてのゴールとなった黒猫チームも、ちょうどらっかみさまを海へ投げるところだ。
「水深調べたのだここかららっかみ人形と飛び込む分には平気なのだご神体と一緒に海に飛び込むのだ♪」
　そう言うと、真央はらっかみさまを抱えて海に。
「真央ちゃーんダーーイブ！！」
「……相変わらずヘンテコなこと考える奴だなー」
　ぶくぶくと泡の立つ水面を見つめ、士はくすりと笑った。
（でも、良かった。また迷子にならずにここまでこれて。うちのらっかみさまにもたくさんの人の願いがこもってるからな）
　そう言って、士はふと辺りを見回す。
「……そう言えば、骨削は？」

「……うぐぐ、あと少しじゃったのに、惜しいのぅ……」
　まぁまぁと環は呼水の背中を優しく叩いた。
「ここまでこれただけでもすごいよー。だって、２位だよ、２位。明日、学校で自慢しちゃおーっと♪」
「明日なんて待てないわよ。タネちゃんなんて、もうメールで自慢してるもんね、ふふっ」
「さっすが、ソウルシスタァ！　それ、たまちゃんもやろーっと♪」
「ええい、浮かれおってからに」
　呼水はビシィと２人を指差す。
「大体、お主らが最後の最後で妙なことを言うから、投げる絶妙の間がとれなくてだな……というか、よくソウルシスター名乗れたな！」

「はーああ、惜しかったねぇ……」
　砂浜に座り、凛は言う。圭花は隣で、砂にまみれた身体を拭いている。
「最後のアレは誤算だったけど……まぁ、楽しめたからいいわ」
　そう、彼女にとってはここにいること。仲間と一緒に青春を分かち合うことが、一番の願いなのだ。
「あの、２人とも。良かったら、これからどこか行かない？」
　瑠奈は言った。
「せっかくだから、健闘を称えて、ね？　あ、そうだ、スイーツ食べ放題なんてどうかなー」
「あはは、それいいかも。さんせーい♪　じゃあ食べ放題のあとはカラオケにも行こう♪」
「スイーツ……悪くないわね」
　甘いお菓子が好きな圭花の目がキラリと光った。

「……ところで、２人は何をお願いしたの？」
　佳乃が尋ねると、信彦と飛鳥は顔を見合わせた。
「願い事？　俺には必要ないさ。願いは自分で叶えるし、俺はただ素敵なレディのお手伝いがしたかっただけだからね」
「僕も願い事は考えてなかったな。面白そうなことをしてるから、参加しただけなんだ。……お姉さんこそ、何をお願いしたんだい？」
「実は……私も何も考えてなかったんだよね」
　ぽりぽりとほほを掻く。
「支局長命令だったから参加しただけで……うーん、勿体ないことしちゃったかな？」
「なに、叶えたい願いがあるなら、俺に言ってくれたまえ。素敵なレディのお願いならなんでも叶えてあげるさ、富の許す限りね」
「そ、それはあとが怖そうだから遠慮しておくね……」

　こうして寝子島の風物詩『らっかみおろし』は幕を閉じる。
　皆様の毎日にも福がありますように……。
　それでは、また来年。

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あとがき

担当マスター：梅村象山／萩栄一／小西秀昭
ファンレターはマスターページから！

マスターの梅村です。
シナリオにご参加くださった皆様、ありがとうございました！

らっかみおろしを締めくくる第３区間の担当ということで、ラストに相応しい素晴らしいリアクションをお届けしなければと意気込み、空回り、動悸と息切れに見舞われ、震える手で書き上げたりするようなことはまったくなく、皆様のほんわかして楽しいアクションを楽しませていただいた次第です。はい。

それぞれ違うチームで参加しているのに、なんといいますか、全体的に一体感のあるリアクションになったと思います。
皆様のアクションのシナリオを楽しもう、盛り上げようという気持ちが、それぞれの思惑を超えてらっかみおろしを楽しく彩ってくれたのかな、と思う梅村でございます。

どのチームも、どの皆様も、個性的で魅力的なアクションだったので、順位はそこまで梅村は重視してはいないのですが、一応、競い合うことに意義のあるシナリオですので、梅村判断で順位を決めさせていただきました。

基準としては、前回までのそれぞれの着順から、各障害に対する攻略法と、皆様の熱意、そして、チームワークなどを考慮した上で決定した次第です。
勝敗に、大きく影響したのは、このらっかみおろしに何を求めているか、ただ１番になりたいのか、それとも他の目的を１番に置くのか、ということ。
どちらを選んでも、梅村は正解だと思います。
それから、各障害への対処において、触れようとしてくる島民への対処が判定に大きく作用しました。
というのも、ちびっことオバチャンへの対策はどのチームも万全なのですが、その他、常に襲いくる島民への対処アクションがおろそかになってるチームが目立ったので、それがぺたぺた触られて時間ロスに繋がる要因になったかな、と。

また、今回はコメディシナリオでしたので、煙幕や閃光弾のなどの装備の持ち込みは問題ありませんが、シナリオによっては持ち込めない可能性もありますので、ご留意いただければ幸いです。

そんな雑感ですけれども、第１区間、第２区間、そして第３区間と長々とお送りしました、らっかみおろしはこれにて完結となりました。
プレイヤーの皆様にも、らっかみさまの福が訪れることをお祈りしつつ締めさせていただければと思います。

皆様、ありがとうございました！

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シナリオ

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