キャンプへ行こう！｜リアクション

キャンプへ行こう！

●さらば、鈴島
　翌朝。
「おはよう」
「おはようございます……」
　テントから出て、挨拶を交わす修と時子、あおいは、少しだけ他の者たちよりも眠そうだ。
　もっとも、一番ひどい姿だったのは、信彦だろう。ずっと野外にいたせいで、蚊に食われて全身ボコボコだったのだ。もちろん、かゆくて眠れなかったので、その顔はげっそりとやつれている。
「言ってくれれば、虫よけスプレーを貸したのに」
「声かけたけど、みんな爆睡してて、起きてくれなかったんだ」
　事情を聞いて言う刀に、力なく信彦は返した。
「これを使うといいのだ」
　それへ横から、真央が虫刺されの薬を差し出す。
　信彦が薬を受け取っているのを見やって、刀は竈の方へと向かった。
　そちらでは、時子と綾花、華菜子、梢の四人が、昨夜の残りで朝食を作る相談をしていた。
「やることがあれば、俺も手伝おう」
「じゃあ、火を起こしてもらえますか……？　今、海斗さんが、流木を集めて来てくれましたので……」
　声をかける刀に、時子が返す。
「わかった」
　うなずいて刀は、流木に火をつけようとライターを手に取った。

　やがて朝食の支度ができると、全員がテーブルチェアセットの周辺に集まった。
　朝食は、おにぎりと前日の残りで作った具だくさんのスープだった。
「昆布と魚が、いい出汁になってるべ」
「おにぎりも、なかなかいける」
　海斗と解理がそれぞれ、スープとおにぎりをほおばりながら、感想を漏らす。
「はあー。生き返るー」
　スープを口にして、声を上げたのは信彦だ。真央に借りた薬のおかげで、かゆみと腫れもずいぶん引いて、すっかり元気を取り戻している。
　食事が終わると、全員で撤収作業に移った。
　テントをかたずけ、ゴミもまとめて持参した袋に詰める。
　作業が終わってしばらくすると、迎えの海上タクシーが現れた。
　全員がそれに乗り込む。
「なんだか、名残惜しいですね」
　腰を下ろし、出発を待ちながら、ふと綾花が言った。
「一泊とはいえ、充実したキャンプだったからなあ」
「ああ。いろいろあったよなあ……」
　解理と信彦が、しみじみと返す。
「有意義な一日ではあったな」
　昨夜のことを思い出し、修もうなずく。
「花火もできたし、写真も一杯撮ったのだ！」
　真央が、うれしそうに声を上げた。
　他の者たちも、名残惜しげに浜辺を眺めている。
　やがて、海上タクシーはゆるやかに動き出した。

　来た時と同じく、十五分で星ヶ丘の船着き場に到着した。
　全員が、海上タクシーを降りる。
「あおいさん、美弥子さん、キャンプに誘ってくれて、ありがとうございました……。とても楽しかったです……」
　時子が、二人に深々と頭を下げて言った。
「ううん。こっちこそ、来てくれてありがとう。私も、楽しかったわ」
　それへ、美弥子がかぶりをふって返す。
「オラも、礼を言うだ。一度、鈴島に行ってみたいと思ってたんだべ。ありがとうだっちゃ」
「楽しかったよ。ありがとう」
　続いて海斗と刀も、頭を下げた。
「私たちも、楽しかったでーす」
「行ってよかったアルよ」
　梢と華菜子も言った。
　他の者たちも、次々と二人に礼を言う。そして、三々五々、手をふり、挨拶をして別れて行った。
　最後に残ったのは、あおいと美弥子、そして綾花の三人だけだ。
「途中まで、一緒に行ってもいいですか？」
　綾花が尋ねるのへ、あおいがうなずく。二人は肩を並べて歩き出した。そのあとに、美弥子も続く。
「本当に楽しかったです」
　歩きながら、綾花は小さく吐息をついて言った。話題はそのまま、キャンプのことになる。

　こうして、一泊二日の鈴島キャンプは幕を閉じた。
　それぞれの胸に、それぞれの思い出を刻んで――。

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あとがき

担当マスター：織人文
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こんにちわ。織人文です。
ご参加いただき、ありがとうございました。

バーベキューに花火に、水遊びに森の散策と、盛たくさんなアクションで、書いている私も楽しませていただきました。
結果、こんなふうにまとめてみましたが、いかがだったでしょうか。
少しでも楽しんでいただければ、幸いです。

それでは、またの機会がありましたら、よろしくお願いいたします。

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