暴走ベビーカー？！　ちょっとまって赤ちゃん！！｜リアクション

暴走ベビーカー？！　ちょっとまって赤ちゃん！！

「じゃあ、騒動はおさまったんだな？」
「うん。ねこったーで今、牛瀬先生に報告してもらってるよ」
　電工暁が、七音侑から話を聞き、ほっ、と表情を緩めた。遠くでは東中居陽二と逆巻天野、新井瞬平がショッピングカートとベビーカーを運び、破損具合を調べていた。
「キレイに壊れているね……。でも、ドライバーがあればネジを締められるから、修理はできる筈」
「……借りてくるか」
「牛瀬先生、きっと驚くだろうな……」
　３人は文字通りキレイに分解されたベビーカーの車輪を見、まじまじと見てしまう。
「安心したわぁ。ホンマ、皆のおかげでつかさが助かって良かったわ。けど、えらい迷惑かけてしもうたなぁ……」
「困った時にはお互い様ですから」
　申し訳ない、という顔で落ち込む牛瀬に、森蓮が苦笑する。蓮は事件が解決したら帰るつもりであったが、牛瀬が足を痛めている他、怪我人の具合も気になったのでここにいた。幸い、彼と天野、ねこったーで情報を流していたメンバーのおかげで避難誘導がすみやかに行えたので、救急車を呼ぶ事態には至らなかった。

「よくがんばったな」
　御剣刀が、傍らに座っていた小山内海の頭をぽふっ、と撫でる。恥ずかしそうに俯く海の姿に、風宮悠（はるか）もかわいい、と思いつつ笑う。そうしながらも、彼女は少し考える。何故、最近は頭痛続きなのか。彼女は貰ったお茶を飲みながら、首をひねった。
（一体、……なんでだろう？）

（事件解決、てね）
　緊急事態であったのにも関わらず、多くの寝子高生のおかげで事件が解決した。赤ちゃんが泣いていた理由もそろそろわかるだろう。十条寺達磨が帽子を正して笑っていると、アネモネ・アドニス達が赤ちゃんを連れてやってきた。すっかり彼女たちになついたのか、赤ちゃんはきゃっきゃっ、と楽しげな声を上げている。
「モネっち！　そっちも上手くいったみたいだね」
「ええ。赤ちゃんはもうご機嫌ですよ」
　アネモネの言葉を受けて、勅使河原悠が簡単に説明を始めた。

　今回の事件は、もれいびとなった赤ちゃんのろっこんが原因だった。赤ちゃんはオムツが濡れてしまったので大泣きし、ろっこんの所為でベビーカーが大暴走した、と。

　その後ろでは、赤ちゃんをだっこしたり、あやしたり、と大人気な様子。
「ふわふわぁ～。ミルクの匂いがする～♪」
「本当にかわいいですわね」
　笑顔になった赤ちゃんの様子に、手当を受けていた没もにっこりわらって手を振る。と、赤ちゃんも、少年に笑いかけたようだった。
（子供が好きって見られないし、善人ごっこって……）
　桃川圭花が一人そんな事を考えつつ、遠巻きに様子を見ていた。クレープは残念な事になってしまったが、なんだか少し照れくさいような、心地よいような気がした。

「皆、本当におおきに。えらい助かったわ！」
　牛瀬が頭を下げていると、皆も笑顔になる。るるかに「しっかりしてよね、パパ！」と言われれば酷く苦笑し、皆を笑わせるのだった。

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