大北海道物産展 in ｍｉａｏ｜リアクション

大北海道物産展 in ｍｉａｏ

「さってと。何から買おうかなぁ？」
　佳奈は小首をかしげて大北海道物産展を見て回る。
「ニャンタオのアイスはもちろん買うんだけど、いま買うと溶けちゃうから最後だねぇ」
　人気のニャンタオのアイスは、伊藤家の剣道場にくる子供達用の分だ。　
　佳奈本人の分はというと、
「ジャガバターは定番だよねぇ。夏祭りの露店とはまた一味違ったお味が楽しめるかなぁ？　焼きもろこしも捨てがたいよねぇ」
　美味しいものいっぱいで目移りしているようだ。
「ワシは酒を買いにいくとしようかのう」
「それなら一緒についていくんだよ」
「いやいや、それには及ばんよ。佳奈は自由に楽しんでおいで」
「おじいちゃん、迷子にならないかなぁ？」
「何をいっとるか。こんな場所で迷うわけもなかろうが。それより、佳奈のほうこそ、食べ過ぎて太らぬように注意じゃよ」
「もー、そんなことないよぅ。……でももし太っちゃったら、おじいちゃん、いっぱい稽古つけてだよ？」
「おぉう、任せておくがいい。たっぷりと、しごいてやるわい」
「買い物終わったら、イートインで待ち合わせしようねぇ」
　そう約束する佳奈に頷いて、善太郎は酒造コーナーを目指す。

（もう少し、声をかけていくべきか？）
　刀は着ぐるみとは思えない軽快な動きで集客をしているのだが、他店のスィーツに比べていまいち、タラバガニ含む海産物は出が悪い。
　金額的なものもあるかもしれないが、そこはそれ、バイトをしているのだから売り上げにぜひとも貢献したいところ。
（バイト仲間達と、少し戦略を練るか）
　刀は一緒に着ぐるみを着ている璃亜に手で合図し、裏手に。
　休憩所に入ると、即座に被り物を脱ぐ。
　スーッとクーラーの冷たい風が顔全体にあたり、一気に生き返る気がした。
「何か私、失敗しましたか？」
　不安そうに刀に確認する璃亜。
「いや、女の子なのに、よく頑張ってるよね。ただ、他の店に比べて俺達の海産物コーナーの集客率が悪いだろう？」
「いわれてみれば、皆さんお菓子コーナーに向かっていますね」
　刀にいわれ、璃亜も思い返してみる。
　海産物も売れていないわけではないのだが、いまいちぱっとしない。
「そこでだ」
　ごにょごにょごにょ。
　刀が璃亜の耳元に口を当て、作戦を伝える。
「えぇっ？！　私にうまく出来るでしょうか……で、でも、がんばりますっ」
　耳元でささやかれた刀の声に赤面しつつ、璃亜はこくこくと頷いた。