八月某日。寝子島中のショッピングセンターやドラッグストア等で、新発売となる柔軟材の試供品が配布された。興味を持った多くの人に受け取られ、全てなくなったらしい。
――しかし、まさかその中に神魂が入っていようとは、だれも夢に思わなかった。
夏休みも終盤に差し掛かったある日。旧市街にある牛瀬家の庭には幾つものタオルケットなど洗濯物が物干し竿にかけられ、風に揺れていた。それを家長である
牛瀬 巧は嬉しそうに眺めている。
「今日もあっついなぁ。これなら、洗濯物もよぉ乾くやろ」
そういいながらにっこり笑っていると、傍らで3つぐらいの男の子が楽しそうに笑っていた。牛瀬家の四男、あゆむである。
「お父ちゃん、ぼくのタオルケットも気持ちよさそうだね」
あゆむは風に揺れるタオルケットを見、にこにこしていた。「せやなぁ」と巧も一緒になって見ていると……不意に強い風が吹いた。物干し竿から、子供達のタオルケットがふわり、と落ちる。
「あかんっ! 拾いに行かなっ! あゆむ!」
「手伝うっ」
巧とあゆむはタオルケットを拾いに向かう。が、あゆむが自分のタオルケット(ひよこの模様)を捕まえたとたんにふわり、と浮かび上がる。
「あれぇ?」
それはそのまま青い空へ向かってふわふわ飛んでいってしまう。ありえない光景に目を疑う巧だったが、なんとなく神魂が関わってそうな気がしていた。
「えらいこっちゃ……、あゆむ、待っとれよ!」
巧は咄嗟に物干し竿から落ちてきた自分のタオルケットの端を掴み、そのまま浮かび上がった。
ふわりふわりと空を飛ぶタオルケットに乗り、あたりを眺めているとあちらこちらの家からタオルケットやタオルが飛んでいっていた。それなのに地上の人が驚いたりする様子はない。恐らく、見えていないのだろう。
はたして、タオルケットの行方やいかに!
どうなるんだろう、これ。
という訳で菊華です。神魂入り柔軟材の所為でタオルケット及びタオル生地のものが風に乗って空に飛びます。まれに、別の物も飛ぶかもしれません。
今回は原因を調べたり、解決方法を見つけたりするといった行動は……意味を成さない可能性が高いのでアクションとしてはお勧めしません。
また、基本地上からは空でタオルケットなどが飛んでいる光景は見えません。
ただし、このシナリオに参加したPCさんだけは「地上からその光景を見た」という事にしてもOKです。
*特徴
・柑橘系の香りがします。
・風に乗って飛びますが、コントロールはやろうと思えば出来るようです。
・因みに、触れている間は体重などを無視して飛べるようで、タオルケットに乗ることも出来ます。
・身体のどこかが触れている限り、飛べるようで落ちたとしても「ベンチの上から落ちた」ぐらいの衝撃で収まります。
・飛ぶ速さは基本ゆっくり(歩くぐらい)ですが、その気になれば自転車ぐらいの速さはでそうです。
・寝子島から外へは行けないようです。
(PL情報)
日没頃には持ち主のところへ戻ってくるようです。
いい匂いになって家の中へ入ってくる事でしょう。
登場NPC
牛瀬 巧&牛瀬 あゆむ
旧市街に住む親子。父親はいわずもがな寝子高の生物教師。
あゆむは幼稚園の年少さんでちょっとおっとりした男の子。
たまにはこんな日もありでしょう。
気ままに空中遊泳を楽しむもよし、うっかり飛んでしまったタオルを探すもよし、ただ眺めるもよし。皆様のご参加を心よりお待ちしております。