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ミッドナイト・フリーキー・ショウ! ~ニャルカトラズの罪人
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がん、と。目もくらむような衝撃。後頭部への、意識ごと吹き飛ばされそうなほどの殴打をもたらしたのは、屈強な腕に握られた木製の棒。幾たびも振るわれ、使い込まれ、赤黒い色に染まった警棒です。
膝をついた
灯 斗南
。入り混じる鈍痛と激痛に耐えながら、ぐっと首を逸らして見上げれば。そこには、示威的なまでにいかめしい制服に身を包んだ看守。目深にかぶった帽子のつばが作る影は、暴力に酔いしれ歪む口元も、あるいは淡々と刑罰を加えるだけの冷たい目付きも、何もかも覆い隠して、その表情をうかがい知ることはできません。
砂混じりで乾いた空気。見下ろす看守の向こうに……ああ。高い、高い壁。
飾り気も無く灰色の、ただひたすらに外界とこちらを切り分けるためだけの、高い塀。
そう。ここは、監獄の中。
【ようこそ、ニャルカトラズへ!】
鈍い音がした直後。目の前の看守が、ゆっくりと前のめりに倒れてくるのを、斗南は軋む身体を動かし避けました。
「これは、『悪』だ」
赤羽 勇樹
は、倒れ伏した看守の横に、砕けたレンガを放り投げて手を払うと、
「悪意。理不尽。押し付けの『正義』。確かに俺たちは、罪を背負っているかも知れない……でもこいつらのやり方は、違う。そう思いませんか、斗南先輩」
「……関係ない」
勇樹は斗南に、そのまま逃走を促したものの。斗南は、ゆっくりと首を振ります。
「そうされる理由がある。俺はそれを受け入れるだけだ」
お前はどうなんだ? と。代わりに斗南は問いかけます。
ぴりぴりと笛の音が鳴り響き、開いた看守棟の扉から、幾人もの看守たちが湧き出してくるのが見えました。
それらをしばらく、ぼんやりと眺めた後。
「俺は……」
勇樹が口を開く前に。駆けつけた看守たちの警棒が殺到し、二人は声も出せないほどに打ちのめされました。
手錠をかけられ、ずるずると引き摺られていく勇樹と斗南。力なくぐったりとした彼らを、
新江 天懸
と
斑鳩 遙
は、作業の手は止めないままに、横目で眺めていました。
「そんなに気に入らないもんかねぇ」
がしゃ、と欠けたレンガを積み上げながら、天懸は薄く笑います。
「俺にとっちゃ、ここは天国みたいな場所さ。世の中にゃ、こんな牢獄よりよっぽどヤバイ世界ってのがあるもんだ」
「どんな世界なんだ?」
がしゃり。汚れた手で、レンガを淡々と積みながら尋ねた遙。
土埃にまみれた風、きつい日の光を浴びながらも。天懸はこれまで、彼が少しでも顔を歪ませるところを、見たことがありません。
「そりゃあ……あんたが思いもつかないような世界ですよ。それに比べりゃ、ここはいい。多少痛い思いはすれど、命までは取られない。メシはマズイがきっちり三食食えるし、看守どもは優しくて……」
ぬ、と、屈んだ彼らの頭上を、影が覆ったかと思うと。黙々と積み上げていたレンガの壁、そろそろ自身の身長も越えようかという高さに到達していたそれらへ、無情にも太い足が蹴り込まれ、がらがらと崩れながら無味乾燥とした音を奏でます。
ついでに、行きがけの駄賃とばかりにか、看守は二人の横面へも蹴りを叩き付けます。倒れた彼らはいつものように、崩れたレンガの中へ頭を埋めることになりました。
「……優しくて、涙が出るね。よう! ちょっと待ちなよ、看守さん」
レンガの山から身を引き抜くと、天懸は立ち去ろうとする看守を呼び止めました。彼の顔や頭からはつうっと赤い雫が垂れ落ち、ぬるりと濡れた右耳、そこに走る傷痕を手でなぞると、
「いつもいつも、お気遣いありがとよ。お仕事ゴクローサマ、こいつはほんのお礼さ」
差し出した手の中には……ガラス細工の、美しい花。刑務作業場の隅にぽつりぽつりと咲いている、ちっぽけで名も無き花も、彼のろっこんにかかれば、こんなにも精巧な芸術品へと姿を変えるのです。
「どうだい、綺麗だろ? やるよ、あんたに」
ただ。看守は、それを美しいと思う感覚を持ち合わせてはいなかったようです。
手のひらごと叩き付けた警棒が、ガラスの花を粉々に粉砕し。それでは収まらないとばかりにか、天懸の全身には、殴打の雨が降り注ぎました。
ちらと、その暴力へ視線を投げながら。遙は崩されたレンガの壁を、物言わず、再び淡々と積み上げて行きます。
強い日差し。ざらついた風、不快な空気。繰り返す殴打音。崩れ落ちるレンガ。それらは全て、この監獄における、他愛の無い日常に過ぎません。
天懸にひとしきりの懲罰を加えた後、遙の積むレンガをもう一度崩してから、看守が歩み去って行くまで。壁に設置された監視カメラが、レンズにぎらりと光を照り返しながら、その様を見つめていました。
監獄の夜はしんと冷え込み、昼間の暑さが嘘のような寒さは、支給される薄い毛布を貫いて突き刺さるかのようです。
「ずっと……俺は、裁かれる側の人間だと思ってた」
いくつか並んだ独房、そこに面した廊下の冷たい空気の中に、独白するような声が響きます。
「お前みたいに、正義なんて名乗るつもりもない。俺の理由は、もっとつまらない……ただ、面倒だっただけさ。連中をのさばらせておくことが」
斗南が仮面で素顔を覆い、悪辣な人間や怪異の類を始末してきたのには、彼の秘めた正義感も手伝ってのことだったのかも知れません。それでも、彼がこの監獄の中で目覚めたとき、脳裏に思い浮かべた己の罪は、自身が一方的に定めたルールの元に他者を断罪してきた、その行いにこそあるのだと。斗南は戸惑う心で、そう考えたのです。
「だから俺は、その裁きを受け入れるだけだ。理不尽だろうと、悪意に満ちていようと」
「裁く者に正義が無くとも、ですか?」
「ああ」
言葉が途切れれば、全くの静寂が辺りを包み込みます。
「……俺は、自分を改めるつもりはない」
廊下を伝って届く勇樹の声には、昼にあれほど手酷く懲罰を受けたにも関わらず、諦めの色はありません。
「俺の『正義』は、傲慢や憤怒によって形作られたもの……そんなこと、分かってる。それが俺の罪だってことも……」
勇樹の標榜する正義を支えているのは、まさしく、憎悪です。
思い浮かぶのは、大好きだった母の顔。その、最後の顔。
母の心を疲弊させ、死に追いやるほどに追い詰めた、父親の顔。その、罪。
「それでも。俺は、掲げたこの正義を降ろすつもりはない。そして、あの看守ども、連中を正義なのだと認めるつもりもない。この監獄に、俺たちを裁く権利は無い。そうは思いませんか、斗南先輩」
闇の中。斗南の返答は、ありませんでした。
「何でここに……って? 女ですよ、女」
ひどく痛む全身に、夜の寒さが染みるものの。笑う天懸の口調は、明るいものです。
四人部屋の監房。今夜は、同房の斗南と勇樹がそれぞれ独房入りとなり、遙と二人。寡黙な彼は、それでも天懸にとって貴重な話し相手ではありました。
「ひっかけた女が、ま、どこぞの組の幹部の女だったわけです。つまらんことだと思うかも知れねーが、これが抗争の引き金になっちまってね」
「……ここを出ても、待っているのは組織の制裁というわけか」
「そういうこと」
天懸自身は、末端の下っ端に過ぎません。けれど、彼が身を寄せた世界は確かに、遙の想像が及びも付かない深淵なものであるようでした。
「だから、鳥篭みてーなこの監獄だって、俺にゃ天国なのさ。傷ついた鳥には、あえて自由を奪われたほうが良いこともある。何せ籠の外ときたら、蛇やら猫やらがうようよしてる地獄絵図だ」
夜の監房棟。一見静まり返っているように見えて、あちらこちらの監房からは、ささやくような話し声が漏れ聞こえてきます。天懸とは違い、多くの囚人たちにとっては、暗い牢の中に満ちる静寂は、不安を煽るもののようでした。
「で、あんたは? 今こんなことになってる、その理由に、心当たりは?」
ある朝、目覚めた時には囚われていた、この監獄。天懸には身に覚えがありすぎて、理由を絞り切ることすら難しく……身の安全が保障されていることもあり、囚われの身であるのは、むしろ望むところです。
では、遙は? 淡々として、一切の不平不満をちらとも表情に滲ませない、この男の、理由は?
「……人に聞かせるようなことじゃないさ」
彼は、ふいと天懸に背を向けると、申し訳程度の薄手の毛布を頭からかぶり、寝入ってしまいました。
やがて天懸も、薄く笑って目を閉じ……訪れるのは、ひっそりとした沈黙。あたりの監房から聞こえるささやき、あるいはすすり泣きのような声も、いずれは闇の中に飲まれて消えゆくでしょう。
ぽろん、ぽろん。美しいピアノの音色。それを聞いただけで、遙は、ここは夢の中なのだと悟りました。
何せ、これを奏でているはずの人間は、もう現実の世には存在していないので。
(……お前か。時任)
思い出の中へと追いやったはずの、男の背中。見慣れた姿。
性悪な男でした。自分をあの手この手でいたぶっては、その反応を楽しむような、悪魔めいた男。
自分が、その手にかけた男。
それでも、彼の奏でるレクイエムは美しく。儚く。
(誰の為に……弾いているんだ。その曲を、お前は。誰の為に?)
肩越しに振り返った男、にやと歪んだ口元が、開き。形を変えて。
お・ま・え・の・た・め・だ・よ。
思わず血が上った頭が導くままに、遙は男の肩を掴み、強引に振り向かせ……と。ぬるりとした感触に、己の両手を省みれば、真っ赤に染まった指先。ピアノの鍵盤の隙間から染み出すように溢れ出した、赤い液体に呑まれるように、遙は、ごぼごぼ、ごぼりと、両手をかいて、そこから抜け出そうと、息苦しくて、苦しいのは、肺か、心か……。
「……朝だぜ。起きなよ」
飛び起きてみれば。小窓から差し込む細い光の筋が、遙の汗濡れた顔を照らしていました。
細めた視線の先には、同房の少年。またうなされてたぜ、と笑う屈託の無い顔。
今日も二人は、レンガを積むのでしょう。崩されても、崩されても。何度でも。
「……そう、同じことだ。積み上げても、積み上げても、何も変わらない。
償えるわけじゃない。人間は、生き返らない……」
「寝ぼけてるのかい? また殴られますよ。早いとこ、あの臭い朝メシを喰ってから、今日も元気にお努めに励むとしましょうや」
遙のつぶやきは、天懸の明るい声にかき消され。
今日もまた、監獄の日常が始まるのです。
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推理・サスペンス
ホラー
SF・ファンタジー
定員
30人
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22人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年09月27日
参加申し込みの期限
2014年10月04日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年10月04日 11時00分
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