昼時だというのに、桜花寮の食堂はどことなくがらんとしている。
夏休みで、帰省している生徒が多いせいか、それともあまりの暑さにここまで出て来る勢いのある者が少ないせいか。
そんな中、
七夜 あおいは一人、食事の最中だった。
とはいっても、手も口も機械的に動くばかりで、心ここにあらずといった風情である。
「七夜さん?」
声をかけられ、ようやく我に返った。
目の前に立つのは、同じく桜花寮生で寝子高一年の
串田 美弥子だった。冷やし中華の乗ったトレイをテーブルに置き、向かいに腰を下ろす。
「何か、考え事?」
「あ……うん」
うなずいて、あおいは口を開いた。
「せっかくの夏休みなんだし、暑いし! どこか行きたいなあって考えてて――たとえば、キャンプとか」
暑いを強調して言う彼女に、美弥子は苦笑する。
「本当に暑いよね」
うなずいて、尋ねた。
「でも、キャンプってどこへ?」
「それを今、考えてたのよ。人が少なくて、涼しそうな所――とか」
「それは、難しいわね……」
あおいの答えに、美弥子も眉間にしわを寄せる。
冷やし中華を箸でかき混ぜ、口に運ぶ。一口二口すすったあと、言った。
「鈴島とか、どうかしら。あそこなら、少しは涼しい気がするし、人もいないわよ。泳いだり、星を見たり、バーベキューをやったりできると思うの」
「鈴島かあ……。うん、悪くないかも」
あおいはうなずくと、にこりと笑って尋ねる。
「美弥子ちゃん、一緒に行ってくれる?」
「え? 私?」
美弥子は驚いて目をぱちくりさせたが、乗りかけた船だとばかりに、うなずいた。
「いいわ、行く。でも、どうせなら、他にも誰か、誘わない? 大勢の方がきっと楽しいわ」
「そうね。賛成」
あおいは笑ってうなずくと、憂いは消えたとばかりに、勢いよく食事を再開するのだった。
はじめまして、ゲームマスターの織人文です。
夏といったら、なんだろうということで、キャンプへ行くシナリオを考えてみました。よろしくお願いします。
・場所:鈴島
・宿泊予定:一泊二日。
・集合場所と時間:朝6時/星ヶ丘の船着き場集合。
・持ち物:テント、寝袋など。
食材や水着、懐中電灯などは、それぞれ必要な方は持参下さい。
また、お弁当やお菓子、ドリンク類なども持参していただいてかまいません。
移動は、海上タクシーを利用します。
なお、キャンプといっても行先は無人島のため、ややサバイバルな展開が予想されます。持ち物、服装などはその点を考慮して用意して下さい。
また、今回、鈴島の遺跡や住居跡などには行けません。
砂浜付近でのキャンプと、その周辺の森の中をお楽しみ下さい。