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二人だけの時間
【二人だけの時間】
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無風の中、猫又川の上流では断続的に短い風の音が鳴る。
白いTシャツの袖を肩まで捲った
御剣 刀
が木刀を振っていた。小石が目立つ川原で上段に構え、滑らかな動きで前に出て鋭い一撃を放つ。その都度、朝陽の中を汗が飛び散った。
少し離れた木陰にはビニールシートが敷かれ、淡紅色のキャミソールに白い薄手の上着を羽織った
小山内 海
が両足を投げ出した姿で座っていた。刀の素振りを見ながら足先を擦り合わせるように動かす。サイドテールの青いリボンにも影響して落ち着きがない。
『かたなくん、やっぱりすごいなぁ』
太腿の上に乗せたスケッチブックに文字を書き込んだ。青い瞳は刀の方を向いていた。全ての動きを記憶するかのように一心に見詰める。
海は閃いた。筆談用のスケッチブックを閉じて別の物を開いた。立てた両膝をイーゼルの代わりにして真新しい画用紙に刀の一瞬を切り取る。上段から木刀を打ち込んだ凛々しい横顔が短時間で描き出されていった。
「そろそろ休憩を取るか」
刀は木刀の切っ先を真下にして海の方に向き直った。汗を振り払うかのように頭を動かしながら歩を進める。
気付いた海はスケッチブックを投げ出した。事前に用意したタオルを持って立ち上がると、戻ってきた刀に朗らかな表情で差し出した。
「ありがとう」
刀は片手でタオルを受け取ると即座に頭に被せた。その姿でシートの端に腰を下ろす。役目を終えた木刀は重しとして活用された。
背筋を伸ばした刀はタオルで頭全体を擦り上げる。
「さっぱりした」
風呂上がりのような顔で刀はタオルを首に掛けた。傍らに控えていた海が中身を満たした紙コップを手渡す。
『おつかれさま。よくひえたスポーツドリンクをどうぞ』
スケッチブックの文字を目にした刀は二度目の感謝の言葉を口にした。一気に飲み干して少しむせた。海の笑顔を横目で見て照れ臭そうに言った。
「俺の練習に付き合わせて悪かった。退屈だったよな」
海は顔と両手を同時に振って否定した。スケッチブックに猛烈な勢いで文字を書き込む。
『そんなことないよ。かたなくんはきにしないで』
「それならいいんだ……そうか、絵を描いてたのか」
刀は開いた状態のスケッチブックに気が付いた。注意深く見るような目付きになる。
「ん、あれは俺なのか?」
刀の問いに海はもじもじしながら答えた。
『そうだけど、きになる?』
「小山内が嫌じゃなければ見たいな」
数秒の間を空けて海は決断した。
『タイトルはまだないけど、どうぞ』
胸に抱いたスケッチブックを海は思い切って両手で渡した。目の当たりにした刀は、これが俺か、と自身の姿に声を掛けた。細部に目をやり、時に顔から遠ざけて全体を眺める。
『かたなくん、どうかな』
文字で窺う海に刀は渋い顔で唸った。海は焦った表情で瞳を潤ませる。
「この絵は少し、実物よりも男前だな」
刀は表情を和らげて言った。え、と驚いた顔の海の顔が瞬く間に赤くなる。
『それならもっとはやくにいってよー』
刀は笑いながら謝った。
空の高いところにいる太陽が、それとなく昼を伝えてきた。二人は向かい合って自作の弁当を披露した。
『これがわたしのおべんとうだよ』
海は弁当箱を斜めにした。中には少し焦げ目の付いた卵焼きが並び、銀紙の上にはタコウインナーが詰め込まれていた。茹でたブロッコリーは一口サイズで集まり、小さな森を思わせた。側ではリンゴの兎が群れを作っていた。
「どれも美味しそうだな」
刀は素直な感想を口にして次に自分の弁当箱を見せた。俵のおにぎりが整然と敷き詰められていた。中身がキュウリの昆布巻きが縦にぎっしりと収まる。不揃いの形の肉団子は食べ易いように竹串に刺してあった。他にも小分けされた銀紙には少量のパスタが多種に渡って盛られていた。
『かたなくんのおべんとうはすごいね。おみせにうってそう』
「それほどでもないけど、二人で食べるにはちょっと量が多かったかな」
海は文字を書きながら片方の手で拳を握る。
『がんばってたべればだいじょうぶ』
「そうだな。小山内の卵焼きと俺の昆布巻を交換しようか」
『がんばってつくったけど、あじはわからないよ』
「食べればわかる」
刀は弁当箱の蓋を皿にして卵焼きを受け取った。同じように海は昆布巻きを貰う。
「じゃあ、いただきます」
刀の声を受けて『いただきます』と海が文字で続いた。二人は同時に交換した物を口に運んだ。
「この卵焼きは味付けがいいな。身体を動かしたあとには絶妙な甘さだ」
刀の即答に海は『はやいよ』と目を合わせられない様子で返した。
「さっき怒られたからな。それに加速は俺の得意技だ」
海の反応をどこか楽しみながら刀は言った。
「さすがに限界だ」
弁当の大半を平らげて刀は仰向けに寝転んだ。川の水を適度に含んだ風に吹かれ、腹を摩っていた手が何時しか止まる。
『わたしもおなかいっぱい』
海の文字に刀は答えなかった。不思議に思った海がスケッチブックを腋に挟んで四つん這いの姿で近づいていった。
刀の顔を横から、そっと覗き込む。邪魔な前髪を振るえる指先で軽く払った。瞼は閉じられていた。その事実を確かめるかのように海は顔を寄せた。
微かな寝息が聞こえてくる。意識した瞬間、全力で顔を引いた。半ば放心した表情で自分の唇を人差し指でなぞる。
海は発熱した顔を左右に振った。口の動きが無理と訴える。それでも日頃とは少し違っていた。
海は刀の頭頂に回り込み、後頭部に細心の注意で両手を差し入れた。その状態で動きを止める。安らかな寝顔に変化は見られない。引き締めた唇で、ゆっくりと頭を持ち上げて自分の膝の上に乗せた。
『やっちゃった、ひざまくらやっちゃったよ』
ホットパンツなので刀の頭部の感触が直に太腿に伝わる。海は胸を押さえた。心臓の音が伝わることを嫌うかのように、強く握り締めた。
そして時は流れた。海は優しい眼差しで刀を見詰める。
何度目かの風が吹く中、刀は薄っすらと瞼を開けた。新緑を背にした海と目が合った。
「え、俺はどうしたんだ?」
『かたなくん、おはよう』
海は文字で優しく語り掛ける。おはよう、と刀は静かに返した。目覚めても起き上がることはなかった。
穏やかな表情の二人は仲睦まじい姿のままでいた。
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2人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年04月02日
参加申し込みの期限
2014年04月09日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年04月09日 11時00分
参加キャラクター一覧
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