- 0
- 0
- 種族
-
- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
フジコ先生リターンズ～追試と小さな先生の囁き～
楽しい追試の始まりです
普段は生徒達の楽しげな声が響く寝子高の校舎が、今日は妙に静まり返っていた。
夏休みだから、の一言では片付けられない、妙な緊張感がある教室を中心に校舎全体を覆っている。
遠く、かすかに聞こえる運動部の掛け声が、まるで別世界のようだ。
「abandon …を捨て去る、appeal 訴える、concentrate 集中する、confuse …を混乱させる、cope 対処する」
緊張感の発生元は期末テストの追試会場。
その教室で、一心不乱に自作の単語帳をめくっているのは宇佐見 望月。
家庭・保体以外は赤を取ってしまうという、なかなかの成績だ。
「うう。『赤のある人は部活にクンナ』だなんて……頑張らねーと」
そんな陸上部赤点組みは彼のほかに、あと二人。
国語で０点を叩き出した後木 真央と、社会の赤点がどうしても回避できなかった志波 拓郎。
「絶対に負けないのだクリアするのだ最強アイテムだってあるのだ真央ちゃん無敵なのだ！」
びしぃっと教室の蛍光灯に掲げるコロコロ鉛筆は寝子島内の三神社で願をかけたもの。後木の試験必須アイテムだ。
むろん、鉛筆頭の各面には数字が振ってあり、困ったときにお伺いが立てられる。
暑さ対策に首からハンドタオルを提げ、熱い闘志を燃やす後木のやる気は十分だ。
一方、志波は、実に浮かない顔で単語帳をめくっていた。
「……ははっ……また、赤……いやでも、通過すればいいんだ。大丈夫、補習だって頑張ったし……」
家では苦手な兄に頭を下げて作ってもらった予想問題を解き、いじられながらも頑張って勉強していた志波。
「ぜったいっパスするっ！！」
闘志を振り絞り、年号をぶつぶつ呟きながら単語帳をめくっていく。
陸上部赤点トリオのやる気は十分だ。
一方、まじめに勉強している生徒の中に、やけに青い顔をしている人達がいる。
「あぁ……せっかくの英語の奇跡が体育と数学のせいで……いやぁああっつ！！」
ノートを見返しながら青い顔で悲鳴をあげるのは、鬼崎 あやめ。その真に迫り過ぎた恐怖の表情に、周囲にいる生徒が怯えて震え出す。
「フジコ先生は、フジコ先生は堪忍してぇ！！！」
彼女は前回の中間試験の追試を受けた際、栄えある犬役を獲得するという悲劇に見舞われている。どうも、その時のあれやこれやがトラウマになってしまったようだ。
事情を察した周囲から同情的な視線を集めていることにも気がつかず、鬼崎はひたすら怯えながらノートを見返していく。二度と犬にはならぬ、と決意して。
「また富士山先生が監督……ヤバいよ、絶対にヤバいよ！！」
鬼崎と同じく青くなって震えているのは御剣 刀。まさかの主要五教科赤点は、ろっこん騒動からフツウを守るために、日夜駆け回っている代償だ。ちなみに中間でも同じように赤点を取ってしまった御剣は、前回の恐怖をたっぷり味わっている。
期末テストは彼なりに色々努力していたのだが、いかんせん体は一つしか無いわけで。
連日の一夜漬け、当然のごとくの寝不足。結果は上記の通り美しく赤く染まった成績表となって彼の目の前に立ちふさがった。
「俺は、俺の夏休みを満喫するんだ！ 絶対に突破してみせる！！」
期末テストを解きなおしまとめたノートに燃える瞳を向ける御剣。
皆、この追試を突破しようと必死だ。気迫が違う。
「教科……少ない人……いいな……」
そんな熱気溢れる教室の中、ぽつんと佇むのは斉藤 次久。
期末テスト中、うっかり引きこもっていて試験を受け忘れた結果、当然今回の追試は全教科がその対象だ。
「……はやく、終わらせられたら……いいよね……」
自分の強面過ぎる外見で、人を怯えさせてしまうこと。それが斉藤の行動を縛ってしまう。
試験会場で刺さる視線が、どうしても怖くて逃げてしまうのだ。
「……なるべく、目立たないように……」
教室の隅、一番後ろの席について顔を伏せ、教科書を眺めて試験開始を待つことにした。
「……」
佐藤 タカシは、大量の教科書を前に目をまわしている橘 明里を見た。
「あかり、あかりはがんばるの……でも逃げたいの」
橘の追試科目は美術を除いた八科目。
全科目追試組に次ぐ多さだ。きっと帰りは遅くなるだろう。
つまり、試験監督の富士山 権蔵いやフジコ先生と長時間のランデブーが確定しているも同然で、教室内からは何かを察した哀れみの視線が集まる。
「あははー俺も六教科赤やし、お互いがんばろなー」
対照的にお気楽モードなのは浅沼 柳司。
「ううっ逃げたいのあかり、がんばるけど逃げたいの」
すでにダークサイドに落ちかけている橘の様子に、浅沼は乾いた笑いを浮かべるのだった。
「……まぁほら、きっと今日中には帰れるやろ、今日中には」
教室内の緊張感がピークに達したその時。
「はぁーい、子猫ちゃん達♪ お久しぶりねぇ……」
チャイムの音と共にフジコ先生が現れた！
普段は生徒達の楽しげな声が響く寝子高の校舎が、今日は妙に静まり返っていた。
夏休みだから、の一言では片付けられない、妙な緊張感がある教室を中心に校舎全体を覆っている。
遠く、かすかに聞こえる運動部の掛け声が、まるで別世界のようだ。
「abandon …を捨て去る、appeal 訴える、concentrate 集中する、confuse …を混乱させる、cope 対処する」
緊張感の発生元は期末テストの追試会場。
その教室で、一心不乱に自作の単語帳をめくっているのは宇佐見 望月。
家庭・保体以外は赤を取ってしまうという、なかなかの成績だ。
「うう。『赤のある人は部活にクンナ』だなんて……頑張らねーと」
そんな陸上部赤点組みは彼のほかに、あと二人。
国語で０点を叩き出した後木 真央と、社会の赤点がどうしても回避できなかった志波 拓郎。
「絶対に負けないのだクリアするのだ最強アイテムだってあるのだ真央ちゃん無敵なのだ！」
びしぃっと教室の蛍光灯に掲げるコロコロ鉛筆は寝子島内の三神社で願をかけたもの。後木の試験必須アイテムだ。
むろん、鉛筆頭の各面には数字が振ってあり、困ったときにお伺いが立てられる。
暑さ対策に首からハンドタオルを提げ、熱い闘志を燃やす後木のやる気は十分だ。
一方、志波は、実に浮かない顔で単語帳をめくっていた。
「……ははっ……また、赤……いやでも、通過すればいいんだ。大丈夫、補習だって頑張ったし……」
家では苦手な兄に頭を下げて作ってもらった予想問題を解き、いじられながらも頑張って勉強していた志波。
「ぜったいっパスするっ！！」
闘志を振り絞り、年号をぶつぶつ呟きながら単語帳をめくっていく。
陸上部赤点トリオのやる気は十分だ。
一方、まじめに勉強している生徒の中に、やけに青い顔をしている人達がいる。
「あぁ……せっかくの英語の奇跡が体育と数学のせいで……いやぁああっつ！！」
ノートを見返しながら青い顔で悲鳴をあげるのは、鬼崎 あやめ。その真に迫り過ぎた恐怖の表情に、周囲にいる生徒が怯えて震え出す。
「フジコ先生は、フジコ先生は堪忍してぇ！！！」
彼女は前回の中間試験の追試を受けた際、栄えある犬役を獲得するという悲劇に見舞われている。どうも、その時のあれやこれやがトラウマになってしまったようだ。
事情を察した周囲から同情的な視線を集めていることにも気がつかず、鬼崎はひたすら怯えながらノートを見返していく。二度と犬にはならぬ、と決意して。
「また富士山先生が監督……ヤバいよ、絶対にヤバいよ！！」
鬼崎と同じく青くなって震えているのは御剣 刀。まさかの主要五教科赤点は、ろっこん騒動からフツウを守るために、日夜駆け回っている代償だ。ちなみに中間でも同じように赤点を取ってしまった御剣は、前回の恐怖をたっぷり味わっている。
期末テストは彼なりに色々努力していたのだが、いかんせん体は一つしか無いわけで。
連日の一夜漬け、当然のごとくの寝不足。結果は上記の通り美しく赤く染まった成績表となって彼の目の前に立ちふさがった。
「俺は、俺の夏休みを満喫するんだ！ 絶対に突破してみせる！！」
期末テストを解きなおしまとめたノートに燃える瞳を向ける御剣。
皆、この追試を突破しようと必死だ。気迫が違う。
「教科……少ない人……いいな……」
そんな熱気溢れる教室の中、ぽつんと佇むのは斉藤 次久。
期末テスト中、うっかり引きこもっていて試験を受け忘れた結果、当然今回の追試は全教科がその対象だ。
「……はやく、終わらせられたら……いいよね……」
自分の強面過ぎる外見で、人を怯えさせてしまうこと。それが斉藤の行動を縛ってしまう。
試験会場で刺さる視線が、どうしても怖くて逃げてしまうのだ。
「……なるべく、目立たないように……」
教室の隅、一番後ろの席について顔を伏せ、教科書を眺めて試験開始を待つことにした。
「……」
佐藤 タカシは、大量の教科書を前に目をまわしている橘 明里を見た。
「あかり、あかりはがんばるの……でも逃げたいの」
橘の追試科目は美術を除いた八科目。
全科目追試組に次ぐ多さだ。きっと帰りは遅くなるだろう。
つまり、試験監督の富士山 権蔵いやフジコ先生と長時間のランデブーが確定しているも同然で、教室内からは何かを察した哀れみの視線が集まる。
「あははー俺も六教科赤やし、お互いがんばろなー」
対照的にお気楽モードなのは浅沼 柳司。
「ううっ逃げたいのあかり、がんばるけど逃げたいの」
すでにダークサイドに落ちかけている橘の様子に、浅沼は乾いた笑いを浮かべるのだった。
「……まぁほら、きっと今日中には帰れるやろ、今日中には」
教室内の緊張感がピークに達したその時。
「はぁーい、子猫ちゃん達♪ お久しぶりねぇ……」
チャイムの音と共にフジコ先生が現れた！
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2014年04月30日
- 参加申し込みの期限
-
- 2014年05月07日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2014年05月07日 11時00分
