空想サバイバル・バトル　拠点防衛｜リアクション

空想サバイバル・バトル　拠点防衛

【天幕にて】

　実理は、震える指先で地図上に駒を置いていく。
　時折、歩兵の形をした駒がボキッと壊れるが、それはきっと夢の中だから当然なのだろう。
　駒はまだまだたくさんある。どうやら、歩兵は十人単位で動くようだ。
　駒を配置すると、その駒がゆっくりと動いていく。
　駒の視界内に誰かが入ると、地図にそれが表示される。
　あぁ、なんて単純なゲームなのだろう。
　こんなに簡単に奪い合いができるなんて、このままここに留まってしまいたい……。
（さげすまれていた、なにもされなかった、してほしくもなかった、すきなものはすきでなにがわるい、ここなら、ここならかなう）
　だが……。
（あそこにいるやつらは、ぜんぶこわす……こわす……だから、さきに……コワサナイト）
　そう考えると、ゆっくりと騎馬と砲兵の駒を動かす……。
「くふっ……うふふふふ……あ、あはははははっ！　あはははははははははははっ！」
　笑いが止まらない。こんなにも楽しいのだから、笑うしかない。
　きっと、ずっと、笑っていられるのだろう。ここにいる限り。
「あ……がっ……げほっ！」
　こみ上げてきたものを手のひらに吐き出す。
　それは、とても、あかい、いろを、していた。