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二人だけの時間
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星ヶ丘のなだらかな斜面に白亜の家が建ち並ぶ。太陽の光を反射して建物自体が白い光を放っているかのようだった。
遠矢 護
は緊張した面持ちで扉の前に立った。海から風が吹く度に茶色の髪を手で懸命に整えた。
「これが寮なんてすごいなあ。えっと、服装は心配ないよね」
護は青地の長袖シャツに白いスラックスを穿いていた。靴は白いスニーカーで全体的に清潔感のある装いであった。
唇を引き締めて護は呼び鈴を押した。家の中は相当に広いのか。扉が開くまでに数十秒を要した。
微分積分の問題集を片手に
八神 修
がラフな格好で現れた。白いシャツに羽織る形で深緑のアロハシャツを着ていた。黄褐色のチノパンは膝までの丈で目に涼しい。
「いらっしゃい」
「こ、こんにちは、八神さん。立派なおうちでびっくりです。あのー、お勉強ですか」
護の視線を手元に受けて修は照れ臭そうに言った。
「まあ、あれだ。勉強していないと落ち着かないタチでさ」
「そういう体質なのですね。わかりました」
護はにっこりと微笑んだ。勉強ジャンキーではないが、と小声で取り繕って修は奥に招き入れた。
「わあー、中はこんなに広いんですね」
純朴な子供のように驚いた。置かれた調度品の数々に、きれいだなあ、と語り掛けるように言った。
一頻り感心したあと、護は不思議そうな顔をした。
「今日は日曜日なのに、おうちの人は誰もいないんですか?」
「家族は小さいが、ちゃんといるぞ」
「小さいのですか?」
含み笑いを浮かべた修が奥の部屋に入っていった。護は広い部屋に取り残される形となった。不安げな目を周囲に向ける。
そこに修が走り込んできた。七匹の猫と一匹の子犬が、どっと押し寄せる。
「猫さんがこんなに! 犬さんも!」
護はしゃがんで両腕を広げた。何匹もの猫に囲まれ、頬ずりを受けた。構う相手に目が激しく迷う。
修は持ってきた手毬を猫達に近づけた。寄って集って前脚で引き摺り下ろした。匂いを嗅いだり、甘噛みに夢中になる。
「みんな、用意はいいか。向こうに転がすぞ」
修は下手投げで手毬を転がす。大半の猫が釣られて走り出した。その中、抜け出した子犬が最初に飛び付いた。
護の元にはサバトラ柄の猫が残った。それを見た修は冷やかすように言った。
「唯一の雌のパトラに好かれるとは、遠矢は相当な色男だな」
「こんな美人さんに好かれて僕もうれしいです」
護は目を細めて猫の頭を慈しむように撫でた。従順な様子で頭を下げる。手は背中まで範囲を広げた。猫の全身を摩り、かわいいね、と自然に声が出た。
修は安心した表情で残りの小さな家族と戯れた。
海が望める窓辺に猫脚のダイニングテーブルが置かれた。肘掛け椅子には二人が向かい合って座る。
「こんなにお皿がいっぱい」
護はテーブルに置かれた品々に瞳を潤ませた。対面に座った修は、ごめん、と口にした。
「もう少し時間があれば、順々にシェフに持ってきて貰うのだけどな」
「え、シェフ? お店みたいですね」
「そうなのか? 話はこれくらいにして、遠慮しないで食べて欲しい」
「あ、はい。どれから食べたらいいのかな」
テーブルの上を護の目は迷子のように彷徨った。見かねた修が優しく語り掛ける。
「作法は気にしなくてもいいよ。ここは店ではないからね。補足として説明すると、手前にある二皿が前菜だよ」
「ピザみたいなのとサラダかな」
「そう、夏野菜のキッシュと生ハムのサラダだよ。スープカップの中身はコンソメで優しい味がする。メインディッシュは子牛の頬肉の赤ワイン煮だね。ワイングラスに入った物が季節野菜のゼリー寄せのデザートになるよ」
「八神さん、丁寧な説明をありがとう。最初は……真ん中のパンをいいかな」
気恥ずかしそうに聞く護に、もちろん、と修は笑顔で返した。
ナプキンで口を拭いた二人は、どちらともなく静かに席を立った。
修は腕に嵌めた時計に目を落とす。
「少し急ぐか」
「ごちそうになったお礼に僕に電車賃を出させてください」
「いや、その必要はないが」
「八神さん、遠慮なんてしないでください。もしかしてタクシーですか? 今日は多めに持っているので、お金の心配はいりませんよ」
口を開き掛けて閉じた。修は黙って護を外に連れ出した。少し歩いた先に一台の車が停まっていた。ボンネットには銀色のエンブレムが輝いている。
「俺の家の車で送迎して貰うから」
「……今日の僕は驚いてばかりですよ」
すまないな、と修は笑って言った。
大した混雑に見舞われることもなく、車は目的地に着いた。車から降りた護は寝子島マリンパラダイスの建物を目にして、うわー、と嬉しそうな声を出した。外観に隈なく目を向ける。
修は運転手に適当なところで待機するように伝えた。
「八神さん、早く水族館に入りましょうよ」
「そうだな」
待ち切れないという声に修は片手を上げた。間もなく二人はひんやりとした館内に入っていった。
晴れ渡った空とは違う、蒼い世界が広がっていた。決して悲しい色ではなく、見る者を優しく包み込む。
「ねえ、見てくださいよ。青いトンネルですよ」
丸い半円の水槽の中を護はゆっくりと歩いた。左右に魚の群れが見える。上には巨大なエイが優雅な舞いを披露した。
その全てを目にしようと護は回る。踊り子のように軽やかに回って見せた。
「大きな子供のようだな」
「ここの水族館は初めてなので、心がうきうきします」
護は微笑んだ。光の加減なのか。ほんの一時、瞳は青色を宿した。
トンネルを抜けた先では丸い筒状の水槽に顔を寄せた。小ぢんまりとしたクラゲが無数に漂っている。
「海に咲く梅の花みたいですね」
「俺には食材のポルチーニに見える。今日の昼食のキッシュに入っていたな」
「食べちゃダメですよ」
笑いながら護は言った。
水槽を渡り歩いている内にペンギンと出会った。島を模した岩に円らな瞳のペンギンが何匹も立っていた。
護は瞬間的に目を奪われた。ペンギンと同じように立ち尽くす。
修は邪魔をしないようにそっと離れた。のんびりと見て回る。立派なカニの水槽の前では思考を巡らせ、カニしゃぶかな、と呟いた。
「もう、いいだろう」
修が戻ってくると、護は時が止まった状態でいた。隣りに並んでも気付かないので仕方なく声を掛けた。
「そんなにペンギンが好きなのか?」
「あ、ごめんなさい。そうですね、ペンギンは好きで」
護は言葉を切って考えるような顔をした。そして明るい笑顔で答えた。
「んーと、なんとなくですね」
「なんとなくか。他は見て回らなくてもいいのか? 俺が美味しそうな食材のところに案内するぞ」
「だから、食べちゃダメですよ」
二人は顔を見合わせて笑った。
帰りの車中、修は瞼を閉じていた。頭が微かに前後に揺れている。護はそんな横顔を見てほっとしたような表情になった。
車は星ヶ丘寮に戻ってきた。着いた途端、修は目覚めた。
「少し待っていてくれ。すぐに戻る」
修は横に声を掛けてから車を降りた。待機する形で護は窓の外を眺めて過ごした。
程なくして戻ってきた修がサイドガラスをノックした。護が車から降りると後ろ手に持っていた物を差し出した。
「なんか鼻がヒクヒクしてて、かわいいねー」
掌に乗る格子状の籠の中には丸々としたハムスターが収まっていた。ありがとう、と護は笑顔で受け取った。
「寮でも飼えますよね?」
「だいじょうぶだろう。名前は決めてあるのか」
「あ、その前に渡したい物があるのですが、いいですか」
弱々しい視線に、喜んでいただくよ、と修は瞬時に返した。
護はスラックスのポケットに手を入れた。握った状態の拳を返して一気に開く。ぽんと膨らむように青みがかったぬいぐるみが現れた。よく見ると細かく編み込まれたクマであった。身体は青と白のチェックで首に赤いリボンを付けていた。
「八神さんをイメージして作りました。どうか、貰ってください!」
「ありがとう、大切にするよ。それでハムスターの名前はどうする?」
「そうですねー」
護は青い空を見上げた。少し目を伏せて思いを巡らせる。
「青い空、蒼い水族館……『あお』はどうでしょう。雄っぽくないかな」
「いいじゃないか。俺の猫にもブルーがいるぞ。他にはミルクにブラック。あとマーブル、ミスト。それとパトラにタイガだ」
「チョコレートみたいな名前が混ざっていますね」
「食べちゃダメだぞ」
「誰かさんと一緒にしないでくださいよ」
二人の笑い声が辺りに響いた。
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2人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年04月02日
参加申し込みの期限
2014年04月09日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年04月09日 11時00分
参加キャラクター一覧
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