大北海道物産展 in ｍｉａｏ｜リアクション

大北海道物産展 in ｍｉａｏ

「わ～、いい匂いなんだよ」
　佳奈は店から漂う甘い香りに惹かれて、辿ってみる。
　大物産展というだけあって、ありとあらゆる特産品が並んでいるのだが、甘いその香りは奥の店から漂っているようだ。
「チーズケーキの香りだったんだぁ」
　甘い香りの元にたどり着くと、そこはチーズケーキの店だった。
　白をほんの少し混ぜたような、柔らかな黄色い生地は、見た目にもしっとりとしていて美味しそうだった。
（購入決定なんだよ）
　佳奈は心の中で頷いて、自分用と家で待ってくれているお婆ちゃん用に二個購入してみる。
　小さめのホールサイズだから二個にしてみたのだが、手に持ってみると意外とずっしりとした質感がある。
（すごくしっとりしてるんだねぇ、きっと）
　そんなことを思いながら、佳奈は当初の目的の焼きとうもろこしと、じゃがバターも購入。
「チョコレートはあるかなぁ？　生チョコも捨てがたいよねぇ」
　いっそ、両方買ってしまうか。
　それもいいかもしれない。
　気がつけば、佳奈の両手は甘いものでいっぱいだった。
「そろそろ、おじいちゃん迎えに行かないとだねぇ」
　イートインに来て見ても、善太郎の姿は見えない。
　佳奈は、そっと、口の中で呪文をつぶやく。
（ロロレンロ）
　おじいちゃんを、思い浮かべながら。　
　

「うおおおおおおっ、試食たべほーだいなのだ、真央ちゃん感激なのだっ」
　くりくりお目目を潤ませて、真央は叫ぶ。
　チーズケーキにアイスクリーム、チョコレートにバターサンドにお饅頭、タラバガニにじゃがバター、それにそれに九花亭バターサンド！
　どんなにぱくついても、店員は顔色一つ変えないどころか、にこにこと笑顔で真央に試食を差し出してくる。
　特に鮭を咥えたクマの着ぐるみin露草などは、真央の食欲に合わせて次々と試食を運んできてくれる甲斐甲斐しさ。
「うーばーいーのだーーーーー！」
　もぐもぐごっくん♪
　真央の食キング魂は震えに震え、今にもイートインコーナーの天井を突き破りそうな勢いだった。