美味しい実験体験、みんなで実験をしよう！｜リアクション

美味しい実験体験、みんなで実験をしよう！

【試食タイム３　訳が分からないもの】

「という訳で、こいつを見てくれこいつをどう思う？」
「……それは僕に喧嘩を売っているのかい？」
　龍八が作ったカルメ焼きを見た瞬間、天野は言いもしれないような名状しがたいものによって胸がざわついたのを感じた。
「何を作ったのですか？」
「お、旨そうじゃんそれ！　俺がもらっていいか？」
　蓮と陽二がそれを見つけて、それぞれ驚く。
「いいだろう」
　と龍八はそう言って渡す。
「……余計な事しないで普通に食べておけばよかったなと思っていたけど、ラッキー」
　陽二は電気パンに味をつけるため、アルミホイルで砂糖をふった電気パンを包み、アルコールランプの火で熱するということをしたので、自分の電気パンをほとんど失っていた。
　さっさと平らげる陽二。
「珍しい形をしていたので考察したかったのですが」
「……その前にそいつを風紀委員に突き出すことを考えたほうがいいかな」
　蓮は前向きに考えていたものの、天野の龍八を見る目が完全に犯罪者への視線のそれである。
「……俺は何もしていないが？」
　真顔で言う龍八。
「ま、食っちまったしいいじゃんか」
　と、陽二が言ったため今回は特におとがめなしということになった。
　その後は普通に男子同士で、作ったものの交換会になった。
「まぁ、たまにはいいのかな？」
　と、言いつつ若干怒りが解けた天野は言う。
「まだまだ精進が足りませんね、もっと勉強しなければ」
　と、レポートのメモを真面目に取りつつ蓮は気合を入れた。
　一部、なにやら不穏なものを残しつつ、彼らもレポートを完成させたのであった。

【試食タイム４　噂は走るよどこまでも】

「……おお……ちゃんとしたパンだ。すげぇなこれ、姉ちゃんすげぇ」
「ふふ、味の方は一寸したものなんだよ？」
　庚と五郎八は早速お互いの電気パンを試食し合っていた。
「噂のとおりだ」
「すごいですねー」
　実験で作ったものを交換してもらおうと色々持ってきた貴弘と梢が、その光景を見て唖然とする。
「そう言えば庚君はもうこっちの生活には慣れた？　猫鳴館に入寮したとは聞いてるけど……食事とかちゃんとしてる？」
「まぁなんだ…自立を目指して適当にやってるさ。飯は食ってるよ……ちゃんと自炊もしてる」
　まるで他の二人が見えないように、庚と五郎八は従姉弟トークを繰り広げる。
「そう？　じゃあ、今度チェックしに行くね？」
「ちょっ、姉ちゃん！」
　焦る庚。本当に二人は仲がいいんだなぁと周りは和んでいる。
「あのーとりあえず交換しませんか？」
「冷めるかもしれないからな」
　梢と貴弘がテキパキと実験の作品を交換していく。
「お前ら……」
「あ、いいよいいよ。そっちも美味しそうだね」
　色々諦める庚に対して、五郎八はさくさく交換していく。
　こうして、レポートは完成していくのであった。

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