中庭花壇、伝説のバラバーラ｜リアクション

中庭花壇、伝説のバラバーラ

●バラバーラでムラムラ～ン

「はぁ……っ」
　２年１０組。おはよー、と挨拶を交し合うクラスメイトの声に紛れて教室に入ってきた宇佐見望月は、我知らず切ない吐息を漏らす。
　今朝はいろいろと考えたいことがあり朝練のあと中庭に立ち寄った。そこで立ち込める甘い薔薇の香りを嗅いだあたりから、どうも気持ちがもわもわと落ち着かない。
（ああもう、真央ちゃん好きだって自覚してから何でこう……）
　望月は自分の――いたってノーマルな――恋心のせいかと思っていた。
　クラスメイトの志波武道が、妙に艶っぽく頬を染めて教室に現れるまでは。

　武道は、廊下ですれ違った男子を何度も振り返り振り返りしている。
「今すれ違った男子、なんだ……すごくドキドキする……エ？」
「おはよ、武道ちゃん」
「ああ、オハヨー、もっちー……」
　
　ドキンッ！！　――二人のハートが同時に高鳴る！

　武道は自分の反応を訝しんだ。
（な、なんだ？　オッカシイナ俺あまりそういうのには反応しないはずなんだが）
　一方望月はあからさまに真っ赤になって挙動不審になった。