●辱められる捕虜たち●


【体育館１Ｆ東側・体育用具倉庫】

　さて、こちらが問題の体育用具倉庫である。
　現在この場所には、測量部員の捕虜とその容疑者たち、彼らの見張りの他、さらに気絶中の風紀委員長と、その看病に来た保健委員や護衛志願までが一堂に集結している。
　具体的にまとめると、こんな感じだ。

　捕虜：夜榊 水月、佐久間 堂鉄、雨崎 荒太郎、不破 ふわり、邪衣 士、ほか測量部先遣隊
　変態：尾鎌 蛇那伊
　男の娘：葛城 璃人、史倉 安人
　貧乳：鬼河内 萌、畑中 華菜子
　見張り：青物 といき、桜庭 円、夜榊 鏡花
　病人：北風 貴子
　看病：レイラ・トンプソン、添木 牡丹
　護衛：吉祥寺 黒子

「ちょっとちょっと！　狭いじゃないのよーぅ！（ぷんすか）」
「あはは、ん〜……人がいっぱいなんだな〜、……Ｚｚｚ……」
「あぁ〜ん、ふわりのおっぱいも押されてキツキツなのですぅ」
「それはボクのナイチチに対する当て付け？　当て付けなの？」
「聞いてくれ。だから俺は迷子になって、こんなところに」
「りぃ、ちょっと暑くなってきちゃいました……（へたり）」
「Oh、タイヘン！　タカコの上着のボタンを外して、風を入れなくては！
　って、タカコは上着を着ていなかったわ！　ビコーズ体操着だから！」
　人口密度の高さで、もうテンヤワンヤの騒ぎだ。


「って言うかぁ、何で私までぇ、一緒に縛られているのでしょうかぁ〜？」
　さて、のんびりとそんなことを言っているのは、天然大ボケ娘の不破 ふわり嬢である。
「測量部員さんを縛るのを手伝っていただけでぇ、
　いつの間にかこの状態なのですよーぅ」
　何をやってるんだ。しかし本人はあまり気にも留めていない様子で、
「おっぱいって不思議ですねぇー。
　同じ胸囲でも体格が大きくなると貧乳さんになるしぃ、
　私のような小柄な体格だと巨乳になるのですよーぅ。どう思いますか？」
　いっしょくたに縛られている隣の邪衣 士に、のんびりとそんな質問などをしている。
　その邪衣は、さっきからふわり嬢の豊かなバストが腕にあたっている、とんだラッキースケベボーイだ。
「違うんだ。俺はたまたま迷子になって、この体育館に迷い込んでしまっただけで。
　こんなおっぱ……騒ぎに巻き込まれているのも、たまたまなんだ。信じてくれ」
　しかし、見張り役の女子たちは、邪衣の言うことになど、まるで取りあっちゃくれない。
（仕方ない。幸い少しなら手の自由が利くし、俺がいるのはちょうど窓の下。
　さっき気絶した風紀委員の人の眼鏡に日光を通して、うまくロープを焼いて……）
　だがこの体育用具倉庫には、窓などは無かった！
　邪衣のスニーキング脱出作戦、早々に頓挫。
　そもそも仮に窓があったとして、そんな上手いこと日光でロープが焼けてたまるものか！　……と思う向きもおられるだろうが、この邪衣のろっこんは、【天の救い】。ごく小規模な範囲ながら、天候を変えることができる能力なのだ。
　そのろっこんで、日差しの強さを上手く加減しようとしたのである。邪衣なりに、これでも考えているので、どうか大目に見てあげてほしい。また、この【天の救い】は、のちのち非常に重要で大切なある役割を果たすことになるので、ちょっと内容を憶えておくと良いかもしれない。


　一方、不破ふわりや邪衣士に先がけてとっ捕まった、年季の入った捕虜・雨崎 荒太郎はと言えば、いっしょに縛られている測量部・先遣隊の皆さんと、何やらごにょごにょと会議中だ。
「え？　何？　測量に協力したら食券貰えるの？　じゃあがんばる！」
　何やら相談がまとまったご様子。見張り役の青物 といきに、雨崎は思いきって話しかけた。
「お、おしっこ漏れそう……。あの〜、ちょっとトイレに行きたいんだけどさ」
「トイレえ？」
　うさんくさそうにこちらを見る、といき。
「ひんにゅ……じゃなかった、ぼく頻尿なので」
　貧乳女子のといきが、ぴくりと眉をうごかす。
「そもそも、ぼくが保健委員になったのは、
　鷲尾先生のアドバイスで頻尿を治すのが目的でー」
　と、ここぞとはったりを利かせて単独トイレ解放を頼む雨崎だったが、
「ふん。見え透いたウソを、言うんじゃないにゃー」
　あっさりといきに一蹴された！　トイレのどさくさで体育館正面入り口を開け、そこから測量部の本隊を突入させるという『尿意の木馬』作戦、あっという間に失敗！
「それよりも、敵軍に捕らえられたからには、それ相応の覚悟はできてるんだろうねぇ？」
　あ、青物といきが、何だかエロい感じに指をわきわきさせて、こちらに近寄ってきたぞ。
「残りの測量部員の数を教えなさい……さもなくば、ふひひ」
「しっ、知らないよう！　だからぼくは、測量部じゃないんだってばさ！」
「では貴重なサンプルとして、君たちのバストサイズを測定資料に追加してあげよう」
「え゛っ……」
　猫系の動物の含み笑いを浮かべて、
「ふひひ、測量タイムだにゃー」
　と雨崎に襲いかかるといき！
「ちょっ、ま……だめ……あーーーーーーっ！」


　　雨崎 荒太郎：バスト88cm（？カップ）


　後ろ手に縛られているので、抵抗もできなかった。体操着を胸まで剥かれた半裸姿で、えぐえぐと涙を噛みしめる雨崎荒太郎。
「ふひひ……さーて、お次はどいつかにゃあ？」
　目をキラリン☆と光らせて次の獲物を物色するといきに、ぞっと青ざめる捕虜一同。
「次は……そこの君の番だにゃ！」
　ノリノリのといきが次に目を付けたのは、貧乳狩りでここに連れてこられた、鬼河内 萌だ！
「や、だからボクは男の娘でもなければ、測量部でもないから！」
　ポニーテールの巨大リボンを揺らして懸命に訴えるのだが、といきはその萌にも容赦しない。
「ホントに女の子なんだもん！　いやー！　脱がさないで！！」
「むむっ。スポーツブラまでつけてるとはナマイキにゃ。
　こんな変装にだって、私はだまされないにゃ。測量ターイム！」


　　鬼河内 萌：バスト01cm（？カップ）


「おかしい……ヘンな数値が出ちゃったんだにゃ……」
　しげしげとメジャーを見て、思いっきり首をひねりまくる、といき。
「ていうか、ゼロイチのゼロって何！　ゼロって！？
　ボク、たしかにつるぺたの自覚あるけど……そこまで！　そこまでひどくないもん！」
　おいし……ゲフン、無情な結果にリボンを揺らして抗議する萌に、しぶしぶと、といきも自分の間違いを認めたようだ。
「ふん。じゃーこれは、下着を外してもう一度、正確な胸囲を測るしかないにゃー（わきわき）」
「……って、外すって、えっ？　えっ？」
「ふひひ……お邪魔なそのスポーツブラ、もらったにゃ！」
「だっ、だめえーーーーーーーーーーーー！！？」
　鬼河内萌のナイチチが……白日のもとに晒された！！！


「（深呼吸）すうぅ…………（パチパチパチン！）　ふむ、……おかしいな」
　３回指を鳴らしても、とくに何も起こらない。向こうの捕虜たちの騒ぎをヨソに、邪衣 士は一人、この用具倉庫からの脱出作戦に没頭していた。
　憶えておられるかもしれないが、彼のろっこんは、天候を変化させる【天の救い】。
　日光を操作する作戦は失敗したが、今度はこの体育館内に、深い霧を発生させる作戦なのだ。
「今の俺ならこの体育館内全体を大きな雲で包むのは、わけがないからな」
　邪衣いわく、雲の中は深い濃霧と同じ。
（皆の視界が悪くなったところで脱出だ……また迷子になってここに戻って来たらシャレにならんが）
　ところがその大きな雲が、いつまで待っても発生しない。おかしいな、と首をひねる邪衣。
「仕方ない、もう一度チャレンジしてみるか……（深呼吸）……せーの！」
　パチパチパチン！


「だっ、だめえーーーーーーーーーーーー！！？」
　鬼河内 萌のナイチチが……白日のもとに晒された！！！
　ウオーーーーーーーーーーーーーーーー！！！
　だが待って欲しい、セーフ……セーフなのだから！（えーー）
　ぽぽんっっ！
　マシュマロ大のミニミニ雲が突如出現したかと思うと、その先っちょがちょうど絶妙に隠れるカンジに、バストトップを包み隠したのだから！
　これこそが邪衣 士のろっこん、「小規模な範囲で」天候を変化させるその能力ッ！
　邪衣が……邪衣はじつにいい仕事をした！　彼の健闘を、後でみんなで称えようではないか（脱出は失敗したけど）。

　さて、ちなみにもう一度、といきが測りなおした萌の「正確な」胸囲とは。


　　鬼河内 萌：バスト37cm（？カップ）


「……どうする？　脱ぐ物がもう、無いけども」
「もう、これでいいです……寝子島一の貧乳ポジションで……」

　鬼河内萌、バスト37cmでＦＡ。
　悲しい位の絶壁を胸に、彼女は明日もこの寝子島で生きていくのだろう。ファイト！！