プリントヘルin寝子島高校｜リアクション

プリントヘルin寝子島高校

「……ん、大丈夫か？」
　口を離した久雨は不思議そうに言嗣を見る。が、目が合って急に恥ずかしくなった。思わず手を放し、そっぽを向いてしまう。
「ふふ、なかなか大胆だね。ちょっと驚いているよ」
「こ、これはだな！　前にこんな風に手当てしてもらった事があってだな……！！」
　と大慌て。いつものクールさが吹っ飛んで諸に乙女らしい姿を見せている。そんな姿が愛らしいのか、言嗣は久雨の頭を撫でながら「ありがとう」と礼を述べ、更に久雨が真っ赤になってわたわた慌てる。
「……何がおこっているのでしょう？」
　そう言ったのは常闇月だった。彼女は紙が崩れる音を聞きつけてココへ来たのだがまさかこんな展開がまっていようとは思わなかった。
「プリントが溢れているんだよ。手伝ってくれないかなぁ？」
「確かにこれは異常ですね」
　佳奈に言われ、部屋に入る月はその奥で首を振る冴来を見つけて首を傾げる。彼女が手に持ったのは女性下着の広告で、思わず触れれば月がシックな黒いブラジャーとショーツを着けている姿が。ショーツは大胆なハイレグでその上レースに猫のようなデザインがあしらわれている。それでも別に慌てる事も無く、平静を保つ月。
「……あら、月じゃない。貴女は平気なの？」
「普段からこう言った物を身に着けていますので。ああ、ちょうどこのような物とかですが」
　我に帰った冴来は、いつの間にかいた月の言葉に「意外ね……」と相槌を打つ。
「私も身に着けてはいるけど……。月はこういうのをつけているの？」
「はい。布の面積も少なく、動き易いので」
　変でしょうか？　と首を傾げれば冴来は少し考える。因みに月が義理のお姉さんから貰った下着は面積少なめでセクシーなデザインの物である事を付け加えておく（丁度プリントされた広告に乗っていたりする）。

　と、ここでがらり、とドアが開いた。突然の事に一斉にその方向を見ると、一人必死に欲望と戦っていた夏朝が、背を向けていた。
「ごめんね……。猫さん撫でたら帰ってきますっ！！」
「ま、待って！！　それじゃあ浮月さんと同じだよーっ！！」
「お待ちなさいっ！！」
　弥栄と冴来がどうにか引きとめようとするが、夏朝も必死で廊下に出ようとする。その光景を見つつ月は小さく溜め息を付いた。
「確かに、混乱していますね。……あれは？」
　月が廊下を見ると、プリントを取りに来たであろう生徒たちを見つけたのだった。