こんな綺麗な空の下｜リアクション

こんな綺麗な空の下

　　【頭上注意！】

　「あたし、皆で樹が揺すりたいなっ！
　綺麗な石が出てくるんだよねっ？」
　お菓子を一通り食べつくして、一息ついた後、夢宮瑠奈が目を輝かせた。
　「あら、いいわね。アタシも揺すってもいいかしら？」
　玲栖の言葉をもちろんここに否定をする者等なく、大歓迎で皆で立ち上がった。

　「お、先客がいる」
　「あ、本当だーっ。ねぇ、君達も樹を揺すりたい人ーっ？」
　そこに遠くから現れたのは、御剣刀と桜庭円だった。
　二人も王さまに言われるまま、ここへと立ち寄った２人と、その場にいた３人はいっぺんに揺さぶったほうが沢山落ちてくるだろうと思い、５人がかりで樹を取り囲んだ……！

　──一方、その頃……

　鬼河内萌が不安そうな表情を向ける。　
　「何か下の方が騒がしいのだ、賑やかなのだっ」
　後木真央が不思議そうに下の方を覗き込む。
　しかし葉っぱ等が邪魔して上手く見えない。
　「いやだよ！　ボク、降りない！
　ボクはここに定住するんだ！！　いーじーでもー…」

　ゆっさゆっさ！

　「降りないんだからーーーっ！」

　ゆっさゆっさ！！　
　
　──どどどさっ！

　二人は、樹を揺すった面子の真上に振ってきた！

　「…いちち……
　あ！　マキナちゃんに瑠奈ちゃんっ！　こんにちはなのだー！」
　「樹の上でまで何をやっているんだか、全く……」
　ひっくり返ったままの真央にマキナが手を差し伸べる。
　その手を借りて、ぴょこんと飛び上がる。
　傍らでは、
　「大丈夫か？」
　刀が萌に手を貸している。こちらは少し照れくさそうにその手を借りて起き上がった。

　「き、木の実は？」
　「さっき二人が落ちてきた時に一緒に確か５個位……」
　刀も、流石は武道を嗜んでいる人間の動体視力である。地面に落ちた数を数えれば樹の後ろの見え辛い箇所も合わせて確かに５個落ちていた。
　一人一つ。開ければ各人に一つずつの、キラキラと輝きを放つ色石が入っていた。
　「あれ？　この形さ、お互いが持っているの３こ合わせたら丸くならないかい？」
　マキナの言葉に玲栖と瑠奈は自分が持っている意思をそっと組み合わせてみる。
　すると、それは多少組み合わせの凹凸こそあれど、とても綺麗な丸玉に近しい形となった。

　「素敵ね。３人の良い思い出話になりそうだわ」
　玲栖がそう告げて、どこに石をしまうかを思案していた時、
　「おお、間に合った」
　丘を走ってきた声の主は立井駒鳥だった。
　「キラキラした石を集めるなら丁度入れる籠を持ってきてしまっての。良かったらこれ使ってくれれば、籠も喜ぶ」

　５人の前に差し出された完成された籠細工は大層素敵なもので、石がなくとも持って帰りたい位の出来栄えだった。
　しかし、そうするといつまで経っても話が進まないので、最終的にかごはお茶をしていた３人組の所に行く事になった。
　「あたし、この細工で動物とか見てみたいなっ」
　「おや、これは予想以上に便利だね。実は石無くすんじゃないかと心配になったんだ。
　……おっと、もう時間だから帰らないと……もう一度寝る以外に何か直ぐ帰れる方法がないか猫に聞いてみるよ」
　「それじゃあ、名残惜しいけれども解散かしらね。アタシはもう少しゆっくりお日様の光を浴びながら休憩するわ。
　光がこんな心地良いものだなんて初めてだから……」
　「また会ったら絶対遊びましょうっ！　ねっ？」
　
　こうして、瑠奈、マキナそして玲栖が、３人３様の言葉を残して丘から去っていった。