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薄野 五月
は人込みに飛び込む青年の背中を見送る。
「お面は外さず、お面は外させず、ですね」
翁面の男から借り受けた子犬の面に何気なく指先を触れさせ、目前に広がる縁日へと視線を向ける。
視界の端を面に覆われた景色は、どこかいつもと違って見えて、知らず、五月は仄かに笑む。
「これは……」
背後から聞こえたよく通る声に振り返れば、灰色の髪の歳の近い少女がひとり、鳥居の向こう側から此方を見ていた。
「白昼夢か」
渡された狐の面を片手に、
伊勢 エリカ
は鳥居の向こう側を覗き込む。
石灯篭と夕日の光を受けて、茶色の瞳が琥珀色にきらめく。
鳥居の先を行き交う人々が各々顔に掛けた面を鋭く細めた瞳で眺め、己が手にした狐の面を見下ろす。もう一度視線を上げて、子犬の面を被った五月と眼が合った。
(たびたび同級生が妙な話をすることがあるが、これがそうか)
同じ年頃の少女が生真面目にお辞儀をするのに片手を挙げて応じ、エリカは唇を笑ませる。
(面白い)
こんな出来事が今まで自分に起こらなかったことを不思議がりながら、面を顔に掛ける。自分の端整な顔が隠れてしまうのは複雑だが、追い出されるくらいならば素直に従おう。
(たまにはこんな日もいいだろう)
鳥居を潜る。子犬の面を被った少女と並び、祭りの景色を暫く眺める。
「よくわからないが、不思議な場所だ」
「はい」
エリカの呟きに、五月はマイペースに頷く。
「不思議なものは好きです。いつも通りの日常も好きです」
子犬が自分の尻尾を追うように、くるり、その場で嬉しそうに一回転する。
「その間に立っているようで、何だかとても心が躍りますね」
「子供の頃を思い出すな」
五月は隣に姿勢よく凛と立つ狐面の少女を見遣る。のんびりぱちり、両手を鳴らす。
「申し遅れました。私は
薄野 五月
と申します」
「
伊勢 エリカ
だ」
「さて、まずはどこを見て……あ、そうです」
「どうした」
「どこかで風鈴を売られている屋台はあるでしょうか」
「これだけの屋台だ、どこかにあるだろう」
エリカは先に立って歩き出し、肩越しに五月を振り返る。
「探そう」
旅は道連れとばかり、二人は並んで歩き出す。
屋台の呼び込み、子供の泣き声と笑い声、笛の音に鈴の音、犬の鳴き声に怪しい植物の叫び声、賑やかな音や声に混じって、涼風の渡ってくるような風鈴の音がどこからか聞こえてくる。
硝子や鉄鐘に触れて鳴る風鈴の音を探し、人込みの波に揺られて歩く。
「おや、あちらで金魚すくいをやられていますね」
「隣は鯉釣りか。何だか賑やかなのが居るな」
白狐と謎仮面が並んで釣り競争をしているその隣、赤黒金魚がひらひらと鰭を水にそよがせる金魚すくいの水槽を、
「少し覗いてみま……」
覗きこんで、五月は固まる。フツウの金魚に混じって、
「おお、金魚さんは人の顔をされてらっしゃる」
「む、これはまた」
「実に目が合います」
狐と子犬は人面魚と暫く見詰め合う。鯉釣りから流れてきたリトルグレイが二人の隣にしゃがみこみ、同じように人面魚と目力勝負に掛かる。
狐と子犬とリトルグレイに熱く見つめられ、人面魚はぷかりと空気の泡を吹いて逃げ出した。
勝利のポーズをするリトルグレイとハイタッチをして、二人は再び風鈴を探す旅に出る。
風に流れてくる鈴の音を辿り、ざわめく人波を見回して、
「伊勢さん」
五月の示す指の先、軒や木枠の棚に色とりどりの風鈴を提げた
屋台。朝顔や金魚の描かれた硝子の風鈴、藍の縁取りの陶器の風鈴、赤褐色の銅の風鈴。夕風に短冊がひらひらと翻る度、それぞれに違う音を夕空に響き渡らせる。
「風鈴はまともなようだ」
「そのようですね」
風鈴の音を楽しみながら、五月はずらりと並ぶ風鈴をひとつひとつ観察する。気になったものは手に取り、真剣に音色を確かめる。
「伊勢さんも今日の想い出におひとつ――」
如何ですか、と問いかけて、五月は首を傾げる。灰の色した髪を風にざわめかせ、エリカは参道を行き交う人波のうちの誰かをじっと見つめている。
「どうかしましたか」
「……今、母のような人を見たような気がする」
エリカの訝しげな呟きに、五月は翁面の男の言葉を思い出す。鳥居の前で出会い、亡くなった父親を追いかけて行った青年を思い出す。
「行って下さい」
「ああ、」
五月の言葉に背中を押され、半ば反射的にエリカは駆け出す。
二三歩進んで、子犬の面被った五月を肩越しに振り返る。
「またな」
「はい、またお会いしましょう」
人込みに駆けて行くエリカを見送り、五月はこれと定めた風鈴を買い求める。
それひとつで魔除けになりそうな鬼の首の形した風鈴を片手に提げ、五月は縁日の境内を今度はひとりで歩き出す。
帰る前に、翁面の男に今日の礼とお面の礼を伝えたかった。
まだ鳥居の前に居るだろうか。
(お名前は……聞くのは野暮ってものですね)
ふふ、と面の内に小さな笑い声が響く。
ちりん、と鳴る鬼風鈴の音に、五月は茜の空を仰ぐ。
(伊勢さんは御母上にお会いできたでしょうか)
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年05月14日
参加申し込みの期限
2014年05月21日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年05月21日 11時00分
参加キャラクター一覧
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