美味しい実験体験、みんなで実験をしよう！｜リアクション

美味しい実験体験、みんなで実験をしよう！

【試食タイム１　ある春の日のレジェンド】

　実験時間も終わり、楽しい試食タイムがやって来た。
　そして、目の前で倒れている生徒が一人いた。
　信彦である。
「信彦、しっかりー！」
　真帆が半分笑いながら呼びかけているも、意識は混濁しているようだ。
　そう、目や体をヒクヒクさせて、倒れているのだ。
　実験で信彦は二度倒れる――。
　まさにある種の伝説を着実に築きあげている彼は、何故倒れているのだろうか？
「おい、輝夜ちょっと来い。正直に答えろ……混ぜたか？」
「あれ？　間違ったかな？　――あ……あはは、煉。話せばわかるぜ」
　原因は煉が静かに輝夜を壁際に追い詰めている。という状況から察することができた。
　犯人は輝夜であった。理由は簡単、輝夜の作った電気パンを食べての第一声が――。
「……不味い」
　であったのだ。それをたまたま聞いた信彦がこう言った。
「オイオイ、テルヨンの作ったパンが食べられないのかい？　なら俺がもらっちゃうよ。れんれん」
「……好きにしろ、変なものはいれてないはずだ」
　そう言って輝夜の作った電気パンを差し出した煉。
　思えば、実験のときに瓶はひとつだけだと思ったこと……これが、間違いの原因であろうが、上機嫌で輝夜の作った電気パンを信彦が食した……瞬間であった。
「あぎゃぱーッ！」
　と、あまりの摩訶不思議な味に意味不明なセリフを口走ってどさりと倒れる信彦。
　つまり、そういう状況であった。
「あれほど混ぜるなと言っただろうが」
「ちょ、グリグリは勘弁してくれ！　ミギャぁぁああ！？」
　グリグリと輝夜のこめかみを罰する煉、なんというか静かに怒っている。
　その様子はとても楽しそうであったという。
　しかし、あの栄養ドリンクの瓶の中身は一体何が入っていたのか……？
　それは知らない方がよさそうである。

　

　【試食タイム２　ある種の普通】

「朝は水ばっかりだったからなぁ……そろそろ味がほしい……ん、あー、いやいやこっちのはーなーし」
　などと言いつつ、作ったものを交換していく八兵衛。
「そうですか！　それにしてもどれも美味しそうですね。そして取替えっこ、面白いです！」
　そこに睡蓮が突入した。
「なるほど、完全だとこういう味になるのか」
　とユージーンが驚きつつも色々と食べる。
『みんなでこうかんはたのしいね』
　と海が目をキラキラさせてスケッチブックを見せる。
　また、海以外も感想を言いながらも食す。
　そして、それぞれが食べながらも、きっちりとレポートのメモを作成していく。
　これならいいレポートができそうだ。という雰囲気である。
　全員が手応えを感じていた。
『テストとかでこういうもんだいがでないかな？』
「それもいいですが、毎回こういう授業だと楽でいいですね」
　とか、言いつつ、完成していくレポートたち。
「こういう勉強は面白いな」
「実験は結構面白いんだねぇ」
　ユージーンの言葉に、八兵衛がのんびりと応えるように言う。
　こういう普通も悪くない。
　そんな風に誰かは思っていた。