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◆
その日、
神嶋 征一郎
は
弥逢 遊琳
から彼の馴染みの香水店へと誘われた。
渋々といった風を見せつつも、興味と好奇心につられて向かうことに。
香水は今までつけたことも買ったこともなく、どれが良いかといったことは全くわからない。
結局、眺めている最中に、
「月橘とか、似合うんじゃないかな」
ふと遊琳のこぼしたその言葉を受けて、月橘の香水を一つ買ってみることにした。
香水店を出た後。
夕食を作るから家に――と、遊琳が言った。
夕食を食べるなら、別に外食でいい。
そう思った征一郎だったが、家に来るように誘う遊琳の姿が、普段よりも必死なように見えて。
遊琳の家へ邪魔することに決めた。
夕飯は、白飯、ナスの白味噌炒め。それから小芋とずいきの炊き合わせに、牡丹鱧。
まずテーブルに並んだ料理に驚いた征一郎は、次に食べて舌を巻いた。
思わず、「美味ぇ」と一言こぼす。
それを聞いて、遊琳は少し嬉しそうに口元を緩めた。
食事を終えて一息ついていると、
征一郎と、遊琳の呼ぶ声。
差し出されたのは、小さなケース。
小さな音と共に開いたケースの中には、リングが一つ収められていた。
彫り込まれた十字のラインを七宝焼きの技術で深い蒼――征一郎の瞳と同じ色にした、銀粘土細工のシンプルなクロスリング。
彫り込み部分にはマット加工が施されていて、気品ある仕上がりになっている。
どうして渡されたのかがわからず、つい問い返してしまう征一郎。
すると遊琳はくすりと笑みこぼした後、
「誕生日おめでとう、征一郎。……いや、生まれてきてくれて有難う、かな」
溶けるような微笑みを浮かべた。
……その言葉に、征一郎はようやく気付く。
今日は、自分の誕生日だったということに。
けど、家族以外に誕生日プレゼントを貰うことなど、久しぶりで。
それが嫌だとか、そういうわけではなく――ただ、どう反応したらいいか迷ってしまう。
そんな彼の様子にか、
「サイズは目測で作ったから、チェーンに通してもいいよ」
まるで予防線の様になった言葉が、遊琳の口から出たその時。
言葉が、消えた。
……今なら何を言っても聞こえないし伝わらない。
なら。
照れくささと素直になれない分を――。
ふと気付いた。
遊琳の様子が……少しおかしい。
泣いている?
言葉が消えた直後、遊琳の心には影がそっと入り込み始めた。
これは……自分のせい?
一度わき出した不安は、溢れだす水のように次から次へと。
不安が不安を呼び、遊琳の心を沈めていく。
蜜色の瞳の奥に、淀んだ色が重なっていく。
本当は、8月が嫌いだ。
遊琳は、誕生日のお祝いなんて知らない。
だって、公私の私を切り捨てられる家で育ったから。
現実味の無い、どこか遠くのお伽話のようなものでしかない。
……ちゃんと、普通に出来ている?
不安は、容易く恐れへと色を変える。
ねっとりと絡みつくような恐れが、遊琳の心に這いよっていく。
言外の言を読む為に目を見るのが――今は、怖い。
気付いた時には、手で口元を隠していた。
心の揺れが、隠し切れない。
どれだけ拭っても、涙が滲む。
見せたくない。
見られたくない。
征一郎は悪くない。
征一郎が頼る事を躊躇う存在には、なりたくない。
逃げられない。
征一郎の心に、孤独は与えたくない。
――君が僕の愛情を疑わなくていいように、僕は君の前で微笑み続けなけれ、ば。
頼ることを躊躇われたくないのに、自分が頼ることは躊躇う歪さが。
遊琳の心に汚泥となって積り、やがて零れそうになった時。
征一郎が、手を伸ばした。
強引に遊琳の手を握ると、その胸に引き寄せる。
征一郎自身、ほとんど無意識のうちの行動。
遊琳は驚いた様子だったが、声は出ない。
何故彼が泣いているのか、それは征一郎にはわからない。
だけど、泣いている様子が一時の自分に、よく似ていて。
……放っておく気には、なれなかった。
ぐっと遊琳の頭を、自分の胸に押し付ける。
これなら、征一郎には遊琳の様子は見えない。
だから、泣きたいのなら泣きたいだけ泣けばいい。
自分の存在が、どれだけの救いになるものか。
決して、他人に良い影響を及ぼせる人間だとは思っていない。
……ただ。
こういう時くらい、少しは頼れ。
その想いは……言葉にするには、伝えるには、あまりにも。
悪魔に手を差し伸べる優しい人間を、狂わせてはいけない。
だけど、気が済むまでこうして胸を貸すくらいは――。
どれくらい、そうしていただろう。
「……デザート要る?」
その声に、二つの意味で元に戻ったことがわかった。
「……付き合ってやらねぇ事もない」
気が済んだか、とばかりに征一郎は鼻を鳴らす。
そんな彼を見上げる遊琳は、弱みを握られたかな、なんてことを考えた。
「もう泊まってけば。明日の朝食もつけるから忘れてよね」
できれば、覚えていては欲しくない。
……ただ、何だろう。
何だか少し、征一郎の見え方が変わった様な。
そんな気がした。
泊まればと言われ、征一郎は少しだけ思案した。
今の遊琳を一人にするのは、どうにも憚られる。
――ので、その言葉には甘んじることにした。
「……あぁ、そうだ」
「何?」
リングケースを取り上げると、
「こいつは受け取っとく。……ありがとうよ」
ぶっきらぼうにそう言った。
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担当ゲームマスター
風雅宿
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
コメディ
定員
30人
参加キャラクター数
26人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年09月04日
参加申し込みの期限
2014年09月11日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年09月11日 11時00分
参加キャラクター一覧
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