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言の葉、消えて
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◆
今夜はカレー。
だけども、足りない野菜があるそうで。
母親に頼まれた
水 カジカ
は、八百屋へとやって来ていた。
野菜の入った袋を、お店のおじさんから受け取るカジカ。
話すのが苦手なカジカだが、家族から挨拶やお礼だけはしっかりしなさいと言われていた。
だから、ちゃんと受け取るのと同時に、お礼を言おうとしたのだけれど。
ちゃんと伝えようとしたはずのお礼の言葉は、出てこなかった。
そうこうしているうち、お店のおじさんが自分を見ているのに気付く。
――お礼もちゃんと言えない子だと、思われたかも。
そんな焦りと恥ずかしさで、カジカの顔はりんごみたいに真っ赤になった。
とにかく、何でもいいからありがとうという気持ちを伝えなきゃ。
ぺこぺこと何度も何度も繰り返しお辞儀をすると、がま口をポケットにねじ込んで慌ただしくその場を離れた。
慌てすぎて、時々自分で自分の足に引っ掛けて転びそうになりながら。
何で。
どうして。
喋れないのだろう。
声が出ないのだろう。
夕暮れに染まる道を早足で歩きながら、考える。
――もしかして。
ふと思いついた可能性に、足が止まった。
道の上に長く伸びる、自分の影を見下ろす。
――自分が喋らないから、喋れなくなった?
そんなことがあるのだろうか。
でも、それくらいしか思いつかない。
……言えていない言葉が、いっぱいあるのに。
カジカの心を、不安が太陽を隠してしまう雲のように広がっていく。
泣き出しそうになりながら、再び足早に歩き出す。
目指すのは、もちろん家だ。
――けれど、気がつくことが一つ。
このまま帰っても、ただいまだって言えないんじゃないか。
くるりと向かう方向を変え、海を目指す。
好きな場所で落ち着こう作戦だ。
◆
旧市街への散歩中。
ふらりと立ち寄った公園で、
恵御納 夏朝
は休憩がてらにベンチに腰掛けていた。
こっちの方まで歩いてくると、まだ8月なのもあってちょっと疲れる。
思い立ち、愛用の猫さんメモを取り出す。
夕暮れに染まる旧市街はなんだか綺麗で、ちょっとメモしておきたくなったのだ。
そうして、ペンを走らせながら書いている内容を呟いている時だった。
突然、言葉が喋れなくなった。
まさかと思いスマホを見てみると――文字も読めなくなっている!
これはひょっとして……『言葉』が全て出て行ってしまった!?
前に、『文字が家出』したこともあったけど……。
もし、このまま帰ってきてくれなかったらどうしよう。
考え始めると怖くなってきて、つい泣き出しそうになってしまう。
だけど――。
足元に、腕に、ふかっと柔らかい感触。
そして、にゃあという鳴き声。
これは……猫さんだ! ふわふわの猫さんが、沢山いる……!
もしかして、慰めてくれているのだろうか。
目尻に浮かんでいた涙を拭い、ふかふかの身体を撫でさせてもらうことにする。
そうしていると、段々と心を満たしていた不安が晴れていく。
少しずつだけど、気持ちが落ち着いてきた。
ふと視線を上げれば、カジカが早足で通り過ぎて行こうとするところだった。
彼の少し焦った様子に、自分と同じ理由で困惑しているのだろうかと疑問を抱く夏朝。
それなら、一緒に猫さんを撫でて落ち着こう――と手招きしようとした時だった。
カジカのポケットから、がま口が落っこちた。
しかし、余程慌てているのか彼は気づかない。そのまま、ドンドン行ってしまう。
言葉さえあるなら声をかけて引き止めるのだけど、今はそうもいかない。
猫さんを驚かさないように立ち上がると、まずがま口を拾い上げる。
それから、去っていく小さな背中を追いかける。
夏朝も小柄な方だが、それでも小2のカジカとは比べるべくもない。
コンパスの差もあって、追いつくのはそう難しくなかった。
優しく肩をたたくと、カジカはちょっととびあがってからぎこちなく振り返った。
手の平に乗せたがま口を差し出し、身振り手振りでポケットから落ちたことを説明する。
ああ、言葉がないとこういう時にもどかしい。
だけども、カジカも理解してくれたようで。
あっ、という表情になって一度ポケットを確認すると――
「ありがとう」
その言葉が、彼の口をついて出た。
――声が聞こえた。
――言葉がわかった。
ほっと安堵の息をこぼす夏朝。
「どういたしまして」とカジカに微笑むと、小さな声で呟いた。
「良かった……帰って来てくれたんだね」
おかえり、『言葉』さん。
……帰って来てくれてありがとう。
◆
咄嗟に飛び出した言葉に、カジカは耳を疑った。
でもすぐそれは、
――声が出た。
――言葉が出た。
『伝えられること』の大事さや喜びに取って代わられた。
……けど、やっぱりまだ恥ずかしい。
もう一度お礼を言って受け取ると、踵を返して来た道を戻っていく。
いつもの帰り道。人気がすくなくなる田舎道。
いつもそうしているように、学校で覚えたばかりの歌を歌いながら帰る。
凛としたよく響く歌声が、真っ赤な夕陽と青い空が混じり合った、綺麗な紫色の世界へと溶けていく。
そうして喉に響く振動を、しっかりと感じながら。
――今度は、「ただいま」っていうんだ。
カジカは、そう強く決意した。
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担当ゲームマスター
風雅宿
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
コメディ
定員
30人
参加キャラクター数
26人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年09月04日
参加申し込みの期限
2014年09月11日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年09月11日 11時00分
参加キャラクター一覧
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