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大人の時間はビアガーデン
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南戸河 蔵人
は入口で、「本当に?」と訊き返しそうになりました。
ビアガーデンと聞いて一般的に思うより、ずっと高い入場料だったからです。中は食べ飲み放題ということですけれどそれでも……。
――いや、待て待て。
物書きとしてつまらない先入観にとらわれていてはいけない、そう蔵人は思い直します。
学生のころは、ビールしか飲めないのかと思い一度も足を踏み入れなかったビアガーデンです。正直、それ以後もさほど興味はありませんでした。しかし今日は誘いを受けたので、せっかくだし、と蔵人も腰を上げることにしたのでした。
まあこれも経験というものです。文豪漱石もビアガーデンはお好みだったとか聞いたことがあります。いや彼の場合、室内のビアホールだったかもしれません。
漱石なら和服で懐手したところでしょうが、現代の文豪を目指す蔵人は、カーゴパンツの両ポケットにそれぞれ親指を入れ、それでも悠々とガーデンのゲートをくぐったのでした。
待ち合わせの相手は、入ってすぐのところで待っていました。
「や、どーも、識さん」
蔵人が片手を上げると、
夕凪 識
は会釈を返します。
「蔵人君、お久しぶり」
揺れる柳の枝といったところでしょうか、華奢でどこか、浮世離れしたところのある識の立ち姿です。
識は和服を着込んでおり、眼鏡の奥の理知的な瞳を緩めました。
文士、という古風な呼び方をしてみたくもなります。
「いつぞやの出版社以来?」
「そうですね。その程度の面識だったのに突然お誘いしてしまって。お忙しい中申し訳ありません」
「いやあ、忙しいというか、まあぼちぼちですよ。それに僕も、識さんとはもっと話してみたいと思ってたんだ。近所に住んでるのに意外と会わないものだね」
「席は見つけてあります。蔵人君は座っていて下さい。ビールでいいですね? 取ってきますよ」
「ビール? ああ、じゃあ、お願いします」
実はビールは好みではない蔵人ですが、せっかく識が気をつかってくれているのでいただくことにしました。
途中で軽くつまみの皿を手にして、蔵人は着席しました。
学食みたいな白い長テーブルに、これまた白いプラスチックの椅子です。重ねれば四つくらいいっぺんに運べそうな軽さの椅子で、引けば打ちっぱなしコンクリートの床にこすれてザリザリっと音が立ちます。
安っぽいと言えば安っぽいですが、アウトドアらしくてこれはこれでいいでしょう。蔵人は出版社の接待で、銀座の高級クラブにお呼ばれしたこともありますけれど、ああした場所よりよほど落ち着きます。
空はまだ青さの残る宵闇、屋台の数々を目で追いつつ、ぼんやりと蔵人は思いました。
――識さん、いい人だなあ。
容貌の点では、まだ大学生くらいに見えるほど若々しい識ですが、実は蔵人より五、六歳は年長だったりします。それなのに誘ってもらって、こうしてビールまで取りに行ってもらっています。なんともできた人です。
それに言葉使いも、こちらのほうが若手なのにざっくばらんで、識は丁寧語、なんだか悪い気もして中途半端に敬語混じりで話したりもしましたが……まあ、識はそれが基調のようですし、こちらも変に遠慮してぎこちなくなるよりは、このほうが互いに楽だと思い直して、あまり気にしないことにしました。
識が戻ってきました。よく冷えたジョッキをふたつ、テーブルに置きます。
「お待たせしました。遠くまで酌みに行っていたもので」
――酌みに?
妙な表現ですけれどとりあえず忘れて、
「あ、どうもありがとうございます」
「ささ、ぐぐっといっちゃって下さい」
「じゃあ早速、乾杯!」
「乾杯」
蔵人はジョッキを傾けました。
ぐっと含むと、口中に拡がる豊潤な麦の香……豊潤な麦の……麦の……麦の!?
「
麦茶だこれ!!
」
別に不味いものではないし、喉が渇いていたのでありがたいといえばありがたいのですが、飲んでびっくり不意打ちというやつです。
すると識は奥ゆかしくも口元に笑みを浮かべて、
「……ふふ、君ビール苦手でしょう。からかってしまい申し訳ありません」
などとさらっと言おうとしたのでしょうが、我慢できなくなったのか語尾ではぷっと吹きだしていました。
「やれやれ、識さん、知っててやったな? 子ども心を忘れない秘訣、とか言ってたけど、自分でしっかりわかってるじゃない」
「ふふふ、どうでしょうね」
と言って識は飄々としていました。蔵人からすれば年上なのに、妙に可愛らしいところのある彼なのです。
「さて、それでは改めて日本酒で乾杯するとしましょうか。蔵人は主にこっちでしょう?」
水晶のようなおもむきの一合徳利と、二つの猪口を識は取り出しました。
「日本酒もいいのがありましてね。さすがに超高級種はありませんけれど、無名ながらこれは新潟の良心的な蔵のものだそうです」
「おっ、識さんわかってる!」
なみなみと杯を満たす清酒、揺れる水面に識の顔が映り込んでいます。
「さあどうぞ」
こうして二人の宴がはじまるのでした。
識はにこやかに杯を口に運びます。運びながら、蔵人の表情を盗み見ます。
彼の表情からしれ、これはどうやら美酒のようです。さっそく蔵人は、「手酌で失礼」と言って二杯目を注いでおりました。
――喜んでもらえてよかった。
しかしいかなる美酒であれ、識にとっては水と同じです。ほとんど味がありません。微妙に甘味を感じますが、仮にこれがレモンジュースであったところで同じでしょう。
さっき彼がしかけたいたずらも、逆にしかけられたとしたらまったく気がつかなかった可能性があります。
識はかつて、ある事故に遭いました。
その後遺症で、彼の味覚は正常ではないのです。
無味覚とまではいわずともそれに近い状態で、人間として感じる味覚の幅がひどく小さいのでした。
とはいっても、
――雰囲気だけでも楽しめますからね、酒の場は。
識の心は、こうして蔵人と酒を酌み交わすことのできる状況を大いに味わっているのでした。
「すげー! とにかくすごい!」
と伊予祐が声を上げたのも無理はありません。
充実のラインナップ、肉も野菜も超豪華、そしてなによりお酒! お酒の揃いかたたるやただものではありません。祐はもう、餌抜きされた猛獣のように目を輝かせています。
ぱっと飛び出すや彼は、たちまち一抱えほどある食べ物を持って戻ってきました。
もちろんキンキンに冷えたビアジョッキも一緒です。
「自分はこっちにしておくよ」
ところが霧生渚砂はといえば、瓶入りのノンアルコールビールでした。これをトクトクとグラスにそそぎます。勢いよく注いだものの、泡がほとんど出ないのはノンアルコールビールの性質上仕方ないとはいえ……悲しい。
「渚砂さん、本当にそれでいいんですかー!?」
「TAS、心が苦しいからそれ以上聞かないでくれ。だがそう決めたんだ」
「じゃあ遠慮なく……おつかれさま、カンパーイ!」
「乾杯」
がちっとぶつかるジョッキとグラス。
冷凍庫で冷やしてあったのでしょう、霜が降りたジョッキからぽたぽたと、汗のように水滴がしたたっています。渚砂のグラスに雫が浮いているのは同じ、中身の液体も同じ色。
でも、その両者の間には、深くて広くて、けっして越えられない大河が横たわっていました。
「キンと冷えたこの喉越し、サイコーだぜ!」
思わず祐は叫んでいました。コクのある麦芽の匂い、はじける刺激、血をたぎらせるアルコール、それらが冷え冷えの渾然一体となり、喉を駆け抜けていく爽快感! 暑い夏の夕だけにこたえらないものがあります。
ほとんど一気に飲み干して、
「ワン・モア!」
とすぐにお替わりをもってきて祐はその泡に唇を付けました。
渚砂もちょぼちょぼとグラスにノンアルコール液体を注ぎ応じます。
二度目でも二度目なりの良さがあり、祐はやっぱり、顔全体を笑顔にしてうなるのです。
「ああ生きててよかった! せっかくの飲み放題、どんどん飲んでくぜ!」
渚砂もうなりました。
「飲み放題なのにノンアルコールしか飲めないのが悲しい!
しかしそのうなり声は、祐のそれとはかなり違うのです。
「でも! ノンアルコール飲まずにはいられない!!」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年04月14日
参加申し込みの期限
2014年04月21日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年04月21日 11時00分
参加キャラクター一覧
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