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オーマはウォルターとの距離をつめたものの、ウォルターはまるで気がつく様子がありません。
あいかわらず、油で光る山盛りポテトを肴に、水で割ったシャンパンみたいな色のビールをちびりちびり飲んでいるだけです。
「え……?」
けれどその手が止まりました。
ウォルターの眼前に、スマートフォンの画面が差し出されていたのです。
あまり見慣れぬ機種です。
というよりも、店頭でもCMでも見たことがない機種でした。
ウォルターがもっと携帯電話やスマートフォンに詳しければ、この機種はどんなメーカーのカタログにも載っていないということに気がついたかもしれません。
しかしウォルターが注目したのは、機械そのものではなくて、そこに表示された文字でした。
顔を上げるとオーマ(ウォルターにとっては『見知らぬ女性』)が、黙ったままこちらを見ていました。
彼女は「読め」と言っているようでした。実際に声には出していませんけれど。
「これを? なんだろう?」
ウォルターは小首をかしげてスマートフォンを手に取りました。
こう書いてありました。
『私は観光客。親友の夫が寝子島にいるので泊めてもらいに来た。日本語も英語もしゃべれない。文字は書ける』
「Habla usted espanol si?」
ウォルターは流暢なスペイン語で問いました。
オーマは首を振りました。
「Parlez-vous francais si?」
ウォルターは多少、訛ったフランス語で問いました。
オーマはやはり首を振りました。
「我不能普通活」
無表情だったオーマも、かすかに驚いたように目を開きました。
「今のは『中国語はできません』って言っただけだよ。中国語でね」
あははとウォルターは笑って、
「もしかして声が出せない……とか?」
『口がきけないわけではない。日本語も英語もしゃべれないというだけ』
オーマはまたメッセージを表示させました。
「ふぅん、話せないのに書けるなんて変わってるね」
とは言いましたが、それには特にこだわることなくウォルターは続けました。
「僕は地元民だよ。こう見えて寝子島高校の英語教師でね。もともと祖母がこの島の出身ということもあって、自分のルーツを訪ねるという意味も兼ねてここで暮らしてる。大学生のころからいるからね、それなりに島での生活も長いよ」
『日本で教師をしてなにを感じているのか』
オーマがメッセージを表示させて渡します。
「そうだねぇ……教師にはやりがいを感じているよ。人になにかを伝える、って仕事は性に合ってるみたいだ」
オーマの目が、自分の飲食物に向いたのに気づいて、
「これかい? 僕の故郷の味さ。安っぽいけど、こういうのを口にしながら育ったから。今でも里帰りするたびに食べてる。ここでこういう本格的なものが楽しめるなんて思わなかった」
故郷、その言葉に感銘を受けたのでしょうか、
『故郷とは美しいものなのだろうか』
オーマは真剣な表情で、新たなメッセージを差し出しました。
その意を汲んだのか、ウォルターも真面目な顔で、
「僕はそう思う。たとえどれほど遠く離れていても、どんなに変わり果てていても……仮に嫌な思い出があっても、ね」
と言って、ジョッキの底に一センチほど残ったビールをぐっと空けたのです。
オーマはその返答に感じるものがあったのでしょうか。
ふと目を細めました。
微笑、しているようにも見えました。
彼女は空の徳利を持って立ち上がりました。そしてまた、日本酒を出す酒蔵のほうへ歩き始めたのです。
「僕も、お替わりしようかな」
ウォルターも立ち上がりました。
いくらかしてウォルターは元の場所に戻ってきましたが、オーマの姿はありませんでした。
しばらく待ちましたが、やはり彼女は戻ってきませんでした。
ウォルターは一人で食事を再開しました。
老いの基準は人それぞれです。
単純に年齢のみを基準にするならば、
長門 正義
は老人の部類に入るでしょう。なにせ御年九十歳、元日本国海軍の軍人で、かつては本物の軍艦に乗っていたというのですから歴史の生き証人といっていいほどです。
しかし心の持ちようを基準にするならば、正義はまだ壮年、いえ青年とすら言っていいかもしれません。
生涯現役、正義は貪欲なまでに学ぶことを愛する人です。
パソコンを使いこなし車はおろかバイクまで自在に操り、「暇つぶしを兼ねて」と言いながら木天蓼大学の理工学部に学生として籍を置いております。知識の吸収力たるや並の若者を凌駕することこの上ない。
身体にしたってそうです。矍鑠(かくしゃく)という表現を使うことがためらわれるほどに、正義にはバイタリティがあふれています。
米寿を越えてなお壮健、背筋をしっかり伸ばしかなりの速度で歩きます。目も耳も、数十年前に比べれば衰えましたが健康そのもの、一応持っていますが老眼鏡を使うことはあまりありません。
胃腸も同様、その健啖ぶりたるやすばらしいものがあります。単身ビアガーデンを訪れた今夜も、大いに食べ、飲んで楽しんでおりました。
「美酒に酔い、美味い肉を喰らう夏の夜……いいねえ」
このときも彼はコンロのしつらえられたテーブルで、ボリュームたっぷりの肉を焼き、これを世界中のビールで流し込んでいたのです。
ひたすらに焼き、ひたすらに飲み、お替わりする。
まったく、見る者の胸がすくほどの食べっぷりでありました。
みるみるお皿の肉や野菜が減っていきます。
――それにしても。
星の出てきた空を見て正義は少し、嘆かわしげに思いました。
――仕事の都合とかで来れないとか言いやがって、まったく親不孝……いや、爺不孝な奴らだ。
本日、正義はひとりです。
ひとりでビアガーデンを楽しむことそのものは、まったく気にしない彼ですけれども、今宵にかぎっては孫たちも誘っていたのです。ところが残念、断られ、こうして単身行となったわけでした。
――ま、それはそれで俺ひとり、楽しくやらせてもらうだけだけどな。
そろそろ焼けたな、と呟くと彼は、綺麗に焼き目のついたリブステーキを箸でつかむや口に放り込み、今なおすべて自前という強靱な歯で噛み砕きます。
熱い。本当に熱い肉です。炎の塊を口に投げ込んだようです。
しかし本当に美味な肉です。香ばしさもたまらないものがありました。
たいへんに柔らかく、口にしたとたんじゅっと肉汁がしみでてきます。噛むほどに肉の旨味が感じられ、とろけるようなその味わいに、忘我の境地に至ります。もう肉のことしか考えられない――といった具合に。
後味は尾を曳き名残惜しいのですが、振り切ってぐっと冷たいビールをあおると、また肉がほしくなるというエンドレスぶりでした。
極楽。極楽であります。これだけ美味なるものを味わえるのですから、まだまだ正義にこの世を去る気はないのでした。
そのとき彼の頭上に、ぱっと大輪の花が咲きました。
「おっ、はじまったな!」
光の花です。
打ち上げ花火です。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年04月14日
参加申し込みの期限
2014年04月21日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年04月21日 11時00分
参加キャラクター一覧
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