Night aquarium｜リアクション

Night aquarium

●閉館、22：30

『本日はご来館頂きまして、誠にありがとうございました。当館は午後１０時３０分を持ちまして閉館させて頂きます。どなた様もお忘れ物のないようにお願い致します』

　閉館アナウンスと共に、柔らかな波の音のＢＧＭが流れる。駐車場からはほとんどの車が消え、警備員が残った車を出口へと誘導していた。

「ねぇ、美鶴。あれは置いてきたの？」

　誘導されるに従って、車を出口へとゆっくり走らせている三ッ川真衣が藤谷美鶴へと問いかける。

「ん？あぁ、懐中時計の事ね？外の光が入る大きな水槽のそばに置いてきたわよ」
「大丈夫？誰かに盗られたり……親切な人が落し物に届けてるかもしれないわよ」

　彼女達の言う懐中時計……それは美鶴のろっこんでもある、シルキー・エヴァが宿ると美鶴が思っている懐中時計だ。

「そこはまぁ、賭けみたいなもんよね。そもそも、私の部屋以外で出てくるかもわかんないし……」

　美鶴は真衣とこの夜の水族館に行こうという話しになった時からずっと思っていたのだ。部屋の中しかしらないエヴァに外の風景を……泳ぐ魚を見せてあげたい、と。
　元々エヴァの能力は部屋を掃除してくれるというもの。午前零時を回っても、水族館には姿を現さないかもしれない。

「だけどさ、もしもエヴァが月明かりの中を泳ぐ魚を見れたら素敵じゃない？」

　そう言って笑う美鶴に、真衣はアンタらしいわと笑った。
　できるかもしれない、できないかもしれない。
　けれど、誰かの事を思ってやってみようと思う美鶴の気持ちは何よりも綺麗だと真衣は思った。

「よーし、それじゃ帰ろっか！懐中時計は明日取りにくるわ」
「はいはい、それじゃ送るわね」

　美鶴に促され、真衣がアクセルを踏む足に力を入れる。そしてテールランプが流れる道へと、まるで今日見たイルカ達のように車を走らせた。

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あとがき

担当マスター：加持蜜子
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お待たせ致しました、「Night aquarium」リアクションお届けします。

デートだったり、友達と一緒だったり、お一人でだったりと楽しくアクション拝見させて頂きました。
このキャラクターさんはどんな気持ちになるだろう、
と考えながらのリアクション執筆とても楽しかったです。

あなたのご期待には添えましたでしょうか、少しでも楽しんで頂けたら嬉しく思います。
この度はご参加ありがとうございました！

また、何かのシナリオでお会いできる事を祈って。

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