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大人の時間はビアガーデン
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いよいよ空に黒いカーテンがかかると、来場者も増え会場の熱気が高まってきました。
自由席のテーブルはかなり埋まっていますし、注文すべく行き交う人々の数も相当なものになっています。
この街でこの高度で、これだけ賑わっている場所はほかにありません。ライトが灯り、華やかな空間が浮かび上がります。天国がちょっとだけ、低い位置に出現したかのようです。
といってこの場を歩むすべての人が、ビアガーデンのお客なのではありません。
働いている人もいるのです。従業員はもちろん、食料飲料の供給元も。
桜花 満
もその一人でした。
「ふむ……やはり発注数が半端じゃないな」
満は台車を押し、生ビールの詰まった樽など複数の飲料を運んでいる最中なのです。
満が押す台車はかなりの容量があるのですけれども、その上限いっぱいの積み荷でぎちぎちです。けれどいずれも整然と積まれており、ちょっとやそっとではこぼれ落ちそうもありません。そればかりか震度5程度の地震なら、しっかり耐えそうにすら見えました。
「消費量が普段よりずっと高い。ビール以外もかなりはけているようだ。今日は特に暑かったからな」
冷静に分析しつつ、満はカートを進めます。
満の働きぶりには独特の気品がありました。
進み方ひとつとってもそうです。決して急いでいるようには見えず、力も込めているような雰囲気ではありませんが、満のカートの進みは迅速でした。イルカがすいすいと泳ぐように、優雅に人混みを縫って進むのです。
満の姿もまた、気品を高めているといえましょうか。
すっきり整った目鼻立ち、さらさらの髪を肩まで伸ばし、背筋をまっすぐにして歩いています。
男性のようでもあります。
けれど、男装の麗人のようでもあります。
服装も独自のものがありました。
塩辛声のオッチャンが前掛け姿で、気合いを入れて作業しているような酒屋もいますが、満はのりの効いた白いシャツに、バーテンダーのような黒いベスト姿で作業しているのです。シャツにもベストにもしわひとつなく、黒いネクタイも曲がってすらいません。まるでついさっき出勤してきたかのようです。
このとき、歩を止めた満の足元で、
「おー! なんと素敵な靴でしょう!」
しゃがみ込んで声を上げている姿がありました。
その少年は大きな瞳で、白い歯の光る口を開け満点の笑顔を浮かべています。
それで、満のローファーを見つめているのです。
許されるのなら手触りも確かめたい――そう言っているような目の輝きでした。
「工場の画一品ではなくハンドメイドですね。いい革を使っています。材料の時点から選び抜いたに違いない……しかも縫い目の美しいこと! 左右の調和が最高です! 加えて踵の仕上げの丁寧さも絶品! さぞや名のある職人が仕上げたものと思われます。生国はドイツかフランスか……悩むところですが、かっちりした作りからしてドイツと予想してみましたがどうでしょう?」
どうでしょう? と言っておきながら、少年は満の回答を求めているわけではないようです。ただちに言葉を継ぎます。
「それにしても美しい形状です……! コインローファーですね。おっと、コインローファーというのはですね、甲を馬蹄形に切り替えたタイプのローファーのことを言いまして、かつてはこ甲の部分に1セント銅貨をはさんだりしたことからこう呼ばれているようですよ。なので別名ペニーローファーとも呼ばれます。1セント硬貨は『ペニー』と言いますからね」
言いながら彼は満に、いや、満の靴ににじり寄って、生まれたばかりの我が子を見る母親のような表情をするのでした。
ここで、「どうぞ」と言われたら靴に頬ずりすらしそうな雰囲気です。
「ああ、それにしても、本当によく手入れされています! おそらくは毎日手入れされているのでは? いい靴でも履く人が手入れに無頓着だと、あっという間に使い物にならなくなってしまうもの。せっかくのデザインも汚れを放置すれば台無しです」
ハァハァとなんだか、少年の息が荒くなってきました。
「なので私は素敵と言ったわけです。素敵な靴! 素敵な所有者! なんと理想的な組み合わせでしょう! ビアガーデンにビールを飲みに来て、このようなものにお目にかかれようとは……」
とほとんど一気に語り終えると、すっくと立って少年は満に頭を下げました。
「どうぞ、今の靴を大切に使って下さい」
「あ、ああ……」
さすがの満も少々気圧されて、とっさにはそう言うのが精一杯でした。
「おっと、失礼しました。私、こう見えて怪しい者ではありません」
「言えた立場ではないが、まあ、本人がそう言うのであればそうなんだろう」
「ははは、面白い人ですねえ。申し遅れました。私、
沓冠 梢太朗
と申します」
満はあらためて少年の姿を見ました。
女にして見たいような中性的な顔立ちで、カラーコンタクトをしているのもあいまって別の惑星からやってきた人間のようにも見えます。
やはり小柄で、満より十センチは低いでしょう。
そして顔立ちは、やっぱり少年です。
ところがその梢太朗は、空のビアジョッキを片手にさげているのです。泡が残っているところからして、ジュースですよという言い訳は通じそうもない。
「学生……高校生か中学生か。このガーデンには年齢制限がない。フードを楽しんだりするためにいるのはわかるが……それは色々と問題があるだろう」
フレンドリーな笑顔を見せる梢太朗とは対称的に、満は冷たい目で言いました。
「未成年の飲酒は禁…」
その言葉にかぶせて梢太朗は言います。
「え? 僕は二十八歳ですよ?」
――私より年上?
馬鹿な、と満が言うより早く、梢太朗は自分の身分証を出しました。
「ほらね」
「…………これは失礼した」
これには満も素直に頭を下げました。世の中には不思議なこともあるものです。
「気にしないで下さい。よく間違われますから。私はシーサイドタウンの一角に最近オープンした靴屋の店主をしていましてね。『Cat’s rear paws』って言うんです。よければお姉さんも一度いらしてください。靴を大切にする人に来てもらいたいと思っていますので」
「そうか。僕は桜花満という。酒屋を経営しているが、今日は仕入れかつ臨時の手伝いで……」
ここまで言って、待てよ、と満は一瞬黙りました。
満も中性的な顔立ちとよく言われます。
服装のこともあって、よく男性と間違われます。
それがどうして、梢太朗は迷わず一発で『お姉さん』と見抜いたというのでしょうか。
「それは靴ですよ。足の形状は、男女差が出ますからね」
問うと梢太朗は淀みなくこたえました。なるほど、さすがは本職。
しかし満に新たな疑問が生まれます。
未成年かとおもいきや成人だった梢太朗です。まさか――と彼女が考えたのも無理はないでしょう。
「さっきの身分証明書……」
満が性別欄を見ようとしたので、
「あっはっは、性別なんて些細なことじゃあないですか」
その考えを読んだのか、さっと梢太朗はこれを隠しました。
「それよりも、よければおかわり、ついでいただけます? お奨めのものだと嬉しいんですが」
「わかった。とっておきのベルギー産をちょうど持ってきたところだ」
未成年に注いでいるみたいで気が引けるな――と思いつつも、それは口に出さない満なのでした。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年04月14日
参加申し込みの期限
2014年04月21日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年04月21日 11時00分
参加キャラクター一覧
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