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- 00月00日生 00歳
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７２時間耐久！ フジコと行く酪農体験アルバイト！
【１日目・早朝】
農家の朝は早い。
だが俺自身も普段から朝が早いから問題はない。
（ナレーター：邪衣 士）
午前４時、まもなく東の空が明るんでくる夏の早朝。
富士山 権蔵ことフジコは、マイクロバスで眠りこける哀れな子犬たちバイト志願者全員へ優しく右耳へ息を吹き掛けた。
生暖かいフローラルな吐息が、彼らを強制的に覚醒させていく。
その数、総勢15名。
中には噂を聞き付け、自ら志願した強者もいるから驚きである。
「おはよう、ワンちゃんたち。さぁ、勤労の時間よ！」
フジコの笑顔に、未だに「どうしてこうなった？」と途方に暮れる参加者たちであった。
作業は日の出とともに開始されることが告げられた。
まずはフジコの両親と従業員たちが一堂に会しての朝食タイムである。
フジコの紹介で15名の紹介が滞りなく進んでいくと、フジコの父、源五郎衛門が急に涙を流し始めた。
「う、うわぁぁ～！ わりーね～！ お礼はこみっちら（たくさん）出すかんな～！」
栃木弁バリバリのフジコ父に、思い切って辞退しようと考えていた参加者も閉口してしまう。
だって、こんなに泣いて喜ばれてしまったら断るに断れない……！
そこへ真っ白なアルビノ少女、鬼崎 あやめが美術品めいた笑顔のままフジコ父に近付き、その手を取った。
「困ってる時はお互い様ですよ。だから安心して下さい。……ただ、色々と便宜図ってくれると嬉しいです」
そうして、５秒間手を取り微笑むことで、鬼崎のろっこん『リリスの微笑み』が幾ばくか成功する。
もれいびばかりの寝子島とは違い、ひとが多い（まして従業員たちが一堂に会している）ここでは若干効果が弱く感じられた。
だが、それでもフジコ父を泣き止ませるくらいは可能だったようで、彼女はしばらくフジコ父から「わりーね～、わりーね～！」と感謝の言葉を延々と言われ続けていた。
この光景に割って入る、恰幅のいいフジコ母（広子）が全員分の白米を茶碗に盛り付けながら口を開いた。
「ほら父ちゃんもおめーたちも！ ごっこと（早く）飯ぐって仕事すっぺ！ 生徒さんたちもてれんこてれんこ（もたもた）してねーではやくいぐ（行く）かんな～！」
「もう、ママンったら相変わらずせっかちねぇ？」
フジコは朝だというのにモリモリと食事にかぶりついていた。
大盛りご飯に自家製ソーセージの山、ハムエッグの玉子は１人３個、近隣の農家から譲ってもらった野菜の一夜漬け、そして味噌汁というには具が多すぎる汁物。
富士山牧場の朝食は、かなりガッツリ系だった。
「今のうちにしっかり食べておきなさい。……食べないと後悔するわよ」
あの屈強なフジコでさえ表情が強張る。
その様子に参加者たちは戸惑いを隠せない。
彼らは無事に１日を終えるべく、次々にソーセージやハムエッグに箸を伸ばし始めた。
味は格別だった。
鬼崎は作業着に着替え終えると、寝子島方面の空をぼんやり眺めた。
「アハハ……、もうフジコ先生の奇行には慣れましたけど、まさか拉致同然で実家のお手伝いさせられるとは思いませんでした……」
フジコは真っ先に鬼崎を連行したのはいうまでもない。
何故なら、彼女はフジコの犬。
犬役のつもりが、いつの間にか人生においても犬と主人の関係が継続している。
勿論、忠誠の証（スレイブライセンス）の赤い首輪は、今も鬼崎の首に装着されている。
「というか！ 私がいない間のお店が！！ あのマダオ（まるで駄目な叔父）に任せてたら潰れちゃう……！」
鬼崎の叔父は、過去に借金苦で一家離散した彼女を引き取った責任感ある人なのだが、彼には悪癖があった。
新台の匂いがする、今日こそ錬金術を成功させる、などと妄言吐くなり朝から店を放り出してまでパチスロへ繰り出すのだ。
店主不在の定食屋を切り盛りしていた彼女がいないとなると、開店休業状態になってしまうのではと不安で仕方がない。
「こうなったら、何が何でも収穫がないと！」
「何をしているの？」
フジコは鬼崎の左耳に息を吹き掛けた。
「ひゃぁっ！？」
「ほら、行くわよ！」
フジコに首輪を捕まれ、鬼崎は作業場へ連行されていく。
「そうそう、鬼崎ちゃんの叔父様には、あたしが定期連絡してあげるわ」
「へっ？」
フジコの言葉に鬼崎は目が点になる。
「あたしの勝手で、鬼崎ちゃんちの定食屋が潰れたら申し訳ないわ。だから、店主の叔父様にあたしが鬼崎ちゃんの様子をお店に定期連絡することになってるのよ」
「それって、つまり……」
パチスロ店にいたら定期連絡に気付かないから、店に常駐する必要がある。
誰か１人店にいれば開店休業状態は免れる。
「どんな手を使ったか知りませんが……、ありがとうございます……」
鬼崎の心に、恐怖心とは別の感情がフジコに対して芽生え始めだしていた。
農家の朝は早い。
だが俺自身も普段から朝が早いから問題はない。
（ナレーター：邪衣 士）
午前４時、まもなく東の空が明るんでくる夏の早朝。
富士山 権蔵ことフジコは、マイクロバスで眠りこける
生暖かいフローラルな吐息が、彼らを強制的に覚醒させていく。
その数、総勢15名。
中には噂を聞き付け、自ら志願した強者もいるから驚きである。
「おはよう、ワンちゃんたち。さぁ、勤労の時間よ！」
フジコの笑顔に、未だに「どうしてこうなった？」と途方に暮れる参加者たちであった。
作業は日の出とともに開始されることが告げられた。
まずはフジコの両親と従業員たちが一堂に会しての朝食タイムである。
フジコの紹介で15名の紹介が滞りなく進んでいくと、フジコの父、源五郎衛門が急に涙を流し始めた。
「う、うわぁぁ～！ わりーね～！ お礼はこみっちら（たくさん）出すかんな～！」
栃木弁バリバリのフジコ父に、思い切って辞退しようと考えていた参加者も閉口してしまう。
だって、こんなに泣いて喜ばれてしまったら断るに断れない……！
そこへ真っ白なアルビノ少女、鬼崎 あやめが美術品めいた笑顔のままフジコ父に近付き、その手を取った。
「困ってる時はお互い様ですよ。だから安心して下さい。……ただ、色々と便宜図ってくれると嬉しいです」
そうして、５秒間手を取り微笑むことで、鬼崎のろっこん『リリスの微笑み』が幾ばくか成功する。
もれいびばかりの寝子島とは違い、ひとが多い（まして従業員たちが一堂に会している）ここでは若干効果が弱く感じられた。
だが、それでもフジコ父を泣き止ませるくらいは可能だったようで、彼女はしばらくフジコ父から「わりーね～、わりーね～！」と感謝の言葉を延々と言われ続けていた。
この光景に割って入る、恰幅のいいフジコ母（広子）が全員分の白米を茶碗に盛り付けながら口を開いた。
「ほら父ちゃんもおめーたちも！ ごっこと（早く）飯ぐって仕事すっぺ！ 生徒さんたちもてれんこてれんこ（もたもた）してねーではやくいぐ（行く）かんな～！」
「もう、ママンったら相変わらずせっかちねぇ？」
フジコは朝だというのにモリモリと食事にかぶりついていた。
大盛りご飯に自家製ソーセージの山、ハムエッグの玉子は１人３個、近隣の農家から譲ってもらった野菜の一夜漬け、そして味噌汁というには具が多すぎる汁物。
富士山牧場の朝食は、かなりガッツリ系だった。
「今のうちにしっかり食べておきなさい。……食べないと後悔するわよ」
あの屈強なフジコでさえ表情が強張る。
その様子に参加者たちは戸惑いを隠せない。
彼らは無事に１日を終えるべく、次々にソーセージやハムエッグに箸を伸ばし始めた。
味は格別だった。
鬼崎は作業着に着替え終えると、寝子島方面の空をぼんやり眺めた。
「アハハ……、もうフジコ先生の奇行には慣れましたけど、まさか拉致同然で実家のお手伝いさせられるとは思いませんでした……」
フジコは真っ先に鬼崎を連行したのはいうまでもない。
何故なら、彼女はフジコの犬。
犬役のつもりが、いつの間にか人生においても犬と主人の関係が継続している。
勿論、忠誠の証（スレイブライセンス）の赤い首輪は、今も鬼崎の首に装着されている。
「というか！ 私がいない間のお店が！！ あのマダオ（まるで駄目な叔父）に任せてたら潰れちゃう……！」
鬼崎の叔父は、過去に借金苦で一家離散した彼女を引き取った責任感ある人なのだが、彼には悪癖があった。
新台の匂いがする、今日こそ錬金術を成功させる、などと妄言吐くなり朝から店を放り出してまでパチスロへ繰り出すのだ。
店主不在の定食屋を切り盛りしていた彼女がいないとなると、開店休業状態になってしまうのではと不安で仕方がない。
「こうなったら、何が何でも収穫がないと！」
「何をしているの？」
フジコは鬼崎の左耳に息を吹き掛けた。
「ひゃぁっ！？」
「ほら、行くわよ！」
フジコに首輪を捕まれ、鬼崎は作業場へ連行されていく。
「そうそう、鬼崎ちゃんの叔父様には、あたしが定期連絡してあげるわ」
「へっ？」
フジコの言葉に鬼崎は目が点になる。
「あたしの勝手で、鬼崎ちゃんちの定食屋が潰れたら申し訳ないわ。だから、店主の叔父様にあたしが鬼崎ちゃんの様子をお店に定期連絡することになってるのよ」
「それって、つまり……」
パチスロ店にいたら定期連絡に気付かないから、店に常駐する必要がある。
誰か１人店にいれば開店休業状態は免れる。
「どんな手を使ったか知りませんが……、ありがとうございます……」
鬼崎の心に、恐怖心とは別の感情がフジコに対して芽生え始めだしていた。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2014年06月02日
- 参加申し込みの期限
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- 2014年06月09日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2014年06月09日 11時00分
