【ネコミケ】萌えろ！２日目の幻想バトルロイヤル！｜リアクション

【ネコミケ】萌えろ！２日目の幻想バトルロイヤル！

<４>

　開戦までのやり取りを、こっそり観察していた桜、稲場、ミストの３名。
「よし、私が出よう。稲場さんは援護を頼む」
「き、気を付けてくださいね？　あの銃、本物だと思いますし！」
　稲場は過去、銃で撃たれた経験がある。
「心配ないってば！　ミストちゃんの悪戯でギャフンと言わせちゃうんだから！」
　透明化しているミストちゃんの声が遠ざかる。どうやら、作戦通りの位置取りに向かったようだ。
　桜と稲場はアイコンタクトを取ると、桜が火花散らす４人の中へ乱入していった！
「私はゴスロリ魔法少女チェリー・ムーン！　そこの銃使いよ、私が相手だ！」
「うそ、マリちゃんが２人！？」
　ベルロットは瓜２つの人物が飛び出してきてビックリ！
「姿は同じだが、私は君より強いぞ！　さあ私の影よ……、奴に死を！　『出ろ』！」
　桜は強く念じると、足元から彼女の影がそそり立って具現化したではないか！

　これが彼女のろっこん『月影の死神（グリムリーパー）』！
　今まで桜は春先からこの影の正体に怯えていたが、自身の力と判明した最近、ようやく使役することができるようになったのだ。
「影の具現化かよ、厄介だな！」
　フジカが桜へ牽制の突きを放つ。
「様子見のフジカパンチ！　おりゃ！」
「無駄だ」
　桜の影が盾となり、本体に拳が届かない！
　次の瞬間、影と本体の傘の２本の切っ先がフジカを貫かんと迫り来る！
　だがフジカはすぐに後退、出方を伺うことに。
「そんな、２回攻撃！　冗談じゃない！」
　滝原もやりづらそうだ。
「偽マリ狙えばいいのか、あのゴスロリ狙えばいいのか？　ああーどうすりゃいいんだ？」
　悩む滝原へ向けて、マリショットガンの銃口が火を噴いた。
　ほぼ同時に、滝原は真横へ飛び込んで辛くも弾丸を回避した。
「予知の魔法少女だってことを忘れるなよ！　お前の攻撃はある程度予測が付く！」
「ふーん、だったら、回避できないほどの火力をお見舞いしてあげるよ！」
　玄武がショットガンに魔力を込めると、背後に大きな魔法陣が出現する。
　原作ファンのベルロットは、玄武が何をするのかひと目で分かった。
「させない！」
　彼女はデスサイズをブーメランのように玄武へ投擲！
　原作では雑魚を一掃したグロシーンで有名となった技だ。
「その首、飛んじゃえ！」
　狙うは首刎ね！
　だが、虚空から召喚したショットガンの弾丸がデスサイズを吹き飛ばした。
　手元に戻ってくるデスサイズを掴み、一気に間合いを詰めるために突進！
「私も行くわ！」
　フジカも懐に潜り込み、ハイキックからの素早いコンボを玄武に叩き込む！
　だが、それをショットガンの弾丸による面攻撃で凌がれてしまい、攻めは後手に回ってしまう。
　フジカが反撃を受けて吹き飛ばされ、ベルロットもゼロ距離からのショットガン発射を喰らって壁に激突してしまう。
「マリさん、私も戦う！」
　いつの間にか追分がナゼカの弓を持って、迎撃し始めたので更に分が悪くなった。
　とてもいい顔をしている。
　普段の彼の無表情ぶりが嘘のようだ。
「強い、強すぎる！」
「フジカ、諦めちゃダメ！」
　と、励ますベルロットだが、内心はひどく焦っていた。
（原作通りだと、ベルロットはマリに負けて、そのショックを引きずって怪物化するのよね……）
　つまり、力押しでは勝てないことは分かっていた。
（しかもあのスキンヘッドさんのなりきり度が半端なくて、原作のナゼカの強さまで再現されてるわ！）
　これは想定外の出来事だった。
　だが桜が影を操り、玄武の脚を絡め取ったとき、戦況は動いた。
　そして好機とばかりに合図を送る！
「今だ、２人とも！」

　――辺りに閃光と轟音が鳴り響いた。