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独唱、真夏のSolitude
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●夜の向こうに見えるもの●
早朝、まだ周囲が薄明るくなってきた頃から、いいなは毎日山を登った。
あの巨大蝉と一緒に過ごす為に。
日中はタブレット端末で自由研究のレポートを書き込みながら、木陰で蝉と過ごし、日が暮れると帰っていく。
この辺りは元々はミンミンゼミが多いらしく、午前中は鳴き声が木々の向こうから聞こえていた。
数日のうちに小動物たちも学習したのか、昼間はネットの内側には入ってこようとしない。
「こんにちは~」
「今日は二本、持ってきましたよ」
明るくなった後、あおいを誘って綾花がやって来る。
綾花はペットボトルに砂糖水を作って、巨大蝉に届けていた。
巨大化してしまったお陰で、先の鋭いストローのような口は樹液を吸うにはあまり適さなくなってしまっていたのだ。
あおいにも相談したら、運ぶの大変だから一緒に行くよと言ってくれた。
「わあ、すごい勢いで吸ってる」
2リットルのペットボトルの中身がみるみるうちになくなっていくのを、あおいはじっと観察している。
「今日も元気に過ごして下さいね」
肩を並べる綾花も、目を細めた。
蝉の巨体は木陰からはみ出していたものの、霧のお陰でそこそこ快適にしているようだ。
ふと綾花は顔を上げる。
「そういえば、午前中は蝉さんも鳴かないですけど、いいなさんは午後どうしていらっしゃるんですか?」
「なぁに、対策のお陰もあって、コレがあれば充分じゃよ」
といいなは例の工業用耳栓を取り出した。
「あの程度の振動なら、慣れれば波に揺られておるようなモンじゃて。たまに気絶してしまうがのう」
それも昼寝のようなものだと、彼女はからからと明るく笑った。
「あ、皆さん。こんにちは」
「おお、文緒殿。蝉も待っておったぞ」
そうこうしているうちに、文緒も顔を出す。
夏休みだからって四六時中好きな事をしていられる訳ではないけれど、なんだか離れ難い思いがあって、ちょくちょくここへやって来ては巨大蝉と過ごしているのだ。
蝉を運んだ他の面々も、何かにつけて様子を見に来ていた。
「もうこんな時間……帰ってお洗濯物、取り込まなきゃ」
日が傾き出した頃、文緒は名残惜しげに立ち上がる。
鳴き止んだ巨大蝉に触れると、ジジッと何処か嬉しそうな声がした。
「儂はもう少しここにおるよ」
「ええ、また明日です」
いつものようにいいなと挨拶を交わして、文緒は街へと降りていく。
「やはり、誰かが側にいるというのはいいものかのう」
いいなが蝉の頭を見上げると、ジ、と音がした。
今日も次第に茜色に染まってきた西の空を見上げ、いいなは呟いた。
「……独りで鳴くお主は、来るアテのない誰ぞのめーるを待つ儂と似てるのう」
七夕の夜、垣間見たあの背はやはり幻だったのだろうか?
ポケットの中の携帯は、沈黙したままだ。
「うん、なんじゃ?」
自分の背中に頭部をくっ付けてくる巨大蝉に、いいなは笑った。
蝉の見た目の表情はやっぱり読み取れないが、自分たちに懐いているのだろう。
そう思うと、可愛らしくも見えてきてしまう。
……別れの時は、近付いている。
「あ、恵御納さん。これからお出掛け?」
「うん、今日はみんなで例のセミさんのところに行くんだ」
桜花寮の廊下で顔を合わせた
小田 稲子
に、夏朝は心なしか明るい様子だ。
「小田さんも行く?」
「うーん、山はあんまりいい記憶がなくて……あ、ちょっと待ってね」
そう言って戻って来た稲子は、凍らせたスポーツドリンクのペットボトルを持ってきた。
「これ、差し入れ替わり。熱中症とかに気を付けてね」
「ありがとう」
蝉さんによろしくねという言葉を受けて、夏朝は揚々と寮を出る。
(小田さん、最近よく話してくれるね。ちょっと明るくなった気もするし)
パペットの猫と顔を見合わせるようにしながら、彼女はほんのりと笑んだ。
「今日も日が傾いてきたのう」
いいなは蝉の側で、ぼんやりと呟いた。
蝉の短い成体での時間は、刻一刻と過ぎて、残り少なくなっていく。
彼は……幸せだろうか?
頭にそんな思いを過ぎらせていると、草を踏む複数の音を感じた。
いつも誰かが顔を出す南側を見遣れば、今日はやたらと人数が多い。
というより、あの日蝉を運んだ者たちが皆揃っているのではないだろうか?
「なんじゃなんじゃ、今日は皆でぞろぞろと」
「そろそろ、7日経つ頃だと思って」
アリーセが微笑む。
それぞれ食料や寝袋、サマーケットなどを持ってやって来たようだ。
「今夜は蝉さんと一緒に、お泊りです……!」
目を輝かせる文緒の言葉には、いつになく力が籠っていた。
「という事だそうだ」
茂が保護者みたいな顔をして言った。
真夏の夜は短いけれど、とても密度の濃いひと時に感じられた。
巨大蝉と一緒に円座を組むと、ちょっとしたキャンプのようで。
「楽しいです、こんな風に皆さんと過ごせて」
キヌも嬉しそうにしていた。
「おキヌさん」
皆で囲むランプの灯りを眺めながら、アリーセは語り掛ける。
「以前、ろっこんについてお話した事、覚えてる?」
「はい」
キヌは頷いて先を促した。
「あれから、私のろっこんの力も少しずつ強くなってきたの。怪我を防ぐ為に、色々考えるようにもなったし……」
アリーセが力を使うのは、決して心弾む時ばかりではない。
緊迫した時も、悲しい時も、辛い思いをした事もある。
それでも、彼女は今も正面を見据えていた。
あの時のキヌの言葉を、思い出す事もあった。
ありがとうと紡いだ彼女に、キヌは優しく笑んで首を振った。
「私は何もしていませんよ。でも、こうしてアリーセさんが前に進んで、成長していくところを拝見出来る事……とても嬉しいです」
そう言って、何処か眩しげに眼を細めた。
「そういえば、アリーセさんも『きゃっとあいらんど』をなさっていらっしゃるんですよね」
「ええ、おキヌさんが参加したって聞いて、ちょっと驚いちゃったけれど……」
「よろしければ、私の『ふれさん』になって下さい」
「ふれさん? フレンドの事かしら」
キヌはいそいそとスマホを取り出した……が。
外部から操作する事には全く慣れていないらしく、固まってしまった。
「そ、それは後にしましょう。今日は蝉さんの為の集まりだし……」
アリーセは苦笑した。
「す、すみません……」
「それにほら、素敵な演奏が始まるみたい」
彼女が視線を向ける先で、誉と深雪、小淋が何かの準備を始めていた。
「もう一度、あの曲を演奏しないか?」
巨大蝉の為にピアノを弾きたいと思っていた誉は、二人にそう掛け合っていた。
蝉を運び出す時は一番手に運び役を担っていたので、叶わなかったから。
『でも、この辺りまで機材を運んでくるとなると、大変ですね』
演奏したい気持ちはやまやま、といった風に小淋が言葉を綴る。
「それなら大丈夫だ。横幅が必要だから、浅山のスケッチブックも貸してくれるとやり易いと思うんだけど」
誉のろっこんは、こういう時便利だ。
鍵盤さえ描ける場所があれば、何処ででもピアノを弾く事が出来るのだから。
そんな訳で実体化した鍵盤は、三人が奏でる曲を歌い出した。
音を吸収してしまうネットはちょっと纏めて縛ったりなどして、即席の対応をしてある。
静かに耳を傾ける者、一緒にハミングする者、それぞれが思い思いの時を過ごして。
小淋の指先が迷っても、深雪がリードしてくれる。
(やっぱり……音を紡ぐのって楽しい)
しばらく作曲などからも遠ざかっていたけれど、ピアノの音色は小淋自身にも響いて、心を震わせる。
(どうか、残りの時間を心穏やかに過ごせますように)
願いを込めた一音一音が誉の手から生まれ、空へと放たれていく。
「市橋くんたちの演奏、すごかったね」
まだ余韻冷めやらぬ様子で、直樹が呟く。
「星も綺麗だし」
「うん」
円は頷いた。
「どんなに儚い事でも、良い思い出になったら……宝物みたいにずっと輝き続けるのかな」
「宝物かぁ……」
結局、蝉を元の大きさに戻す事は出来なかった。
けれど、蝉と一緒に限界まで挑戦した事は、彼女の中にも何かを残したのだろうか。
耽っていた感慨から浮上して、円は巨大蝉とその側にいる面々を眺めた。
夜は静かに更けていく。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
羽月ゆきな
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
コメディ
SF・ファンタジー
動物・自然
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年06月15日
参加申し込みの期限
2014年06月22日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年06月22日 11時00分
参加キャラクター一覧
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