サマー！部活動のお時間です！～文化部編～｜リアクション

サマー！部活動のお時間です！～文化部編～

○映研のサイコーの夏

　

　空き教室では、映像研究部部長の中津川笹鳴が皆に話していた。
「せ、せっかくの機会なので、映像研究部もこの機会に何か短編映画や映像を撮ろうかと思っています……
　夏休みですし、遠出しても撮影の時間は多く撮れるはず……です……」
　気が弱い笹鳴の声はおどおどとして、時にどもったり途切れたりする。
「撮るならやっぱり映画がいいかな。折角時間あるし。ジャンルはミステリーとか……れ、恋愛映画とか？　特撮っぽいのでもいいのかなぁ」
　中性的な魅力を持つ男子、霧生深雪が賛成する。
「とはいえ皆さんのご予定もありますし、機材も限られますから大がかりなものはまず作れないでしょう……」
　弱気だが笹鳴の発言は現実的とも言えた。
「夏休みに映画撮影、なんだかとっても青春だね！　映画ーなら寝子島の風景を生かしたのがいいかな？
　青い空、白い雲、きらきら太陽。夏の景色って素敵だもんね！
　ちょっとしたラブコメディとか、青春っぽいのが撮ってみたいかも！」
　榛名冥がアイディアを出す。儚げで人形のような容姿だが、口調は子供っぽい。
　みんなの意見をまとめ、笹鳴が脚本をまとめた。
「『一人の女子高生が地元を盛り上げるためにメンバーを集めてライブで復興を目指す青春群像劇』
　拙い出来ですが、脚本のおおまかなあらすじはこんな感じでしょうか」
「まあ王道って感じするしいいんじゃねぇか？　音楽がテーマなのも俺好みだ。
　俺は音響として参加するぜ。劇中曲やバンドでやる曲作ったりする」
　深雪は音楽専攻のピアニストである。
「今回はメンバーも少ないので、基本的に全員役者として参加ですね。ビデオカメラ撮影や細かな指示は私が監督と兼任します……」
　笹鳴が言う。
「メイは主に役者として参加させていただくよ。子役の経験が活かせるといいな。映画出演だなんてわくわくしちゃう」
「では、主役は榛名さんでお願いします」　
「地元を活気づけるために、音楽にうちこむ女子高校生役ね。音楽のチカラと、寝子島の魅力も伝えられたらなって思うの」
「シーンの流れは『榛名さんがメンバーを勧誘する→全員集まって練習→海岸で円陣→ライブシーンでED』でしょうか……
　私は榛名さんの幼馴染として、バンドに巻き込まれて参加する役ですね」
　笹鳴が流れを説明する。
「俺は音楽室でピアノ弾いてたら榛名に勧誘される役どころだ。前に映画撮影手伝ったことあるし演技は問題無いと思うぜ」
　深雪も言うが。
「ガールズバンドにするからみゆも女子高生ね」
「女子高生！？」
「だって人が足りないの！　よろしく♪」
　あっさり冥に言われ固まる。
「うーん。榛名に頼まれると断れねぇんだよなぁ……」

　