こんな綺麗な空の下｜リアクション

こんな綺麗な空の下

　　【結界魚の珠磨き】

　「諸君らに集まってもらったのは他でもないニャ！

　目標は『結界魚』の珠磨き！　透明なおさかなをこの『肉球布』でくしくししてもらうだけの非常に過酷且つ危険なお仕事だにゃ！」

　そういって王さまは大きな、やはり肉球のマークがついたトートバッグから更に肉球をモチーフにした指輪を取り出した。

　「ぬぉっ、何なのだそれはっ！？」
　後木真央が、いかにも何か凄そうなものを見るような眼差しで指輪を見つめる。
　「これは結界魚の位置が肉眼で分かるようになる指輪ニャ。
　これを布と一緒に各一つずつ渡すから、さっそく『くしくし』してくるのニャー！」

　猫の王さまの号令とは別に、のほほんとした雰囲気で布と指輪を見比べながら楽しそうに散っていくメンバー。

　しかし──３０分後。

　「う～ん……真央ちゃんもう食らべれないのだ……グロテスク料理はもう勘弁なのだ……！」
　意識朦朧としながら、結界魚を無心にもう直っているところをくしくしと拭いている真央の姿。

　「ぐ…ぬぬ……これが、どんな物だろうと……ボクは負けないよ──！」
　拭いた主の精神力をごっそりと持っていく結界魚の属性に気付きながらも、目を見開き、最後の一拭き『ぐしっ』と拭くと同時に、桜庭円はその場に力尽きた。
　最初は慌てていたが、寝ているだけだと気付いたにゃーくんは可能な限り側に寄り添って丸くなった。

　「……………」

　御剣刀は、既に寝ていた。転がっていた。

　ダイイングメッセージがあれば死体に間違えられた事だろう。
　しかし、結界魚は綺麗に仕上げられている。刀は仕事は完璧にこなす男だった。

　各所から戻ってこない勇者たちを見に行った王さまは、魔法が掛かっている為持ち出せずにその場に残った指輪と布を、手伝ってくれた事への嬉しさとほんの少し寂しい思いを残しながら回収していった。

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