タオルケットが空を舞う｜リアクション

タオルケットが空を舞う

承：次々にテイクオフ？

　――猫鳴館。

「わぁ！　タオルの反乱なのだ？！　別の主人を見つけようなんて許さないのだっ！」
　陸上部所属の為、タオルをたくさん持っていた後木真央。彼女は急に動き出したタオルがふわふわ浮いて外へ出ようとしたので慌てて窓とドアを閉めて自室に閉じ込める。少し考えた後、真央は再び自室を開くと数枚のタオルを掴み（その間に２，３枚ほど部屋を出て行った）、猫鳴館入り口付近へ。
「いいこと思いついたのだ！　いつやるのだ？　いまなのだ！」
　と【ご自由にお使いください】と書かれた大きなダンボールへ突撃。ちょこまかちょこまか動いていたかと思えばふわり、と浮かぶ真央とダンボール。実は段ボール両サイドの手持ち穴に無理矢理（ここ重要）何本もタオルを結び付け自分も手足にタオルを巻いていたのだ。
「タオル死すとも褌死せずっ！　反乱タオルよ、褌の主探しの礎となるのだっ！」
　いざ行かん、空の旅！！　と意気込んで空へと舞い上がる真央とダンボール。今の真央には、これから起こる事など全く想像できなかった。

　同じ頃、猫鳴館では同じように飛んでしまった者がいた。遠矢護である。しかし、彼の脳裏にはこんな事が浮かんでいた。

　――僕、死んじゃったの……？

　タオルケットを干していただけの護だが、いつのまにやらふわりと浮かんでいた。離れていく地上に身がこわばり、眼下で作業をしている猫鳴館生に「おーい」と声をかけてみる。しかし、護の姿が見えないのか、声にも気づかないのか、その学生は何も反応を示さなかった。

　――えっ？　どういう事なの？！

　あまりの事に、護は唖然とした。そしてぐるぐる巡ったのはやはり自分は死んでしまったのではないか、という疑問。ただタオルケットを干していただけなのに、何故自分はこうなっているのだろう？　護の目が徐々に光をなくしていく。
（……転んで打ち所が悪かったのかなぁ、それとも何か起こったのかなぁ。全く記憶にないのだけれど……）
　護はいつの間にかぐすぐすと泣き出してしまった。やりたい事があった。友達と話したいことがあった。それなのにもう自分は……。そう思うと、胸の奥が苦しくて、悲しくて仕方がなかった。

　……つっこんでおくが少年よ、まだ君は生きているからね？　

「護ちゃんも飛んでるのだ？　おーい、護ちゃーん！」
　真央がそう呼びかけていたのだが、思考がぐるぐる回っていた護には聞こえなかった。真央は不思議そうに見つめつつもタオルを何故か細く長く切っていた。一体何をしようというのかは……後ほどっ！

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