大北海道物産展 in ｍｉａｏ｜リアクション

大北海道物産展 in ｍｉａｏ

「うわぁああ、あの着ぐるみかっこいいなぁ！」
　そんな美咲紀の声が海産物コーナーに響き渡る。
　海産物コーナーでは、刀と璃亜が、着ぐるみきたままダンスを踊っていた。
　軽快な音楽に合わせ、コミカルな雰囲気のタラバガニのたっくんin刀が横歩きバクテンを披露し、クマのくーさんin璃亜がホタテとカニの縫いぐるみお手玉を披露する。
　噂はうわさを呼んで、一気に海産物コーナーは人だかりに！
「よかったら、写真を撮ってもらえますか？」
　美咲紀はカメラ片手に、璃亜のくーさんに。
　気を利かせて、たっくんな刀がカメラを預かり、器用に着ぐるみの手でシャッターを押す。
「ありがとうございます、暑いですけど、頑張ってくださいね」
　カメラを手に、うきうきと立ち去る美咲紀。

（あああ、なんだか、人が大勢です。私、緊張してきました）
　璃亜はどくどくと血が沸騰しそうな勢いで心臓が跳ね上がり、なんだか頭もボーっとしてきていた。
　その瞬間。
「あっ？！」
「あっ！」
　璃亜のお手玉タラバガニが、バクテンを披露する刀の足元に！
「きゃああああああ？！」
「うおっ？！」
　つるっとすべり、思いっきり璃亜に突っ込む刀。
　どんがらがっしゃんと派手は音を立てて倒れこむ二人。
　幸か不幸か、突っ込んだのは箱入り海産物の山。
　崩れる海産物は、けれど中身が床に散らばることはなく、発砲スチロールの箱は璃亜と刀を無傷で守った。
　ただ、璃亜の上に刀と海産物の箱が山ほど乗っかっているだけで。
「あう、あうう、あうううううぅー」
「すまない、今すぐどく！」
　小声で璃亜にささやき、刀は重たい海産物の箱を次々とどかし、璃亜を救い出す。
　そして注がれる観客の冷たい視線。
「さぁ、このように暴れても倒れても頑丈な発泡スチロールに守られた新鮮な魚介類！　今日の食卓にいカニですか？　いえ、イカがですか？」
　刀がとっさの機転を利かし、魚介類の箱を片手にステップダンス。
　どっと笑いに包まれる海鮮コーナー。
（また失敗しちゃったな）
　観客と一緒に笑いながら、璃亜はしょんぼりと反省していた。
　けれど店の店長は、とても幸せだった。
　大量の海鮮が飛ぶように売れたのだから。　