【ネコミケ】萌えろ！２日目の幻想バトルロイヤル！｜リアクション

【ネコミケ】萌えろ！２日目の幻想バトルロイヤル！

<２>

　桜月は多幸感に溢れていた。
　何故なら、玄武に光線を照射されてからキャラが変わってしまったからだ。
「私はゴスロリ魔法少女チェリー・ムーン！　影を操りレッツ成敗☆」
「桜さんがおかしくなった！？　本当に大丈夫ですか！？」
　連れの稲場が愕然としている。
「稲場さん、なんのことかな？　私は正常だよ。むしろハイになっている！」
「やっぱりダメかも……」
　稲場を庇って桜が光線を浴びたため、こうなったことを悔やむ稲場。
「必ず、あの魔法少女を倒して桜さんを元に戻しますからね！」
「だからいつもどおりだ、稲場さん。ああ、楽しいなぁ！」
　どうやら、彼女は桜のイメージしている魔法少女像になりきっている様子。
　ただし、衣装は光線を浴びせてきたマリそっくりだ。
（資料の中で見せてもらった衣装のままですね。つまり、桜さんは魔法少女の知識はほとんどないけど、知りうる内容を総動員させてなりきっているのですね）
　だとしたら潜在能力が計り知れない。
　稲場は友人の隠れスペックに慄かずにいられなかった。
　そこへぴょこぴょこと珍妙な歩き方でこちらへ接近する狐娘がいた。
　霧谷朧扮する、狐娘のミストちゃんだ。
「へっへっへー、透明だからバレてないけど、足音立てずに忍び足ー！」
　稲場と桜は、そんなミストをガン見していた。
「おっかしいな？　なんでミストちゃんをジッと見つめてるんだろ？」
　ミストは自分の透明化が解除されている事に気が付いていない！
　そして遂に……。
「あの、何やってるんですか？」
　稲葉に尋ねられてしまった。
　これにはミストちゃん仰天！
「ひゃう！？　なんで姿が見えるのー？」
「……丸見えだぞ？」
　桜の指摘に、ようやく手鏡を取り出す。
　しっかり写っている自分の顔に、恥ずかしさで顔を赤く染めるミストちゃんだった。
「――――!!!!!　気が付かなかった……」
　そういうと、再び「もういいよ」と言って姿を消していった。
「ねーねー！　このまま付いていっていい？　魔法少女っぽい黄色の玄武もどきがさっき、お婆ちゃんと一緒にいたよ」
　有力な手がかりを手に入れた２人は、一路玄武の後を追跡する。

　その後ろを、不気味な黒い影が近付いているのを３人は気が付かない……。

「ぽぽ、ぽぽぽ、ぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽ……」